2019 / 08 / 05
パリ国立オペラ座バレエ学校を眠りでサポート~株式会社エアウィーヴの高岡会長にインタビュー
テレビCMでもおなじみのエアウィーヴが、パリ国立オペラ座バレエ学校の寮のすべてのベッドに導入されていることはご存じだろうか。
今回、パリ国立オペラ座バレエ団のトップダンサーたちを迎えた「ル・グラン・ガラ2019」の東京公演に特別協賛もしている株式会社エアウィーヴの高岡会長に、パリ国立オペラ座バレエ学校とのつながり、そしてバレエダンサーたちのパフォーマンスを睡眠で支える意義を聞いてみた。
石川了(バレエナビゲーター)
──御社がバレエに注目する理由を教えてください。
弊社はこれまで、身体のコンディションに敏感な、例えばオリンピックのアスリートのような人たちをサポートしてきました。地道な努力を重ねる彼らは、常に身体に負担をかけており、そのリカバリーにはとにかく睡眠が大切です。疲れをしっかり取るためには睡眠の質を上げることが重要で、それには睡眠環境や寝具が大きく影響します。
エアウィーヴは、寝返りが楽なこと、そして体圧を均等に分散することで身体への負担を軽減することが特長です。やはり身体を休めるのに、身体に負荷がかかってはいけません。
芸術に目を向けると、バレエも同じですよね。特にバレエは、女優をはじめ、フィギュアスケートや体操のようなアスリートも、表現する上での基礎としてやっている方が多い。つまり、身体を使う芸術として、世界共通の普遍的な位置づけがあるわけです。
私たちは、歌舞伎俳優の坂東玉三郎さんをサポートさせていただいております。エアウィーヴは玉三郎さんのような、眠りに対して敏感な一流アーティストに使ってもらうと睡眠の変化をよく理解していただけます。だから、バレエでも世界のトップバレエ団にエアウィーヴを提供し、将来を担うトップバレエダンサー眠りの質を支えているのです。
──パリ国立オペラ座バレエ学校をサポートするきっかけは何だったのですか。
2013年初頭にドロテ・ジルベールさんの舞台を観る機会がありました。バレエを観るのは、実はその時が初めてだったのですが、あまりに素晴らしくて、終演後に楽屋にご挨拶に伺いました。彼女は汗を拭きながら「私たちはアスリートなんですよ」とおっしゃっていたのを覚えています。
その後、ご縁があって、パリ国立オペラ座バレエ学校のエリサベット・プラテル校長を紹介され、寝具の話をしたら非常に評価して下さり、「じゃあ、子供たちのベッドに入れましょう」と話がとんとん拍子に進みました。
──そこから、パリ・オペラ座とエアウィーヴの関係はどのように深まっていったのですか。
私は、契約成立が嬉しくて、スタインウェイのグランドピアノを1台、バレエ学校に寄付させていただいたんですね。すると、プラテル先生からテレビCMを撮らないかと提案していただき、史上初となるバレエ学校内でのCM撮影が実現しました。それが2014年1月のことです。このような機会をいただけたのは大変光栄でした。
その後「エトワール・ガラ」の協賛のお誘いをいただき、弊社にはとても意味があることだとサポートさせていただきました。パリ国立オペラ座バレエ学校の生徒たちをサポートしている私たちが、エトワールになった方たちの日本公演をサポートするのは当然の流れだろうと考えたのです。
──日本でもバレエダンサーを目指す被災地の子供たちをサポートするなど、社会貢献活動も積極的です。
東日本大震災で被災した子供たちをどうやってサポートできるか。お金を寄付するのも一つですが、私たちはやはり子供たちに夢を与えたいと考えたのです。そして、「エトワール・ガラ」の合間をぬって、ドロテさんやマチュー・ガニオさんたちと一緒に石巻・仙台・福島のバレエ学校に赴き、2日間にわたってバレエレッスンを実施しました。子供たちにとっては、憧れの存在が目の前にいるわけですから、大いに励みになったようです。
2016年からは、パリ国立オペラ座バレエ学校で実施しているサマースクールに参加する子供たちの費用を、弊社が一部負担させていただいております。
──御社として、そのような活動はどのような意義を持つものですか。
今回の冠公演には、エアウィーヴという商品をお客様に認知してもらうだけでなく、過去にバレエレッスンを受けた子供たちや、サマースクールでサポートした子供たちを公演に呼んで、彼らがエトワールたちに再会し、次の新たなステージに向かってほしいという期待がありました。
さらに、弊社の社員にも積極的に活動に関わってもらい、このような社会貢献の意義を理解してもらいたかった。今後もできるだけ継続的にやりたいですね。
──世界の主要バレエ団をすべて制覇するなど、エアウィーヴとしての何か野望はございますか。
現在、パリ・オペラ座とはとてもいい関係を築いています。そのような信頼関係を維持するには、供給先を広げるより、まずは弊社の商品を評価してくださる人たちをきめ細かくサポートすることの方が重要だと考えています。
現在、芸術系では、パリ国立オペラ座バレエ学校と英国ロイヤル・バレエスクール、国内では宝塚歌劇団のすみれ寮に商品を供給しています。彼らのような歴史と伝統を持つ超一流の団体は非常に厳しい目を持っており、商品を理解してもらうのが実はとても大変なのです。そして、彼らは良いものしか選ばない。
だから、世界のトップバレエ団に認められるということは、商品の良さをきちんと理解してもらえているということでもあり、弊社にとっては大きな価値となるのです。
弊社の世界におけるシェアはまだまだですが、今期の売上が160億円程であり、国内の最大手ベッドメーカーには肉薄しています。特に薄型マットレスパッドはかなりのシェアを取っています。
また、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の選手村寝具約2万床は、全て弊社が供給します。世界のアスリートたちのベッドがすべてエアウィーヴであることを考えるだけでワクワクします。
弊社は商品力が強み。これからも全ての人が最高のパフォーマンスを発揮できるよう、最新テクノロジーとサービスで皆様の眠りをサポートしていきたいと思っています。
高岡 本州(たかおか もとくに)
株式会社エアウィーヴ代表取締役会長兼社長。1983年名古屋大学工学部応用物理学科卒業。1985年慶応義塾大学大学院経営管理研究科で修士号を取得後、日本高圧電気㈱に入社。1987年に米国スタンフォード大学大学院にて経済システム工学科修士号を取得。1998年日本高圧電気社長に就任し、2004年㈱中部化学機械製作所(現エアウィーヴ)を引き継ぐ。現在㈱エアウィーヴ代表取締役会長と社長を兼任。