2019 / 08 / 13
落合陽一×日本フィルハーモニー プロジェクトVOL.3『耳で聴かない音楽会2019』『交錯する音楽会』公開インタビュー

左より、落合陽一(演出)、近藤樹(ビジュアルデザイン)、海老原光(指揮) Ⓒ野呂美帆
メディアアーティストの落合陽一と日本フィルハーモニー交響楽団が、8月20日と27日の2夜にわたってテクノロジーとオーケストラを融合させた演奏会を行う。開催まで1カ月を切った7月22日、演出の落合陽一、指揮者の海老原光、ビジュアルデザインを担当するクリエイティブスタジオWOWの近藤樹が登壇し、公開インタビューが行われた。
取材・文:井手朋子(クラシカ・ジャパン編成部)
プロジェクトの見どころ

昨年開催されたVOL.1『耳で聴かない音楽会』の模様 Ⓒ山口敦
本プロジェクトは、テクノロジーによってオーケストラの新しい可能性を示し、聴覚障がいのある方をはじめ、普段オーケストラに馴染みのない人にも音楽を身近に感じてもらうことを目的とした画期的な演奏会だ。昨年開催したVOL.1『耳で聴かない音楽会』とVOL.2『変態する音楽会』は、そのコンセプトが高く評価され、広告電通賞やJACEイベントアワードなど、多くの賞を受賞した。
今回のVOL.3は、方向性の異なる2つの公演が別日程・別会場で行われる。第1夜となる8月20日の『耳で聴かない音楽会 2019』は、ダイバーシティをテーマに、聴覚障がいの有無に関わらず、あらゆる人たちが一堂に会して音楽を楽しむことができる演奏会。聴覚障がいのある方には、速さやリズムを振動で感じられる球体形のデバイス「SOUND HUG」、ヘアピンのように髪に装着する「Ontenna」、googleの音声文字変換アプリをインストールしたスマートフォンなどの聴覚補助デバイスを貸し出し、触覚や視覚で音楽を体感できるようにする。

公開インタビューに応じるメディアアーティストの落合陽一 Ⓒ野呂美帆
8月27日の第2夜『交錯する音楽会』は、昨年8月に開催されたVOL.2『変態する音楽会』をアップデートしたもの。最新のテクノロジーを駆使した映像演出で聴覚以外の感覚を揺さぶり、クラシック音楽の世界観を全身で感じられるような体験を演出する。この演奏会がユニークなのは、映像はあくまでも奏者の1人と位置づけ、視覚や聴覚と対話しながら、新たなオーケストラの表現を作り上げているところ。指揮者が振るタクトに合わせ、リアルタイムで映像が“演奏”される。タイトルの『交錯する』には、洋×和の交錯、アナログ×デジタル、自然×工業、主体×客体など、さまざまな意味が込められているという。
プロジェクトにかける3人の熱い想いは、公開インタビュー動画をご覧いただきたい。

昨年行われたVOL.2『変態する音楽会』の模様 Ⓒ山口敦
落合陽一×日本フィル プロジェクトVOL.3 第1夜《耳で聴かない音楽会2019》
https://www.japanphil.or.jp/concert/23719
日時:2019年8月20日(火)19:00
会場:東京オペラシティコンサートホール
演奏曲目
パッヘルベル:カノン
サン=サーンス:《動物の謝肉祭》オーケストラ版 他
落合陽一×日本フィル プロジェクトVOL.3 第2夜《交錯する音楽会》
https://www.japanphil.or.jp/concert/23720
日時:2019年8月27日(火)19:00
会場:東京芸術劇場
演奏曲目
小山清茂:管弦楽のための木挽歌
マーラー:アダージェット(交響曲第5番第4楽章)
ドビュッシー:《海》より第3楽章「風と海との対話」 他