CLASSICA JAPAN

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コラム

2017 / 02 / 10

第23回【年末年始を振り返る】

≪旅する音楽師・山本直幸の百聴百観ノート≫

【テロの不安】

 一昨年の2015年は11月にパリでテロ事件が発生し、年末年始の旅行を控える人が多数いました。オーストリア警察が、年末にヨーロッパの首都でテロ計画があると公表したことも、旅行控えに拍車をかけました。世界中が注目する音楽界最大のイベントであるウィーン・フィルのニューイヤーコンサートが標的になるのではというとんでもない噂も流れたほどです。
 筆者は昨年末前の12月15日、16日にベルリンに滞在していました。しかも19日にテロのあったクリスマス市にもいたのです。いつどこで起こるか分からないのがテロ。私たちには防ぐことも避けることもできないので、不安はあっても気にしていたらどこへも行けなくなってしまいます。残念ながらこの年末年始もかなりの旅行キャンセルに見舞われてしまいました。筆者はこの年末年始はウィーンだけの滞在で、ドイツの音楽都市で年末年始の特別演奏会を鑑賞することはできませんでしたが、テロの不安とは全く無縁であるかのようにドイツの音楽都市はどこも盛り上がりをみせたようです。
 ベルリンではラトル指揮のベルリン・フィルのジルヴェスターコンサートでデビューを飾ったダニール・トリフォノフが、難曲のラフマニノフのピアノ協奏曲第3番を熱演し、その超絶技巧と優れた音楽性で聴衆を魅了したようです。ライプツィヒでは、ゲヴァントハウス管弦楽団の次期音楽監督就任が決まっているネルソンスが、初めて恒例の「第九」を指揮して存在感を示し、ドレスデンでは、ジルヴェスターコンサートを始めた当初のオペレッタ演目に代わり、ソリストを招いてティーレマンが指揮する演奏会を定着させたようです。ここ数年、ドイツの3つの名門オーケストラの競演が、ウィーン・フィルのニューイヤーコンサートと同等の魅力があるということで人気を集めていましたが、この年末年始はそのバランスが崩れてしまった感があります。
 

ドゥダメル&ウィーン・フィル「ザルツブルク音楽祭2014」 より ©Marco Borrelli-Lelli

ドゥダメル&ウィーン・フィル
「ザルツブルク音楽祭2014」より
©Marco Borrelli-Lelli

【ドゥダメルの独壇場】

 何といってもこの年末年始は、35歳の若さ、勿論史上最年少でウィーン・フィルのニューイヤーコンサートを指揮したドゥダメルが話題を独占したと言えるでしょう。世界93ヶ国にTV生中継され、5000万人も観たといわれるこの音楽界の最大のイベントの檜舞台に立ち、臆すことなく堂々と見事に指揮した姿には驚嘆するばかりでした。ドゥダメルがウィーン・フィルを初めて指揮したのは2007年で、来日公演や南米演奏旅行も含め46回の指揮経験があり、2011年に定期演奏会指揮者に初めて指名されました。2012年にはシェーンブルン宮殿野外演奏会を任されるなど、ウィーン・フィル以外でも20歳代から大舞台を経験し、着実に名声と地位を確立してきたドゥダメルですが、自ら「もう死んでもいいです」と語っているように、ニューイヤーコンサートはまさに「夢の舞台」だったに違いありません。そしてとにかく「楽しみたい」ということで、あまり大きな変化は望まなかったようですが、初めて演奏される曲を8曲も取り入れ、その中の1曲、今年創始175年になるウィーン・フィルを初めて指揮したオットー・ニコライの「ウィンザーの陽気な女房たち」の「月の出の合唱」では、ウィーン楽友協会合唱団を初めて出演させました。初演から150年目になるアンコール曲の定番「美しき青きドナウ」は、最も楽しみながらタクトを振っている印象でした。

【ムーティに注目】

 2018年のニューイヤーコンサートは、75歳になるムーティが指揮することが決まっていますが、現役指揮者ではメータと並んで最多の5度目の登場になります。ムーティは1971年のザルツブルク音楽祭で「ドン・パスクヮーレ」を指揮して以来、約500回もウィーン・フィルを指揮し、2011年には名誉団員の称号も授与され、長年の親密な関係が続いています。ムーティは昨11月のウィーン国立歌劇場来日公演で話題になりましたが、1月にはシカゴ交響楽団を率いてヨーロッパ演奏旅行を行い、特にハンブルクのエルプフィルハーモニーで最初の外部オーケストラとして客演し、さらにその直後にミラノのスカラ座で12年ぶりに復帰を果たして脚光を浴びました。今年のザルツブルク音楽祭で、ネトレプコ主演の「アイーダ」を指揮することも、この一年、最も注目される指揮者の一人に挙げられる理由です。

JTBロイヤルロード銀座ライブデスクは、2017年度も豊富なラインナップで感性を揺さぶる音楽の旅へご案内しています。ツアーの詳細、お問い合わせはこちら

 

