2018 / 09 / 18
「彩の国さいたま芸術劇場 さいたまダンス・ラボラトリVol.1(2018)~夏期集中ワークショップ公開リハーサル」レポート(2018年8月11日)

『27’ 52”』 ©️ matron2018
今年から始まった若手ダンサーの育成、作品の創作を行うことを継続してサポートする、彩の国さいたま芸術劇場の新企画「さいたまダンス・ラボラトリ」。8月11日に、書類選考で選ばれた24名が1日6時間、10日間にわたる集中ワークショップに参加し、その成果をお披露目するという公開リハーサルがありました。当日は、ネザーランド・ダンス・シアターに所属していた湯浅永麻、小㞍健太の二人が指導にあたったということで、熱心なダンス・ファンが集まりました。予想をはるかに超える素晴らしいパフォーマンスで、お客さんは感心しきり。パフォーマーだけでなくお客さんもまた、心地よい興奮に包まれたのでした。

『Recall』 ©️ matron2018
講師の二人による『Recall』(ヴァツラフ・クネシュ振付)では、表現力、身体能力、踊る二人の美しさに圧倒。最後は、湯浅が演出・構成を手がけた『solos』。ムーブメントは受講生全員が考え、24人の群舞が続く中で時折ソロやデュオが展開されるこのパフォーマンスは特に完成度が高く、とても10日間で創作したとは思えぬクオリティでした。音楽は、湯浅が以前ラモーのオペラ『優雅なインドの国々』(シディ・ラルビ・シェルカウイ演出・振付)に出演した際、とても好きになったという曲を使用(サウンド・デザイン森本洋太)、効果的な照明(照明デザイン岩品武顕)も加わり、センスの良い作品に仕上がっていました。
プロデューサーの佐藤まいみが司会進行し、湯浅と小㞍が登壇したポストトークでは、10日間で参加者が変化していく様子、クリエーションの過程などについて語られました。この「さいたまダンス・ラボラトリ」はこれからも継続して行われます。指導者としての力量も知らしめることになった湯浅と小㞍は、来年も講師を続けるとのこと。いつか公演として披露してほしいと思わせる、大成功の公開リハーサルでした。
結城美穂子(エディター/音楽・舞踊ライター)

©️ matron2018
結城美穂子 Mihoko Yuki
出版社勤務を経てフリーランスのエディター/ライターとして活動中。クラシック音楽、バレエ、ダンスを得意ジャンルとする。バレエ・ダンス情報誌『ダンツァ』元編集長。単行本・ウェブマガジン・公演パンフレットの編集と執筆、またオペラ、バレエの初心者向け鑑賞ガイドのレクチャー講師を務める。