CLASSICA JAPAN

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インタビュー

2017 / 01 / 31

ヤマカズの《カルメン》!今もっとも注目される日本人指揮者が初めてオペラ全曲に挑む話題の公演!

 今、世界中で若手指揮者が元気だ。日本でも30代にして注目されている指揮者が少なくないが、山田和樹はその筆頭だろう。38歳の若さで、国内外の主要オーケストラで重要なポストを務め、ベートーヴェンからマーラーまでレパートリーも広い。その山田が来月早々に藤原歌劇団の《カルメン》を振るが、なんとこれがオペラデビューだという。公演前の舞台稽古に入ったマエストロに、公演への抱負をきいた。

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—今回の《カルメン》がオペラデビューになるとうかがいましたが、本当ですか?

山田(以下Y):そうなんです。クセナキスの《オレスティア》とか、オネゲルの《火刑台上のジャンヌ・ダルク》のようなオラトリオは振ったことがあるんですが、ピットに入ってオペラ全曲を指揮するのは初めてです。

—記念すべき初めてのオペラに《カルメン》を選ばれた理由は?

Y:フランスものが好きなので。共演の日本フィルさんは、以前はジャン・フルネさんの指揮で《ペレアスとメリザンド》なんかもやっていますし。《ペレアス》も考えたのですが、やっぱり難しいオペラなので、《カルメン》にしました。名作ゆえの難しさもありますが。。。日本フィルは、オペラを演奏するのは28年ぶりですが、28年前も藤原歌劇団の《カルメン》だったそうです。

—すごい偶然ですね!日本フィルとの共演は最初から決まっていたのですか?

Y:ええ、自分の日本でのオペラデビューは日本フィルで、と決めていました。なので、藤原さんからオペラの指揮のオファーを受けた時に、オーケストラはやはり僕が正指揮者をやっている日本フィルで、とお願いしたわけです。やっぱり長年お付き合いして、色々なことをやって、信頼関係が築けていますから。初めて自分でチケットを買って出かけたコンサートも日本フィルで、それで感動を与えてもらって。

—《カルメン》という作品の魅力について教えていただけますか?

Y:まずドラマがすごいですよね。シンプルでわかりやすいし。カルメンというスーパーヒロインがいて、主役4人の関係性が面白く、読み込み方もいろいろできる作品ですね。
 僕は、カルメンは最後までホセが好きだったのではないかと思っているんです。もちろんエスカミーリョと関係はあるけれど、ホセにも気持ちが残っているから、彼になら殺されてもいいと思っているのではないかと。まあ、僕がそう思いたいのかも。笑。色々なしがらみのある現代社会で、たとえそうありたいと思ってもホセみたいな行動にはなかなか走れない。そんな意味で憧れもあります。

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—音楽の魅力はどうでしょう。

Y:もうね、すごいです。ビゼーはこの曲を書くためだけに生まれてきたといってもいいくらい。音楽的によく書けているし、ハーモニーの魅力も詰まっているし、登場人物それぞれにテーマがあって、そのテーマの組み合わせ方もうまい。4幕の幕切れなど、そのテーマが折り重なって圧倒的です。コントラストも凄いです。闘牛場のなかからは長調の明るい音楽が聴こえてくるのに、舞台上では暗い出来事が進行していて、そのコントラストが凄い。人を殺す時に明るい音楽。黒澤明の映画みたいです。
 そして何と言ってもメロディが凄い。オペラを知らないひとでも知っていて、耳に覚えやすい、一発で頭に入るメロディが次から次へと出てきて、全部が歌える。オペラを観に来て、音だけでも楽しめる、それくらい「強い」作品です。こんなオペラは、今後も現れないのではないでしょうか。もちろんビゼーには若書きの名曲もあるけれど、《カルメン》みたいにエモーショナルな作品ではないんですね。

—キャストについてはどうでしょう。

Y:AキャストとBキャストで、うまい具合に対照的な雰囲気になっていますね。Aキャストは情熱的で、Bキャストはちょっとたおやかな雰囲気。両方見比べるのもとても面白いと思いますよ。

—岩田達宗さんによる演出のコンセプトについて教えていただけますか?

Y:いわゆる「読み替え」はしないのですが、ファシズム全盛の1940年代に設定を移しています。幕切れの闘牛場は、身分や年齢などを超えてすべての人々が集まれる「ユートピア」的な場所になるようです。
 「赤い月」が象徴的に出てくるのも特徴かな。「赤い月」って、人間の何かを覚醒させり、不吉なものの予兆なんですよね。

—演出との共同作業はいかがでしょう?

