CLASSICA JAPAN

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【クラシック大全第2章】振付家でみる名作バレエ〜ショービジネスでも成功した振付家

解説 Commentary

パリ・オペラ座バレエとアメリカ

 世界の一流バレエ団のなかでも、わが国で抜群の人気を誇るのがパリ・オペラ座バレエ。世界最古のバレエ団だが、その歴史を通じてつねに世界の頂点にいたわけではない。それどころか19世紀後半から20世紀初頭にかけては、芸術的にも技術的にもかなり悲惨な状態だった。
 その停滞からオペラ座を救ったのがジャック・ルーシェ。かねてからディアギレフのバレエ・リュスに心酔していた彼は、1913年に総裁に着任するやいなや大改革に着手した。以後、20世紀バレエの新傾向を反映して、このバレエ団のレパートリーにはストーリーのないバレエがどんどん増えていく。その先鞭を付けたのがレオ・スターツ。ジョージ・バランシンに影響を与えたともいわれる振付家で、代表作『祭の夜』はオペラ座バレエの全演目の上演回数ランキングでも上位にランクインしている。
 ボリス・ヴィアンやジョゼフィン・ベイカーを思い出せばわかるように、ジャズ・エイジの頃から、パリはアメリカの新しい文化に敏感で、積極的に取り入れたが、その傾向は第二次大戦後ますます強くなる。その背景には、戦争でヨーロッパは疲弊したが、アメリカは圧倒的繁栄を維持していたことがある。

 大西洋の反対側に目を転じると、1950年代に、フランスのおしゃれな文化に対する憧れが急に強くなり、ハリウッド・ミュージカルにフランスのバレリーナを登場させようという動きが出てくる。その象徴が『巴里のアメリカ人』(1951)だ。ジーン・ケリーの相手役をつとめたのは、ローラン・プティのバレエ団にいたレスリー・キャロン。彼女は一躍ハリウッドのトップスターとなり、『足ながおじさん』(1955)ではフレッド・アステアと共演、以後多数の作品に出演している。
 プティ自身もハリウッドで活躍し、妻のジジ・ジャンメールは『アンデルセン物語』(1952)や『夜は夜もすがら』(1956)に出演する(前者では劇中バレエでプティ自身が王子役をつとめている)。
 ジーン・ケリーはみずから監督・主演をつとめた実験映画『舞踏への招待』(1956)を製作するにあたって、パリに渡ってバレリーナを探した。彼の眼を惹いたのがクロード・ベッシー。日本ではもっぱらオペラ座付属バレエ学校の校長を長らくつとめ、学校を大改革した人として有名だ。またローザンヌ国際バレエコンクールの放映の際の、辛口のコメンテータとして記憶している人も多いだろう。手足が長く、踊りがダイナミックで、かつ肉感的なバレリーナだった。『舞踏への招待』のなかで、パンをかじりながら踊る姿はめちゃ可愛い。

 そのベッシーの仲介で、1960年、ジーン・ケリーはパリ・オペラ座でバレエを振り付けることになった。タイトルは『パ・ド・デュー』。「神々の踊り」という意味だが、もちろんパ・ド・ドゥのもじりだ。クラシック・バレエを基盤にしてはいるが、やはりケリーの振付だけあって、まるでミュージカルを観ているかのよう。
 オペラ座バレエではその後もアメリカの作品の紹介に積極的で、『ザ・コンサート』『イン・ザ・ナイト』といったジェローム・ロビンス作品は、現在も人気演目の一つとなっている。

鈴木晶(法政大学教授・舞踊評論家)

鈴木 晶 Sho Suzuki

法政大学教授、早稲田大学大学院客員教授。舞踊史。著書に『オペラ座の迷宮』『バレエ誕生』他多数。訳書は『ディアギレフ 芸術に捧げた生涯』他多数。現在、「ミュージカル映画の黄金時代」を執筆中。「ダンスマガジン」他に舞踊評を寄稿。

