来月のラインナップ
5月のドキュメンタリー
初回放送 5月22日(火) 21:00~22:05
魅惑的な美声と高音で「キング・オブ・ハイC」の異名を取ったルチアーノ・パヴァロッティ(1935-2007)。「三大テノール」の立役者であり、クラシック音楽家として異例の人気を誇った彼は、今なお世界で最も有名なオペラ歌手としての地位を不動のものとしている。この番組は、パヴァロッティ没後10年目にフランスのルネ=ジャン・ブイエ監督が制作した伝記的ドキュメンタリー。その生い立ちから歌手デビュー、アメリカ進出、キャリアの絶頂期、三大テノールの活動と巨大アリーナでの公演、ポップ・スターたちとの共演、そして最晩年の姿まで、スーパースターの生涯を貴重写真とレア映像と共に年代順に辿る。しかし、この番組の真の意義は、本人の他界から10年という歳月とフランスの映像作家ならではの客観性が生み出した、徹底して中立的な視点。ブイエ監督は、プラシド・ドミンゴやズービン・メータ、スティングなどパヴァロッティと交流・共演した音楽家だけでなく、彼の最初の妻をはじめ多くの関係者や批評家にもインタビューを試み、ルチアーノ・パヴァロッティという音楽家の人生の光と影を公平に浮き彫りにする。特に、死の直前のパヴァロッティがトリノ五輪開会式で「口パク」で歌ったことを自著で明かしたレオーネ・マジエラ(指揮者)と、パヴァロッティの譜読みの能力について率直に回顧するジルド・ディヌンツィオ(ヴォーカル・コーチ)の証言は絶対にお見逃しなく。
[出演]レオーネ・マジエラ(指揮者)ズービン・メータ(指揮者)プラシド・ドミンゴ(テノール歌手)スティング(シンガーソングライター)ルッジェーロ・ライモンディ(バス・バリトン歌手)レオ・ヌッチ(バリトン歌手)アドゥア・ヴェローニ(パヴァロッティの最初の妻)エヴ・ルッジエリ(プロデューサー、パヴァロッティの伝記作者・友人)フレッド・プロトキン(音楽批評家)アンヌ・ミジェット(音楽批評家)セルジョ・セガリーニ(音楽学者)ジルド・ディヌンツィオ(ヴォーカル・コーチ)
[監督]ルネ=ジャン・ブイエ
[制作]2017年
エリザベート王妃国際音楽コンクール(ベルギー)は、ダヴィド・オイストラフ、ギドン・クレーメル、ワディム・レーピンら、名だたるヴァイオリニストを世に送り出してきた世界屈指の登竜門。しかし、その華々しい本選にまつわる一風変わった「しきたり」は、メディアではめったに取り上げられない。番組は、2015年エリザベート王妃国際音楽コンクール「ヴァイオリン部門」のファイナリストに選ばれた12人の若者たちが、寄宿舎で一週間の共同生活を送り、本選に備える様子を追ったドキュメンタリー。彼らは、寄宿舎到着早々に携帯電話やタブレット端末を全て「没収」され、師や家族とのコミュニケーションを徹底的に断たれて各々独力で本選に臨む。番組の原題「Imposed Piece(課題曲)」は、毎回このコンクールが本選のために現代作曲家に委嘱する楽曲のこと。本選出場者たちは、慣れ親しんだ協奏曲に加えて、超絶技巧を要する新曲を一週間で仕上げて披露しなければならない。カメラは、ファイナリストたちの微笑ましい交流や、ひたむきに練習に打ち込む様子を、ありのままに映し出し、ベストを尽くそうとする若き音楽家たちの凛とした姿をクローズアップ。普段は最終的な順位だけが報道され、話題を呼んでいる音楽コンクールの、新たな一面を垣間見ることができる。表彰式で起こったハプニングの舞台裏や第6位入賞の毛利文香の力演、第3位に輝いたウィリアム・ヘイゲンによる見事な「課題曲」の演奏など、見どころ満載!
[出演]イム・ジヨン(2015年エリザベート王妃国際音楽コンクール第1位/韓国)オレクシー・セメネンコ(同第2位/ウクライナ)ウィリアム・ヘイゲン(同第3位/アメリカ)トビアス・フェルドマン(同第4位/ドイツ)ステファン・ワーツ(同第5位/アメリカ)毛利文香(同第6位/日本)マリン・オールソップ(指揮者)ベルギー国立管弦楽団 他
[収録]2015年5月エリザベート王妃国際音楽コンクール「ヴァイオリン部門」(ブリュッセル)
[監督]ブレヒト・ヴァンホーナッカー
[制作]2017年