Y:すごく楽しいです。岩田さんは音楽にすごく通じていて、音楽的な疑問にも答えてくれるので助かります。ホセとエスカミーリョの決闘シーンで、音楽がわりと単純なのは、ふだん牛を相手にしているエスカミーリョが、人間が相手でわくわくしているから、とか。そういう読み込み方が面白い。演出と音楽が一体になる、オペラはその魅力ですね。

—合唱の東混も山田さんのホームグラウンドですよね。

Y:改めて、合唱の可能性の凄さを感じました。オペラにとっての合唱は、たんなる群衆ではなく、個人の集団。東混がふだんやっている現代曲は、アンサンブルであり、揃えることが重要です。オペラでの経験、オペラの合唱のよさを東混に持ち帰りたいと思っています。

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—最後に、ヤマカズさんの《カルメン》の、ここを聴け!というところを教えてください。

Y:「どこまでキレイでなくできるか」というところかな。コンサートだと調和することが重要視されますが、オペラはそれとは違います。どこまでできるかわからないけれど、「キレイすぎる」方向でやってきた壁を破ってみたい。
 《カルメン》は大好きです。子供の頃、レコードを聴きながら、ソファによじ登って、菜箸を指揮棒にして指揮していました。笑。そんな思い入れも含めて、聴いていただければ嬉しいですね。

【藤原歌劇団公演『カルメン』】

2017年2月3日(金)~5日(日)東京文化会館大ホール
2017年2月11日(土・祝)愛知県芸術劇場大ホール
公式HPはコチラ

Photo by yoshinori Tsuru

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山田和樹
第51回ブザンソン国際指揮者コンクール優勝。現在、モンテカルロ・フィルハーモニー管弦楽団首席指揮者及び芸術監督、スイス・ロマンド管弦楽団首席客演指揮者、日本フィルハーモニー交響楽団正指揮者、仙台フィルハーモニー管弦楽団及び横浜シンフォニエッタの音楽監督などを務めている。神奈川県出身。

 

インタビュー・文

加藤浩子

音楽評論家。慶應義塾大学、同大学院修了(音楽学専攻)。大学院在学中、オーストリア政府給費留学生としてインスブルック大学留学。バッハとイタリア・オペラをテーマに、執筆、講演、オペラ&音楽ツアーの企画同行など多彩に活動。「ヴェルディ」(平凡社新書)「オペラでわかるヨーロッパ史」(平凡社新書)他著書多数。最新刊は「カラー版 音楽で楽しむ名画 フェルメールからシャガールまで」(平凡社新書)

TEL:045-330-2178 月〜金 9:30〜18:30 祝日は除く
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NEWS
  • 2017.07.10
    2017年7月、8月の一部番組の放送時間変更のお知らせ
    7月30日(日)及び、8月に放送を予定しております、「佐渡裕『真夏の夜のガラ・コンサート2017』 in グラフェネック」につきまして、当初出演予定だったカティア・ブニアティシヴィリのキャンセルにより、コンサートが想定より短くなりました。
    そのため、既にお知らせしております、放送時間が下記の通り一部変更となります。
    8月の編成内容につきましては7月20日に更新する、WEBサイト上の放送スケジュールを御確認下さい。

    7/30(日)
    ■変更前
    21:00~24:00 佐渡裕「真夏の夜のガラ・コンサート2017」 in グラフェネック

    ■変更後
    21:00~22:05 佐渡裕「真夏の夜のガラ・コンサート2017」 in グラフェネック
    22:05~24:00 ロッシーニ・オペラ・フェスティバル2009『絹のはしご』
  • 2017.02.14
    2017年2月、3月の一部番組の放送時間変更のお知らせ
    2月19日に初放送を予定しております【ブロムシュテット&P・ゼルキン「ゲヴァントハウス定期演奏会2016」】の番組時間が想定より長いことが判明致しました。そのため、既にお知らせしております2月、3月の放送時間が下記の通り一部変更となります。詳しくはWEBサイトの日別番組表でご確認ください。

    2/19(日)
    ■変更前
    21:00~22:35 ブロムシュテット&P・ゼルキン「ゲヴァントハウス定期演奏会2016」
    22:35~23:05 クラシカ・音楽人〈びと〉「IIJ会長 鈴木幸一~音楽を愛し支える」
    23:05~24:00 ドキュメンタリー「ボリショイ・スタイルを求めて」

