2019 / 07 / 26
「フェリ ボッレ&フレンズ~レジェンドたちの奇跡の夏~」に出演するダンサーたちのリハーサルにお邪魔しました

左より、ロベルト・ボッレ、シルヴィア・アッツォーニ、ルイジ・ボニーノ、アレクサンドル・リアブコ
7月31日から文京シビックホールで行われる「フェリ ボッレ&フレンズ~レジェンドたちの奇跡の夏~」は、まさに豪華ダンサーが集う至高のバレエ・ガラだ。クラシカ・ジャパンは、ローラン・プティの2つの傑作『ボレロ』『アルルの女』のリハーサルに潜入。指導するのは、クラシカ・ジャパンのインタビュー番組「クラシカ・音楽人」でも昨年秋に登場し、今なおプティの神髄を伝えるために全世界を駆け巡るルイジ・ボニーノ。今回は、ダンサーたちのコメントと一緒に、ボニーノの熱血指導ぶりも動画でお楽しみいただきたい。
取材&文:石川了(バレエナビゲーター)
上野水香とマルセロ・ゴメスの『ボレロ』は男と女のファイティング
クラシカ・ジャパンではちょうど1年前に、上野水香プロデュース公演「ジュエルズⅡ」での上野と柄本弾の『ボレロ』リハーサルを動画取材したが、今回上野はマルセロ・ゴメスとの共演となる。
ベジャール版と並んで名高いプティ版『ボレロ』は、男女2人のデュエット。ボニーノが「この作品は男と女のファイティング」と語っていたが、上野&ゴメスの絡みは、賢いメス狐と野獣が追いつ追われつつの攻防をしているかのよう。
喧嘩したり、仲直りしたり、セクシーに誘惑したり、無視したり。ちょっと小ズルく、キュートで、チャーミングな上野の魅力が満載だが、彼女がゴメスと向き合うといつも笑顔を見せるので、ボニーノに「ここは喧嘩だよ」と指摘されることも。
以前ボニーノが「この作品は男性がキツイ」と話していたが、このリハーサルでも踊りの最中にゴメスのうめき声が漏れたり、本当にハードなんだなと見ていて実感。彼が動画で「2人のファイティングはまだまだこれから」と語っているが、本番までの2人のファイトぶりが楽しみだ。
シルヴィア・アッツォーニとアレクサンドル・リアブコの『アルルの女』は感情表現が凄い
ビゼー作曲の『アルルの女』を踊るのは、ハンブルク・バレエ団プリンシパルのシルヴィア・アッツォーニとアレクサンドル・リアブコ。ここでは、ボニーノの演技指導が圧巻だった。
手の握り方、腕の置く場所、脚の出す角度・・・。ボニーノは歌いながら、時にカウントを取りながら、動き一つ一つの意味合いを、フレデリとヴィヴェットという主人公たちのキャラクターを説明し、男役も女役も自分で演じながら粘り強く指導していく。
踊る女優、アッツォーニの動きと表情には目が釘付けだ。リアブコも、終曲はもちろん、その前のフレデリの感情表現に注目したい。本当に知的でエモーショナルな2人の踊りには目が離せない。
いつの間にか、“踊る彫刻”ボッレが私の横で寝そべりながらストレッチをしていた!さらにゴメスもやってきて、なぜか音出し担当に。みんなボニーノの指導を見学したいのかな。こんなアットホームな雰囲気の中で、ダンサー同士の強い絆と、この公演に賭ける彼らの想いが伝わるリハーサルだった。
フェリ ボッレ&フレンズ~レジェンドたちの奇跡の夏~
https://www.nbs.or.jp/stages/2019/ferri-bolle/
日時:
Aプロ 7月31日(水)19:00/8月1日(木)19:00/8月3日(土)13:00
Bプロ 8月3日(土)18:00/8月4日(日)15:00
会場:
文京シビックホール 大ホール
出演:
アレッサンドラ・フェリ(国際ゲストスター)
ロベルト・ボッレ(ミラノ・スカラ座バレエ団・アメリカン・バレエ・シアター プリンシパル)
シルヴィア・アッツォーニ(ハンブルク・バレエ団 プリンシパル)
アレクサンドル・リアブコ(ハンブルク・バレエ団 プリンシパル)
上野水香(東京バレエ団 プリンシパル)
マルセロ・ゴメス(国際ゲストスター)
メリッサ・ハミルトン(英国ロイヤル・バレエ団 ファーストソリスト)
カレン・アザチャン(ハンブルク・バレエ団 プリンシパル)
カーステン・ユング(ハンブルク・バレエ団 プリンシパル)
アレクサンドル・トルーシュ(ハンブルク・バレエ団 プリンシパル)
マルク・フベーテ(ハンブルク・バレエ団 ソリスト)
<Aプロ>
●「カラヴァッジオ」
振付:マウロ・ビゴンゼッティ 音楽:ブルーノ・モレッティ
出演:ロベルト・ボッレ&メリッサ・ハミルトン
●「フォーリング・フォー・ジ・アート・オブ・フライング」
振付:ナタリア・ホレチナ 音楽:ヨハン・セバスティアン・バッハ
出演:シルヴィア・アッツォーニ&アレクサンドル・リアブコ
●「ボレロ」
振付:ローラン・プティ 音楽:モーリス・ラヴェル
出演:上野水香&マルセロ・ゴメス
●「アミ」
振付:マルセロ・ゴメス 音楽:フレデリック・ショパン
出演:マルセロ・ゴメス&アレクサンドル・リアブコ
●「クオリア」
振付:ウェイン・マクレガー 音楽:スキャナー
出演:ロベルト・ボッレ&メリッサ・ハミルトン
●「アルルの女」
振付:ローラン・プティ 音楽:ジョルジュ・ビゼー
出演:シルヴィア・アッツォーニ&アレクサンドル・リアブコ
●「マルグリットとアルマン」全編
振付:フレデリック・アシュトン 音楽:フランツ・リスト
出演:アレッサンドラ・フェリ、ロベルト・ボッレ、マルセロ・ゴメス、アレクサンドル・リアブコ、他
<Bプロ>
●「バーンスタイン組曲」
振付:ジョン・ノイマイヤー 音楽:レナード・バーンスタイン
出演:アレッサンドラ・フェリ、シルヴィア・アッツォーニ、アレクサンドル・リアブコ、カレン・アザチャン、アレクサンドル・トルーシュ、マルク・フベーテ
●「リベルタンゴ」
振付:高岸直樹 音楽:アストル・ピアソラ
出演:上野水香&マルセロ・ゴメス
●「オルフェウス」よりパ・ド・ドゥ
振付:ジョン・ノイマイヤー 音楽:イーゴリ・ストラヴィンスキーほか
出演:ロベルト・ボッレ&シルヴィア・アッツォーニ
●「TWO」
振付:ラッセル・マリファント 音楽:アンディ・カウトン
出演:ロベルト・ボッレ
●「アモローサ」
振付:リッカルド・グラツィアーノ 音楽:アントニオ・ヴィヴァルディ
出演:シルヴィア・アッツォーニ&マルセロ・ゴメス
●「作品100~モーリスのために」
振付:ジョン・ノイマイヤー 音楽:サイモン&ガーファンクル
出演:ロベルト・ボッレ&アレクサンドル・リアブコ
●「フラトレス」(「ドゥーゼ」より)
振付:ジョン・ノイマイヤー 音楽:アルヴォ・ペルト
出演:アレッサンドラ・フェリ、アレクサンドル・トルーシュ、カレン・アザチャン、カーステン・ユング、マルク・フベーテ