©Francette Levieux

初回放送 3月6日(月)21:00~22:35

©Francette Levieux

エリック・ヴュ=アンが芸術監督を務めるフランスの名門「ニース・メディテラネ・バレエ」によるパリ・オペラ座ゆかりの2つの作品を紹介する。女神アフロディーテと愛のエロスの物語を現代に置き換えた『パ・ド・デュー』は、ハリウッドのミュージカルスター、ジーン・ケリーが1960年にパリ・オペラ座とエトワール、クロード・ベッシーのために振付けた、オペラ座にとっては最初の本格的ジャズ・バレエ。ガーシュウィンの軽快なピアノ協奏曲に乗って、クラシカルなバレエあり、ミュージカル風ダンスあり。ごろつき役に同団芸術監督ヴュ=アン自身も登場。番組では、初演を踊ったベッシー本人が振付を担当。パリ・オペラ座バレエ学校校長を長く務めたことでも知られる彼女のインタビューも収録され、ジーン・ケリーとの出会いから『パ・ド・デュー』ができるまでの経緯、スタイルの異なるダンスを踊る大変さを語る。ケリーと踊る『コーヒー・ショップ』やアフロディーテを踊る彼女の貴重映像はお見逃しなく!パリ・オペラ座バレエ学校のレパートリーでもある『祭りの夜』は、1900年代初頭にパリ・オペラ座で活躍し、後にバレエマスターも務めたレオ・スターツが振付をした1925年初演の1幕物。音楽は、ドリーブがバレエ『泉』のために作った曲にミンクスの曲を加えて再構成されている。祭りで賑わう夜に若い男女が集って踊り、いくつかのカップルができていくという美しい情景を描いたクラシカルなバレエ作品。

[演目]パ・ド・デュー
[音楽]ガーシュウィン:ピアノ協奏曲ヘ調
[オリジナル振付]ジーン・ケリー
[振付]クロード・ベッシー
[振付参加]エリック・ヴュ=アン
[装置&衣裳]アンドレ・フランソワ
[出演]マリー=アストリッド・カシネッリ(アフロディーテ)クロード・ガンバ(ゼウス)メディ・アンゴ(エロス)セザール・ルビオ・サンチョ(水泳の先生)マリーニ・ダ・シルヴァ(ポニーテール嬢)エリック・ヴュ=アン(ごろつき)、ニース・メディテラネ・バレエ団
[演目]祭りの夜
[音楽]ドリーブ:バレエ『泉』
[オリジナル振付]レオ・スターツ
[振付アレンジ]エリック・ヴュ=アン
[装置&衣裳]ジャン=ドゥニ・マルクレ
[出演]ガエラ・プジョル、セザール・ルビオ・サンチョ、メディ・アンゴ(ソリスト)、ニース・メディテラネ・バレエ団
[指揮]デイヴィッド・ガルフォース
[演奏]ニース・フィルハーモニー管弦楽団、フランチェスカ・トージ(ピアノ)
[インタビュー出演]クロード・ベッシー
[バレエ監督]エリック・ヴュ=アン
[収録]2014年12月30日&31日ニース・オペラ座

初回放送 3月13日(月)21:00~21:55

©BARSUOZZI PRODUCTIONS

映画『ウェスト・サイド物語』で知られる振付家ジェローム・ロビンスの1958年作品『バレエ・イン・スニーカーズ』(音楽はニューヨーク出身の作曲家ロバート・プリンス)は、初演されたTV番組「エド・サリヴァン・ショー」で大評判を呼び、その後ワールドツアーも行われるなど大ヒットを記録。2005年にはニューヨーク・シティ・バレエ(NYCB)によるリバイバル公演も行われた。『NYエクスポート:オーパス・ジャズ』は、この『バレエ・イン・スニーカーズ』を再構成し、実際のニューヨークでロケーション撮影した番組。NYCBのダンサーたちがスニーカーで踊るエネルギッシュなダンスを、ダイナミックなカメラワークで捉えた圧巻のダンス映像。監督は、映画『NERVE/ナーヴ 世界で一番危険なゲーム』のヘンリー・ジュースト(1981年生まれ)と、NYCBの本番までを追ったドキュメンタリー映画『Ballet 422』のジョディ・リー・ライプス(1982年生まれ)。考え抜かれた画面の構図や意表を突くシークエンス、ハイラインでのパ・ド・ドゥでは沈みゆく夕陽の中で1シーン1ショット撮影が行われるなど、1950年代のエンターテイメントが21世紀映画界を担う若き才能によって新たに蘇った驚きの映像表現は必見。出資者に『セックス・アンド・ザ・シティ』のサラ・ジェシカ・パーカー(彼女はNYCBのボードメンバーでもある)やスティング夫妻の名も。

[振付]ジェローム・ロビンス
[音楽]ロバート・プリンス
[脚色&撮影]ジョディ・リー・ライプス
[コンセプト]エレン・バー&ショーン・スオジ
[プロダクション・デザイン]アリエル・シュルマン
[衣裳デザイン]ヤニツァ・ブラーヴォ
[バレエマスター]ジャン=ピエール・フローリッヒ
[出演]ニューヨーク・シティ・バレエ団
[監督]ヘンリー・ジュースト、ジョディ・リー・ライプス
[制作]2010年