    ■変更後
    21:00~22:40 ブロムシュテット&P・ゼルキン「ゲヴァントハウス定期演奏会2016」
    22:40~23:10 クラシカ・音楽人〈びと〉「IIJ会長 鈴木幸一~音楽を愛し支える」
    23:10~24:00 ドキュメンタリー「ボリショイ・スタイルを求めて」

    2/20(月)
    ■変更前
    21:00~22:45 アレクサンダー・エクマンの『ある白鳥の湖』
    22:45~24:20 ブロムシュテット&P・ゼルキン「ゲヴァントハウス定期演奏会2016」
      ↓
    ■変更後
    21:00~22:40 アレクサンダー・エクマンの『ある白鳥の湖』
    22:40~24:20 ブロムシュテット&P・ゼルキン「ゲヴァントハウス定期演奏会2016」

    2/21(火)
    ■変更前
    17:00~18:45 アレクサンダー・エクマンの『ある白鳥の湖』
    18:45~20:20 ブロムシュテット&P・ゼルキン「ゲヴァントハウス定期演奏会2016」
      ↓
    ■変更後
    17:00~18:40 アレクサンダー・エクマンの『ある白鳥の湖』
    18:40~20:20 ブロムシュテット&P・ゼルキン「ゲヴァントハウス定期演奏会2016」

    2/22(水)
    ■変更前
    13:00~14:45 アレクサンダー・エクマンの『ある白鳥の湖』
    14:45~16:20 ブロムシュテット&P・ゼルキン「ゲヴァントハウス定期演奏会2016」
      ↓
    ■変更後
    13:00~14:40 アレクサンダー・エクマンの『ある白鳥の湖』
    14:40~16:20 ブロムシュテット&P・ゼルキン「ゲヴァントハウス定期演奏会2016」

    2/23(木)
    ■変更前
    10:00~11:45 アレクサンダー・エクマンの『ある白鳥の湖』
    11:45~13:20 ブロムシュテット&P・ゼルキン「ゲヴァントハウス定期演奏会2016」
      ↓
    ■変更後
    10:00~11:40 アレクサンダー・エクマンの『ある白鳥の湖』
    11:40~13:20 ブロムシュテット&P・ゼルキン「ゲヴァントハウス定期演奏会2016」

    2/24(金)
    ■変更前
    7:45~9:20 ブロムシュテット&P・ゼルキン「ゲヴァントハウス定期演奏会2016」
    9:20~10:00 ゲルギエフのショスタコーヴィチ「交響曲第9番」
      ↓
    ■変更後
    7:45~9:25 ブロムシュテット&P・ゼルキン「ゲヴァントハウス定期演奏会2016」
    9:25~10:00 ゲルギエフのショスタコーヴィチ「交響曲第9番」

    2/25(土)
    ■変更前
    15:55~17:30 ブロムシュテット&P・ゼルキン「ゲヴァントハウス定期演奏会2016」
    17:30~19:20 ラトル&ロンドン響2016「20世紀フランス音楽の夕べ」
      ↓
    ■変更後
    15:55~17:35 ブロムシュテット&P・ゼルキン「ゲヴァントハウス定期演奏会2016」
    17:35~19:20 ラトル&ロンドン響2016「20世紀フランス音楽の夕べ」

    3/5(日)
    ■変更前
    17:35~19:10 ブロムシュテット&P・ゼルキン「ゲヴァントハウス定期演奏会2016」
    19:10~21:00 ラトル&ロンドン響2016「20世紀フランス音楽の夕べ」
      ↓
    ■変更後
    17:35~19:15 ブロムシュテット&P・ゼルキン「ゲヴァントハウス定期演奏会2016」
    19:15~21:00 ラトル&ロンドン響2016「20世紀フランス音楽の夕べ」
  • 2017.02.14
    番組ガイド内容誤表記のお詫び
    2月号、3月号の番組ガイドの索引におきまして、下記タイトルの番組情報表記に誤りがございました。
    謹んでお詫び申し上げます。

