ティエリー・マランダン「バレエの夕べ」
Soiree de Ballets 2013 three choreographies by Thierry Malandain
フランスとスペインの大西洋側の国境近くの高級リゾート地ビアリッツを本拠地とするマランダン・バレエ・ビアリッツが、2012年バスク地方サン・セバスチャンのビクトリア・ユージニア劇場で行った、同団芸術監督ティエリー・マランダンが振付けたトリプル・ビル。
ティエリー・マランダンは、パリ・オペラ座やナンシー国立バレエのダンサー出身の振付家。マランダン・バレエ・ビアリッツは、クラシックバレエとコンテンポラリーダンスを結びつける初の国立振付センターを作ろうというフランス文化・通信省の要請により、1998年に文化・通産省とビアリッツ市、バスク政府の共同でマランダンが創立した、国立振付センターを兼ねたバレエカンパニーです。
この公演のテーマは、フランス音楽とバレエ・リュスへのオマージュ。プログラムは、『牧神の午後』(1995年初演)『薔薇の精』(2001年初演)、そして2011年初演の『ある最後の歌』。
『牧神の午後』は好きな妖精に相手にされない孤独な牧神の物語。ドビュッシー『牧神の午後への前奏曲』をバックに、巨大なティッシュケースと使用済ティッシュしかない舞台で一人の男性ダンサーが恍惚と踊ります。1912年ミハイル・フォーキン振付で初演されたヴァーツラフ・ニジンスキー版のパロディともいえる作品。
テオフィル・ゴーティエの詩「まぶたを開けて下さい。私は夕べの舞踏会であなたが胸につけた薔薇の精です」をモティーフとする『薔薇の精』も、同じくフォーキン振付/ニジンスキー版のパロディ。音楽はウェーバーのピアノ曲『舞踏への勧誘』のベルリオーズ管弦楽編曲版。見どころは、当バレエ団のトップとして活躍する兼井美由季の存在感と素晴らしさ!
『ある最後の歌』は、今最も熱いフランスの古楽アンサンブル「ル・ポエム・アルモニーク」のエキサイティングな宮廷歌謡を聞きながら、10人(男女5組)のダンサーのスタイリッシュなダンスと中世バロックの雰囲気が融合する、この不思議な感覚は凄くカッコいい!
「どんなにアバンギャルドであっても、ダンスはそのDNAの中に必ず古典的な伝統を持っている」と語るように、斬新でシンプル、そしてクラシカルなマランダンの振付は、その洗練された動きの中にさまざまなメッセージや情感を感じとることができます。本当にダンスの多彩な表現が実感できる番組。日本ではそれ程知られていませんが、世界にはこんなにいいバレエカンパニーが存在し、素晴らしい振付家がいるのです。
[演目]牧神の午後[音楽]クロード・ドビュッシー:牧神の午後への前奏曲[振付]ティエリー・マランダン[装置&衣裳]ホルヘ・ガラルド[照明]ジャン=クロード・アスキエ[出演]アルノー・マウイ[演目]薔薇の精[音楽]カール・マリア・フォン・ウェーバー(エクトール・ベルリオーズ編曲):舞踏への勧誘Op.65,J.260[振付]ティエリー・マランダン[装置&衣裳]ホルヘ・ガラルド[照明]ジャン=クロード・アスキエ[衣裳]ヴェロニク・ミュラ[出演]兼井美由季&ダニエル・ビスカヨ[演目]ある最後の歌[音楽]『宮廷の階段に~フランスの古いロマンスとコンプラント(哀歌)』よりヴァンサン・デュメストル(ル・ポエム・アルモニーク)編曲の音楽及び伝統的歌唱[振付・装置・衣裳]ティエリー・マランダン[照明]ジャン=クロード・アスキエ[出演]イオネ・ミレン・アギーレ、ジュゼッペ・キアヴァーロ、ミカエル・コント、エリス・ダニエル、フレデリク・デベルト、兼井美由季、ハコブ・エルナンデス・マルティン、クレール・ロンシャン、シルヴィア・マガリャニス、アルノー・マウイ
[収録]2012年11月24日&25日ビクトリア・ユージニア劇場(サン・セバスチャン)[映像監督]ソニア・パラモ
■約58分
(c)Les Films Figures Libres
放送日時 | 開始時刻 | 放送時間 |
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