2018 / 11 / 19
薄井憲二バレエ・コレクション特別展 The Essence of Beauty バレエ―究極の美を求めて― そごう美術館学芸員による展示案内
『薄井憲二バレエ・コレクション特別展 The Essence of Beauty バレエ―究極の美を求めて―』が、2018年11月23日~12月25日まで、神奈川県横浜市のそごう美術館で開催される。会場には、日本バレエ協会前会長の薄井憲二が収集した世界でも有数の規模を誇る貴重なコレクションや、鎌倉市所蔵のエリアナ・パヴロバの遺品、牧阿佐美バレヱ団の衣装、東京シティ・バレエ団の復元公演で注目を集めた藤田嗣治の『白鳥の湖』舞台美術資料、アンナ・パヴロワの貴重映像などが展示される。開催に先駆け、展示を企画したそごう美術館の二宮一恵学芸員を訪ね、企画の見どころを伺った。

アンナ・パヴロワ『瀕死の白鳥』
1905年©兵庫県立芸術文化センター
会場を大きく3つのエリアに分け、入口から順に「バレエを知る」「バレエを観る」「バレエを踊る」というテーマで構成しました。最初の「バレエを知る」コーナーでは、薄井憲二バレエ・コレクションにより、バレエの誕生から宮廷バレエ、ロマンティック・バレエ、バレエ・リュスまでの流れをお見せし、さらに日本初のバレエ学校を開校したエリアナ・パヴロバさんの遺品も展示して、バレエの歴史を学んでいただきます。展示するのは、美術的価値の高いアンティークプリント、ダンサーたちの直筆の手紙や写真、文献などで、会場には約300点のコレクションが並びます。
さらに、日本にバレエブームを起こしたきっかけとなるアンナ・パヴロワの貴重映像をお見せすることで、バレエが伝来した1920年代当時の様子を知っていただけるのではないでしょうか。
「バレエを知る」のセクションには、美術と絡めたコーナーも用意しています。ここでは、ピカソやマリー・ローランサン、シャガールといった名だたる画家たちが描いたバレエの公演プログラムなどを展示します。一般の方には、彼らほど世界的に有名な画家が、バレエ関連作品を手掛けているということはあまり知られていないかもしれません。総合芸術の極みとも言われるバレエと美術の関係性を、ぜひこのコーナーでお楽しみいただきたいですね。

ジョルジュ・バルビエ版画『ル・カルナヴァル』より「クラウンとコロンビーヌとアルルカン」1914年
©兵庫県立芸術文化センター
──次の「バレエを観る」のセクションはどのように構成されていますか?
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牧阿佐美バレヱ団『白鳥の湖』衣装(撮影:山廣康夫)
──最後の「バレエを踊る」のセクションについても教えてください。
こちらでは、小規模ではありますが実際のバレエスタジオの空間を再現します。バーと鏡に加え、ハーレクイン社の床材を設置し、来館者の皆さまに踊るバレエを体感していただきます。さらに銀座ヨシノヤさんが1930年代に作った日本初のトウシューズの展示も予定しています。また、チャコットさんのご協力のもと、トウシューズ制作秘話などをパネル解説でご紹介します。

マリー・タリオーニ『ラ・シルフィード』1833年頃 アンティークプリント
©兵庫県立芸術文化センター
バレエを知る上では、動画があると一番良いのですが、残念ながら映像資料はほとんどなく、その歴史は平面の資料からしか知ることができません。そのため、まず歴史を語るコレクションを選ぼうと考えました。
それと同時に、私どもは美術館ですので、アートの部分を見せていきたいという思いもありました。バレエの歴史と美術では、バレエ・リュスが取り上げられることはこれまでよくあったのですが、今回はあえてフラットに歴史を追っていく形にしています。また、より多くの方に耳馴染みのあるピカソやマリー・ローランサン、シャガールといった芸術家によるバレエ・コレクションを選んでいます。
そして、展覧会のタイトルにありますように、美の本質、究極の美を展覧会の全体テーマにおきましたので、女性の憧れのダンサーや、作品を多く取り上げる結果となりました。
──最後に展示への想いをお聞かせください。

ファニー・エルスラー『画家の譫妄(せんもう)』1843年頃 アンティークプリント©兵庫県立芸術文化センター
バレエを観るのが好きな方は思わず踊りたくなるような、バレエを習っている方はバレエ公演をすぐに観に行きたくなるような、そんな次のアクションに向かいたくなるような会場構成にしています。バレエの魅力が2倍、3倍になる仕掛けが満載ですので、ぜひお気軽にご来館ください。
お子様向けのジュニアガイドも作成いたしますので、バレエを習っているお子さまにも楽しんでいただけるのではないでしょうか。明日からのバレエライフが、きっと楽しくなると思います。
クラシカ・ジャパン編成部 井手朋子
本展の招待券を10組20名様にプレゼントいたします。応募の詳細は下記をご覧ください。
https://www.classica-jp.com/members/present/
薄井憲二バレエ・コレクション特別展
The Essence of Beauty バレエ―究極の美を求めて―
日時:2018年11月23日(金・祝)~12月25日(火)10:00~20:00(入館は閉館30分前まで)※会期中無休
会場:そごう美術館(そごう横浜店6階)
入館料:大人1,000円、大学生・高校生800円、中学生以下無料 ※前売券はそれぞれ200円引き(各種プレイガイドで販売)
~関連イベント~(会場はいずれもそごう美術館展示室内となります)
■クラシック・ヨコハマ2018 ミュージアムコンサート
横浜ゆかりの演奏家たちが、華麗なクラシック音楽の世界をお届けします。
日時:11月25日(日)14:00~15:00
出演者:ミュージック・マスターズ・コース・ジャパン(MMCJ)修了生:大平治世(fl)、吉野駿(Vn)、鶴友見(Va)、饗庭萌子(Vc)
日時:12月9日(日)14:00~15:00
出演者:横浜市民広間演奏会(フルート四重奏)、佐々木ふみ、島田結衣、後藤菜美、大岡三佐子
参加費:無料(別途展覧会入館料が必要です)
座席数:60席(予約不要)※満席の場合はお立見となります
■牧阿佐美バレヱ団ダンサーズトーク「12月公演『くるみ割り人形』の見どころほか」
日時:12月2日(日)14:00~15:00
ゲスト:織山万梨子氏(金平糖の精)、石田亮一氏(王子)、日髙有梨氏(雪の女王)
参加費:1,000円(税込)※別途入館料が必要です
定員:60名(事前申し込み・先着順)
■コンテンポラリーダンス版『瀕死の白鳥』実演付トーク「『瀕死の白鳥』の魅力」
日時:12月16日(日)14:00~15:00
講師:関典子氏(本展監修、舞踊家、神戸大学大学院准教授、薄井憲二バレエ・コレクション・キュレーター)
参加費:500円(税込)※別途入館料が必要です
定員:50名(事前申し込み・先着順)
■特別講演会「エリアナ・パヴロバと日本初のバレエ学校」
日時:12月23日(日)14:00~15:00
講師:川島京子氏(本展監修、早稲田大学講師、東京藝術大学講師、早稲田大学演劇博物館招聘研究員)
参加費:500円(税込)※別途入館料が必要です
定員:60名(事前申し込み・先着順)
定員に達し次第、締め切ります。内容は予告なく変更、または中止となる場合があります。
参加申込・お問合せ:そごう美術館 TEL045-465-5515