筆者紹介

【JTBロイヤルロード銀座 音楽の旅 ライブデスク】
プランニングマネージャー 山本直幸

ベルリン留学中6年間、オペラ・コンサート通いの日を送る。特にヨーロッパの歴史や音楽・美術への造詣が深く、長年ツアーにも同行し現地で案内役も務める。毎夏、ライブ駐在員としてザルツブルクに滞在。海外添乗・駐在日数は4,000日以上。音楽雑誌等に音楽旅行記事を多数寄稿。

TEL:045-330-2178 月〜金 9:30〜18:30 祝日は除く
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NEWS
  • 2017.02.14
    2017年2月、3月の一部番組の放送時間変更のお知らせ
    2月19日に初放送を予定しております【ブロムシュテット&P・ゼルキン「ゲヴァントハウス定期演奏会2016」】の番組時間が想定より長いことが判明致しました。そのため、既にお知らせしております2月、3月の放送時間が下記の通り一部変更となります。詳しくはWEBサイトの日別番組表でご確認ください。

    2/19(日)
    ■変更前
    21:00~22:35 ブロムシュテット&P・ゼルキン「ゲヴァントハウス定期演奏会2016」
    22:35~23:05 クラシカ・音楽人〈びと〉「IIJ会長 鈴木幸一~音楽を愛し支える」
    23:05~24:00 ドキュメンタリー「ボリショイ・スタイルを求めて」

    ■変更後
    21:00~22:40 ブロムシュテット&P・ゼルキン「ゲヴァントハウス定期演奏会2016」
    22:40~23:10 クラシカ・音楽人〈びと〉「IIJ会長 鈴木幸一~音楽を愛し支える」
    23:10~24:00 ドキュメンタリー「ボリショイ・スタイルを求めて」

    2/20(月)
    ■変更前
    21:00~22:45 アレクサンダー・エクマンの『ある白鳥の湖』
    22:45~24:20 ブロムシュテット&P・ゼルキン「ゲヴァントハウス定期演奏会2016」
      ↓
    ■変更後
    21:00~22:40 アレクサンダー・エクマンの『ある白鳥の湖』
    22:40~24:20 ブロムシュテット&P・ゼルキン「ゲヴァントハウス定期演奏会2016」

    2/21(火)
    ■変更前
    17:00~18:45 アレクサンダー・エクマンの『ある白鳥の湖』
    18:45~20:20 ブロムシュテット&P・ゼルキン「ゲヴァントハウス定期演奏会2016」
      ↓
    ■変更後
    17:00~18:40 アレクサンダー・エクマンの『ある白鳥の湖』
    18:40~20:20 ブロムシュテット&P・ゼルキン「ゲヴァントハウス定期演奏会2016」

    2/22(水)
    ■変更前
    13:00~14:45 アレクサンダー・エクマンの『ある白鳥の湖』
    14:45~16:20 ブロムシュテット&P・ゼルキン「ゲヴァントハウス定期演奏会2016」
      ↓
    ■変更後
    13:00~14:40 アレクサンダー・エクマンの『ある白鳥の湖』
    14:40~16:20 ブロムシュテット&P・ゼルキン「ゲヴァントハウス定期演奏会2016」

    2/23(木)
    ■変更前
    10:00~11:45 アレクサンダー・エクマンの『ある白鳥の湖』
    11:45~13:20 ブロムシュテット&P・ゼルキン「ゲヴァントハウス定期演奏会2016」
      ↓
    ■変更後
    10:00~11:40 アレクサンダー・エクマンの『ある白鳥の湖』
    11:40~13:20 ブロムシュテット&P・ゼルキン「ゲヴァントハウス定期演奏会2016」

    2/24(金)
    ■変更前
    7:45~9:20 ブロムシュテット&P・ゼルキン「ゲヴァントハウス定期演奏会2016」
    9:20~10:00 ゲルギエフのショスタコーヴィチ「交響曲第9番」
      ↓
    ■変更後
    7:45~9:25 ブロムシュテット&P・ゼルキン「ゲヴァントハウス定期演奏会2016」
    9:25~10:00 ゲルギエフのショスタコーヴィチ「交響曲第9番」

    2/25(土)
    ■変更前
    15:55~17:30 ブロムシュテット&P・ゼルキン「ゲヴァントハウス定期演奏会2016」
    17:30~19:20 ラトル&ロンドン響2016「20世紀フランス音楽の夕べ」
      ↓
    ■変更後
    15:55~17:35 ブロムシュテット&P・ゼルキン「ゲヴァントハウス定期演奏会2016」
    17:35~19:20 ラトル&ロンドン響2016「20世紀フランス音楽の夕べ」

    3/5(日)
    ■変更前
    17:35~19:10 ブロムシュテット&P・ゼルキン「ゲヴァントハウス定期演奏会2016」
    19:10~21:00 ラトル&ロンドン響2016「20世紀フランス音楽の夕べ」
      ↓
    ■変更後
    17:35~19:15 ブロムシュテット&P・ゼルキン「ゲヴァントハウス定期演奏会2016」
    19:15~21:00 ラトル&ロンドン響2016「20世紀フランス音楽の夕べ」
  • 2017.02.14
    番組ガイド内容誤表記のお詫び
    2月号、3月号の番組ガイドの索引におきまして、下記タイトルの番組情報表記に誤りがございました。
    謹んでお詫び申し上げます。

