2018 / 10 / 11
ウィールドン振付によるスリリングなバレエ体験! 新国立劇場バレエ団『不思議の国のアリス』公開リハーサル(2018年9月24日 新国立劇場中劇場)

ジャクリーン・バレットによる渡邊峻郁&米沢唯の振付指導

ジェイソン・ファウラーによる宇賀大将の振付指導
リハーサルはイモ虫(宇賀大将)から始まりました。オリエンタルな音楽に合わせた振付は、間違いなく5つのポジションに基づくバレエでありながら、キレのあるコンテンポラリー・ダンスの要素も強く感じる独特なもの。振付指導の二人、ジャクリーン・バレット、ジェイソン・ファウラーからの言葉“ウィールドン的”という言葉でしか表現できない、他の振付家と違う大きく、パンチの効いた動きでありながら、大変デリケートで繊細という要素を併せ持ったムーヴメントが全編を通じて見所の一つになるでしょう。
続いて、時に追われ半ばパニック状態にも見える白いウサギ(木下嘉人)は時計を見る仕草、アリス(米沢唯)をあしらいつつ踊るパ・ド・ドゥなどを見せてくれました。一部ではあったものの、それぞれの場面が浮かびあがるほどの完成度。
最後はパイを盗んだハートのジャック(渡邊峻郁)とアリス(米沢唯)のパ・ド・ドゥ。本当に細かい「パ」が沢山、そして二人のコンビネーションと高度なテクニックなくしては踊れない振付。振付指導によってその場で変わって行く姿を見ることができました。

木下嘉人(白ウサギ役)&米沢唯(アリス役)
本番まであと少し、衣裳なしだったからこそ見えた部分もあったとは言え、仕上がりが今から楽しみ。大人から子供まで楽しめる作品になるのは間違いないでしょう。
芳賀直子(舞踊史研究家)
新国立劇場バレエ団『不思議な国のアリス』
日時:2018年11月2日(金)19:00/3日(土・祝)14:00/4日(日)14:00/7日(水)13:00/8日(木)13:00/10日(土)13:00・18:30/11日(日)14:00
会場:新国立劇場オペラパレス
芸術監督:大原永子
振付:クリストファー・ウィールドン
音楽:ジョビー・タルボット
美術・衣裳:ボブ・クロウリー
照明:ナターシャ・カッツ
台本:ニコラス・ライト
映像:ジョン・ドリスコル、ジュンマ・キャリントン
パペット:トビー・オリー
マジック・コンサルタント:ポール・キエーヴ
指揮:ネイサン・ブロック
演奏:東京フィルハーモニー交響楽団
共同制作:オーストラリア・バレエ
アリス:米沢唯(2日・4日・8日・10日18:30)/小野絢子(3日・7日・10日13:00・11日)
ハートのジャック:渡邊峻郁(2日・4日・8日・10日18:30)/福岡雄大(3日・7日・10日13:00・11日)
お問い合わせ:
新国立劇場Webボックスオフィス http://pia.co.jp/nntt/
ボックスオフィス 03-5352-9999(10~18時/年末年始、休館日を除き年中無休)
芳賀直子 Naoko Haga
舞踊史研究家。舞踊、中でもバレエ史を中心に研究を行っている。専門はバレエ・リュス、バレエ・スエドワ。明治大学大学院文学部演劇学専攻博士課程前期修了(文学修士取得)。1998年のセゾン美術館における『バレエ・リュス』展での仕事を皮切りに、舞踊史研究家として執筆、講演、展覧会監修等を行うようになる。雑誌、新聞、プログラム、各種媒体への執筆活動と共に、そのエレガントでアグレッシブな独特の語り口による講演の人気も高い。大正大学客員准教授も務めている。著書は『バレエ・リュス~その魅力のすべて~』(国書刊行会)、『バレエ・ヒストリー~バレエの誕生からバレエ・リュスまで~』(世界文化社)他。最新刊は『祇園祭の愉しみ~山鉾と御神輿の悦楽~』(PHP出版)。