    ラトル&ロンドン響2016「20世紀フランス音楽の夕べ」

    <誤>
    [演目]フランシス・プーランク:二重混声合唱のためのカンタータ『人間の顔』、シャルル・ケクラン:ラドヤード・キップリングの「ジャングル・ブック」を題材にした『レ・バンダール=ログ』(猿のスケルツォ)、ジェルジ・クルターク:厳かな小音楽~ピエール・ブーレーズの90歳の誕生日に(ドイツ初演)、モーリス・ラヴェル:バレエ『ダフニスとクロエ』[指揮]サー・サイモン・ラトル[演奏]ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団、ベルリン放送合唱団[合唱指揮]ギース・レーンナールス[収録]2016年2月20日フィルハーモニー(ベルリン)
    ■字幕/約1時間41分

    <正>
    [演目]モーリス・ラヴェル:クープランの墓(プレリュード/フォルラーヌ/メヌエット/リゴドン)、アンリ・デュティユー:ヴァイオリン協奏曲『夢の樹』、モーリス・ドラージュ:4つのインドの詩、アンリ・デュティユー:メタボール、モーリス・ラヴェル:バレエ『ダフニスとクロエ』第2組曲[指揮]サー・サイモン・ラトル[演奏]ロンドン交響楽団、レオニダス・カヴァコス(ヴァイオリン)ジュリア・ブロック(ソプラノ)[収録]2016年1月13日バービカンホール(バービカンセンター内、ロンドン)[映像監督]フランソワ=ルネ・マルタン
    ■ 字幕/約1時間41分
  • 2016.11.10
    放送障害のお詫び
    2016年11月10日(木)10時07分頃、番組宣伝映像におきまして、映像が止まるなど、お見苦しい箇所が御座いましたことをお詫び申し上げます。

    今後ともクラシカ・ジャパンをよろしくお願い申し上げます。
  • 2016.09.30
    10月編成変更のお知らせ
    10月9日(日)21時~放送の BBCプロムス2016「バレンボイム&アルゲリッチ」 において、公演プログラムに変更があり、予定より長いコンサートとなりました。

    そのため、既にお知らせしております10月の編成内容が一部変更となります。

    10月9日(日)~15日(土)、23日(日)の放送スケジュールについては、各日別番組表のページをご確認ください。
  • 2016.04.04
    ザルツブルク・イースター音楽祭2016『オテロ』の公演収録日について
    ザルツブルク・イースター音楽祭2016『オテロ』につきまして、3月27日公演を放送予定でしたが、主催者側の都合により、3月27日には映像収録が行われませんでしたので、クラシカ・ジャパンでは、予定を変更して3月19日プレミエ公演を日本語字幕付きで放送いたします。
  • 2016.03.01
    『スカパー!プレミアムサービス 新規加入キャンペーン』
    3月中にスカパー!プレミアムサービスにて、クラシカ・ジャパンのご視聴をお申込みいただくと、4月、5月の2ヵ月間、各月の月額視聴料が1,000円(税込)になります!
    3月31日(木)のお手続き完了分まで対象となります。今が加入のチャンス!
    詳しくは、スカパー!0120-039-888(受付時間/10:00~20:00年中無休)までお電
    話ください。
  • 2015.10.30
    ホームページをリニューアルしました。
    ホームページをリニューアルし、10月30日に公開いたしました。コラムやアーティスト・インタビュー、クラシックの動画、放送情報などが楽しめるように内容をより分かりやすくし、デザインや構成を見直しております。今後、内容をさらに充実してまいりますので、引き続き、クラシカ・ジャパンをよろしくお願いします。
  • 2015.10.28
    スカパー!プレミアムサービス、プレミアムサービス光でクラシカ・ジャパンをご視聴頂いているお客様へ
    2015年10月26日(月)深夜3時より放送のシリーズ「明日のスターたち」#12はメンテナンスの為、スカパー!プレミアムサービスまたはスカパー!プレミアムサービス光にご加入のお客様はご視聴いただけません。一部の番組表に番組名の記載があり、ご迷惑をおかけしたことをお詫び申し上げます。
  • 2015.10.20
    11月の番組情報を公開いたしました。
    11月の番組表情報と番組表・番組ガイドのebookをUPしました。ぜひご覧ください。
  • 2015.10.07
    番組情報表記変更のお詫び
    2015年9月より放送している「ボリショイ・バレエ1991『ジゼル』」におきまして、番組情報表記に一部誤りがございました。下記の通り変更し、お詫び申し上げます。

    【変更前】
    ヴィクトール・バリキン(アルベルト)

    【変更後】
    アレクセイ・ファジェーチェフ(アルベルト)