TEL:045-330-2178 月〜金 9:30〜18:30 祝日は除く
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03 月の番組ガイド&番組表 e-Book
NEWS
  • 2017.02.14
    2017年2月、3月の一部番組の放送時間変更のお知らせ
    2月19日に初放送を予定しております【ブロムシュテット&P・ゼルキン「ゲヴァントハウス定期演奏会2016」】の番組時間が想定より長いことが判明致しました。そのため、既にお知らせしております2月、3月の放送時間が下記の通り一部変更となります。詳しくはWEBサイトの日別番組表でご確認ください。

    2/19(日)
    ■変更前
    21:00~22:35 ブロムシュテット&P・ゼルキン「ゲヴァントハウス定期演奏会2016」
    22:35~23:05 クラシカ・音楽人〈びと〉「IIJ会長 鈴木幸一~音楽を愛し支える」
    23:05~24:00 ドキュメンタリー「ボリショイ・スタイルを求めて」

    ■変更後
    21:00~22:40 ブロムシュテット&P・ゼルキン「ゲヴァントハウス定期演奏会2016」
    22:40~23:10 クラシカ・音楽人〈びと〉「IIJ会長 鈴木幸一~音楽を愛し支える」
    23:10~24:00 ドキュメンタリー「ボリショイ・スタイルを求めて」

    2/20(月)
    ■変更前
    21:00~22:45 アレクサンダー・エクマンの『ある白鳥の湖』
    22:45~24:20 ブロムシュテット&P・ゼルキン「ゲヴァントハウス定期演奏会2016」
      ↓
    ■変更後
    21:00~22:40 アレクサンダー・エクマンの『ある白鳥の湖』
    22:40~24:20 ブロムシュテット&P・ゼルキン「ゲヴァントハウス定期演奏会2016」

    2/21(火)
    ■変更前
    17:00~18:45 アレクサンダー・エクマンの『ある白鳥の湖』
    18:45~20:20 ブロムシュテット&P・ゼルキン「ゲヴァントハウス定期演奏会2016」
      ↓
    ■変更後
    17:00~18:40 アレクサンダー・エクマンの『ある白鳥の湖』
    18:40~20:20 ブロムシュテット&P・ゼルキン「ゲヴァントハウス定期演奏会2016」

    2/22(水)
    ■変更前
    13:00~14:45 アレクサンダー・エクマンの『ある白鳥の湖』
    14:45~16:20 ブロムシュテット&P・ゼルキン「ゲヴァントハウス定期演奏会2016」
      ↓
    ■変更後
    13:00~14:40 アレクサンダー・エクマンの『ある白鳥の湖』
    14:40~16:20 ブロムシュテット&P・ゼルキン「ゲヴァントハウス定期演奏会2016」

    2/23(木)
    ■変更前
    10:00~11:45 アレクサンダー・エクマンの『ある白鳥の湖』
    11:45~13:20 ブロムシュテット&P・ゼルキン「ゲヴァントハウス定期演奏会2016」
      ↓
    ■変更後
    10:00~11:40 アレクサンダー・エクマンの『ある白鳥の湖』
    11:40~13:20 ブロムシュテット&P・ゼルキン「ゲヴァントハウス定期演奏会2016」

    2/24(金)
    ■変更前
    7:45~9:20 ブロムシュテット&P・ゼルキン「ゲヴァントハウス定期演奏会2016」
    9:20~10:00 ゲルギエフのショスタコーヴィチ「交響曲第9番」
      ↓
    ■変更後
    7:45~9:25 ブロムシュテット&P・ゼルキン「ゲヴァントハウス定期演奏会2016」
    9:25~10:00 ゲルギエフのショスタコーヴィチ「交響曲第9番」

    2/25(土)
    ■変更前
    15:55~17:30 ブロムシュテット&P・ゼルキン「ゲヴァントハウス定期演奏会2016」
    17:30~19:20 ラトル&ロンドン響2016「20世紀フランス音楽の夕べ」
      ↓
    ■変更後
    15:55~17:35 ブロムシュテット&P・ゼルキン「ゲヴァントハウス定期演奏会2016」
    17:35~19:20 ラトル&ロンドン響2016「20世紀フランス音楽の夕べ」

    3/5(日)
    ■変更前
    17:35~19:10 ブロムシュテット&P・ゼルキン「ゲヴァントハウス定期演奏会2016」
    19:10~21:00 ラトル&ロンドン響2016「20世紀フランス音楽の夕べ」
      ↓
    ■変更後
    17:35~19:15 ブロムシュテット&P・ゼルキン「ゲヴァントハウス定期演奏会2016」
    19:15~21:00 ラトル&ロンドン響2016「20世紀フランス音楽の夕べ」
  • 2017.02.14
    番組ガイド内容誤表記のお詫び
    2月号、3月号の番組ガイドの索引におきまして、下記タイトルの番組情報表記に誤りがございました。
    謹んでお詫び申し上げます。