    ラトル&ロンドン響2016「20世紀フランス音楽の夕べ」

    <誤>
    [演目]フランシス・プーランク:二重混声合唱のためのカンタータ『人間の顔』、シャルル・ケクラン:ラドヤード・キップリングの「ジャングル・ブック」を題材にした『レ・バンダール=ログ』(猿のスケルツォ)、ジェルジ・クルターク:厳かな小音楽~ピエール・ブーレーズの90歳の誕生日に(ドイツ初演)、モーリス・ラヴェル:バレエ『ダフニスとクロエ』[指揮]サー・サイモン・ラトル[演奏]ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団、ベルリン放送合唱団[合唱指揮]ギース・レーンナールス[収録]2016年2月20日フィルハーモニー(ベルリン)
    ■字幕/約1時間41分

    <正>
    [演目]モーリス・ラヴェル:クープランの墓(プレリュード/フォルラーヌ/メヌエット/リゴドン)、アンリ・デュティユー:ヴァイオリン協奏曲『夢の樹』、モーリス・ドラージュ:4つのインドの詩、アンリ・デュティユー:メタボール、モーリス・ラヴェル:バレエ『ダフニスとクロエ』第2組曲[指揮]サー・サイモン・ラトル[演奏]ロンドン交響楽団、レオニダス・カヴァコス(ヴァイオリン)ジュリア・ブロック(ソプラノ)[収録]2016年1月13日バービカンホール(バービカンセンター内、ロンドン)[映像監督]フランソワ=ルネ・マルタン
    ■ 字幕/約1時間41分
  • 2016.11.10
    放送障害のお詫び
    2016年11月10日(木)10時07分頃、番組宣伝映像におきまして、映像が止まるなど、お見苦しい箇所が御座いましたことをお詫び申し上げます。

    今後ともクラシカ・ジャパンをよろしくお願い申し上げます。
  • 2016.09.30
    10月編成変更のお知らせ
    10月9日(日)21時~放送の BBCプロムス2016「バレンボイム&アルゲリッチ」 において、公演プログラムに変更があり、予定より長いコンサートとなりました。

    そのため、既にお知らせしております10月の編成内容が一部変更となります。

    10月9日(日)~15日(土)、23日(日)の放送スケジュールについては、各日別番組表のページをご確認ください。
  • 2016.04.04
    ザルツブルク・イースター音楽祭2016『オテロ』の公演収録日について
    ザルツブルク・イースター音楽祭2016『オテロ』につきまして、3月27日公演を放送予定でしたが、主催者側の都合により、3月27日には映像収録が行われませんでしたので、クラシカ・ジャパンでは、予定を変更して3月19日プレミエ公演を日本語字幕付きで放送いたします。
  • 2016.03.01
    『スカパー!プレミアムサービス 新規加入キャンペーン』
    3月中にスカパー!プレミアムサービスにて、クラシカ・ジャパンのご視聴をお申込みいただくと、4月、5月の2ヵ月間、各月の月額視聴料が1,000円(税込)になります!
    3月31日(木)のお手続き完了分まで対象となります。今が加入のチャンス!
    詳しくは、スカパー!0120-039-888(受付時間/10:00~20:00年中無休)までお電
    話ください。
  • 2015.10.30
    ホームページをリニューアルしました。
    ホームページをリニューアルし、10月30日に公開いたしました。コラムやアーティスト・インタビュー、クラシックの動画、放送情報などが楽しめるように内容をより分かりやすくし、デザインや構成を見直しております。今後、内容をさらに充実してまいりますので、引き続き、クラシカ・ジャパンをよろしくお願いします。
  • 2015.10.28
    スカパー!プレミアムサービス、プレミアムサービス光でクラシカ・ジャパンをご視聴頂いているお客様へ
    2015年10月26日(月)深夜3時より放送のシリーズ「明日のスターたち」#12はメンテナンスの為、スカパー!プレミアムサービスまたはスカパー!プレミアムサービス光にご加入のお客様はご視聴いただけません。一部の番組表に番組名の記載があり、ご迷惑をおかけしたことをお詫び申し上げます。
  • 2015.10.20
    11月の番組情報を公開いたしました。
    11月の番組表情報と番組表・番組ガイドのebookをUPしました。ぜひご覧ください。
  • 2015.10.07
    番組情報表記変更のお詫び
    2015年9月より放送している「ボリショイ・バレエ1991『ジゼル』」におきまして、番組情報表記に一部誤りがございました。下記の通り変更し、お詫び申し上げます。

    【変更前】
    ヴィクトール・バリキン(アルベルト)

    【変更後】
    アレクセイ・ファジェーチェフ(アルベルト)