2019 / 02 / 05
【本番直前!】オール・リスト・プログラムのリサイタルを開催する阪田知樹さんに、リストへの想いと公演への意気込みを聞く
2016年に行われたフランツ・リスト国際ピアノコンクールに於いて、審査員満場一致で第1位を受賞した阪田知樹さんが、2月11日にオール・リストのリサイタルを行う。阪田さんにとって、リストは思い入れの強い作曲家だ。リストとの出会いは中学生の時。初めてリスト作品に取り組んだ阪田さんは、それまで取り組んできたバッハやショパン、ベートーヴェンとは異なる新たな感覚を覚えたそうだ。リストに対して言葉で言い表せない不思議な印象を抱き、その音楽性をすぐには吸収できなかったという。そこで彼の作品を片っ端から聴き、演奏することで、いつしかリストマニアに──。
リストの多角的な魅力を1人でも多くの方に知ってもらいたいという一心で探究を続け、その延長上にあったのがフランツ・リスト国際ピアノコンクールだった。リストの生まれ故郷であるハンガリーで、自分の演奏をどのように聴いてもらえるのかを知りたかったという阪田さんは、意を決してコンクールに応募。見事アジア人男性として初の優勝を果たした。コンクール以降は、「こうして認めていただいたのだから、奢ることなく改めてリストの魅力を皆さんに広めていきたい」という気持ちが強くなったそうだ。
2月に行われるリサイタル「リストへの誘い」では、3部構成のプログラムを披露する。お客様の集中力が持続しやすいようにと、各30分ずつのステージにし、演目はバラエティに富む。核となるのは第2部の「ピアノ・ソナタ ロ短調」で、第1部と第2部にはリストが生涯で4種類作った「ラ・カンパネッラ」が2曲登場。晩年に書かれ、瞑想的で儚い美しさを持つ夜想曲「夢の中で」や、演奏機会の多い第2番に隠れて魅力が伝わりきれていない「バラード 第1番」も入れた。阪田さんが書いたカデンツァが挿入される「ハンガリー狂詩曲第2番」も聴きどころだ。
クラシックだけでなく、以前からジャズにも興味があったという阪田さんは、3月には中野翔太、松永貴志との競演「ピアノ・トリオ・スペクタクル」も行う。「いろいろな意味でスリリングなものになるのでは」と阪田さん自身が話すように、3台ピアノによるガーシュウィン「ラプソディ・イン・ブルー」では、こちらの想像を遥かに超える色彩豊かなプレイを繰り広げてくれることだろう。
この動画では、ピアノを始めた頃のことや、師であるアリエ・ヴァルディ氏とパウル・バドゥラ=スコダ氏の教えについても話を聞いた。もちろんリストに対する熱い想いやリサイタルの詳細についてもたっぷりと語っていただいたので、お見逃しなく。
取材:クラシカ・ジャパン編成部 石川了/文:クラシカ・ジャパン編成部 井手朋子
インタビュー動画はこちらよりご覧ください。
【インタビューPART1】
【インタビューPART2】
【インタビューPART3】
阪田知樹ピアノ・リサイタル『リストへの誘い』
日程:2月11日(月・祝)13:00
会場:横浜みなとみらいホール 大ホール
<第1部>
●バラード 第1番
●パガニーニによる超絶技巧練習曲 第3曲「ラ・カンパネッラ」/第4曲「アルペジオ」
●夜想曲「夢の中で」
●ハンガリー狂詩曲 第2番(カデンツァ:阪田知樹)
<第2部>
●ピアノ・ソナタ ロ短調
<第3部>
●パガニーニによる大練習曲 第3曲「ラ・カンパネッラ」
●ベートーヴェン/リスト「アデライーデ(第3稿)」
●ベッリーニ/リスト 歌劇「ノルマ」の回想
中野翔太・松永貴志・阪田知樹 ピアノ・トリオ・スペクタクル
日程:3月8日(金)13:30
会場:東京オペラシティ コンサートホール
●リスト:愛の夢第3番(阪田知樹ソロ)
●ショパン:バラード第1番(阪田知樹ソロ)
●ガーシュウィン:ラプソディ・イン・ブルー(3台ピアノ)、ほか
問い合わせ:ジャパン・アーツぴあ 03-5774-3040
https://www.japanarts.co.jp/artist/TomokiSAKATA