    ラトル&ロンドン響2016「20世紀フランス音楽の夕べ」

    <誤>
    [演目]フランシス・プーランク:二重混声合唱のためのカンタータ『人間の顔』、シャルル・ケクラン:ラドヤード・キップリングの「ジャングル・ブック」を題材にした『レ・バンダール=ログ』(猿のスケルツォ)、ジェルジ・クルターク:厳かな小音楽~ピエール・ブーレーズの90歳の誕生日に(ドイツ初演)、モーリス・ラヴェル:バレエ『ダフニスとクロエ』[指揮]サー・サイモン・ラトル[演奏]ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団、ベルリン放送合唱団[合唱指揮]ギース・レーンナールス[収録]2016年2月20日フィルハーモニー(ベルリン)
    ■字幕/約1時間41分

    <正>
    [演目]モーリス・ラヴェル:クープランの墓(プレリュード/フォルラーヌ/メヌエット/リゴドン)、アンリ・デュティユー:ヴァイオリン協奏曲『夢の樹』、モーリス・ドラージュ:4つのインドの詩、アンリ・デュティユー:メタボール、モーリス・ラヴェル:バレエ『ダフニスとクロエ』第2組曲[指揮]サー・サイモン・ラトル[演奏]ロンドン交響楽団、レオニダス・カヴァコス(ヴァイオリン)ジュリア・ブロック(ソプラノ)[収録]2016年1月13日バービカンホール(バービカンセンター内、ロンドン)[映像監督]フランソワ=ルネ・マルタン
    ■ 字幕/約1時間41分
  • 2016.11.10
    放送障害のお詫び
    2016年11月10日(木)10時07分頃、番組宣伝映像におきまして、映像が止まるなど、お見苦しい箇所が御座いましたことをお詫び申し上げます。

    今後ともクラシカ・ジャパンをよろしくお願い申し上げます。
  • 2016.09.30
    10月編成変更のお知らせ
    10月9日(日)21時~放送の BBCプロムス2016「バレンボイム&アルゲリッチ」 において、公演プログラムに変更があり、予定より長いコンサートとなりました。

    そのため、既にお知らせしております10月の編成内容が一部変更となります。

    10月9日(日)~15日(土)、23日(日)の放送スケジュールについては、各日別番組表のページをご確認ください。
  • 2016.04.04
    ザルツブルク・イースター音楽祭2016『オテロ』の公演収録日について
    ザルツブルク・イースター音楽祭2016『オテロ』につきまして、3月27日公演を放送予定でしたが、主催者側の都合により、3月27日には映像収録が行われませんでしたので、クラシカ・ジャパンでは、予定を変更して3月19日プレミエ公演を日本語字幕付きで放送いたします。
  • 2016.03.01
    『スカパー!プレミアムサービス 新規加入キャンペーン』
    3月中にスカパー!プレミアムサービスにて、クラシカ・ジャパンのご視聴をお申込みいただくと、4月、5月の2ヵ月間、各月の月額視聴料が1,000円(税込)になります!
    3月31日(木)のお手続き完了分まで対象となります。今が加入のチャンス!
    詳しくは、スカパー!0120-039-888(受付時間/10:00~20:00年中無休)までお電
    話ください。
  • 2015.10.30
    ホームページをリニューアルしました。
    ホームページをリニューアルし、10月30日に公開いたしました。コラムやアーティスト・インタビュー、クラシックの動画、放送情報などが楽しめるように内容をより分かりやすくし、デザインや構成を見直しております。今後、内容をさらに充実してまいりますので、引き続き、クラシカ・ジャパンをよろしくお願いします。
  • 2015.10.28
    スカパー!プレミアムサービス、プレミアムサービス光でクラシカ・ジャパンをご視聴頂いているお客様へ
    2015年10月26日(月)深夜3時より放送のシリーズ「明日のスターたち」#12はメンテナンスの為、スカパー!プレミアムサービスまたはスカパー!プレミアムサービス光にご加入のお客様はご視聴いただけません。一部の番組表に番組名の記載があり、ご迷惑をおかけしたことをお詫び申し上げます。
  • 2015.10.20
    11月の番組情報を公開いたしました。
    11月の番組表情報と番組表・番組ガイドのebookをUPしました。ぜひご覧ください。
  • 2015.10.07
    番組情報表記変更のお詫び
    2015年9月より放送している「ボリショイ・バレエ1991『ジゼル』」におきまして、番組情報表記に一部誤りがございました。下記の通り変更し、お詫び申し上げます。

    【変更前】
    ヴィクトール・バリキン(アルベルト)

    【変更後】
    アレクセイ・ファジェーチェフ(アルベルト)