2019 / 08 / 23
「日本人としてのスピリット」をバレエで描く~熊川哲也 Kバレエ カンパニー『マダム・バタフライ』制作記者発表

左より、中村祥子、矢内千夏、熊川哲也、成田紗弥、宮尾俊太郎 ©Aya Tarumi
2019年に創立20周年を迎えたKバレエ カンパニーが、この秋、熊川哲也が演出・振付・台本を手掛ける全幕バレエ『マダム・バタフライ』を世界初演する。
Bunkamura30周年記念公演『カルミナ・ブラーナ』の世界初演を9月頭に、熊川のオリジナル作品としては1ヶ月も経たない中での新作となる『マダム・バタフライ』。イタリアの作曲家プッチーニの名作オペラが、どのようなバレエに生まれ変わるのか。制作記者会見で語った熊川の想いとダンサーの意気込みをご覧いただきたい。(2019年7月29日グランドプリンスホテル高輪・貴賓館)
取材&文:石川了(バレエナビゲーター)
日本人のスピリットを表現

会見で思いを語る熊川哲也 ©Aya Tarumi
「令和という新年号の時に20周年を迎えることができ、日本を舞台にした名作を手掛けるということに、偶然の一致というか運命めいたものを感じる」と切り出した熊川は、バレエという西洋文化の中で、日本文化をどのように表現するかを悩み苦しんだ結果、日本文化を背負うのは「振付」ではなく、「日本人としてのスピリット」であると語った。
そして、今回実際に長崎を旅し、実在の“お菊さん”がバタフライのモデルであったのではという説を聞き、開国前の時代に生きた日本人女性のスピリットを、ダンサーたちにも持って踊ってほしいと熊川は意気込む。
プッチーニのオペラとは異なる構成
熊川版『マダム・バタフライ』も、大枠のストーリーはプッチーニのオペラと同じ。しかし、同じ3幕ながらストーリー構成が異なり、第1幕ではピンカートンの生い立ちと婚約者ケイトとの関係を打ち出し、第2幕はオペラにはないバタフライとピンカートンの出会いと2人の育まれる愛を描くとのこと。また、第2幕ではダニエル・オストリングがデザインする花魁の街の舞台美術にも注目だ。
ラストも少し変えようと思っていると明かした熊川。オペラとは趣が異なるバレエ版『マダム・バタフライ』の第3幕がどのような展開を見せるのか、ますます気になるところだ。
2020年のラインナップに宮尾俊太郎の第1回演出作品
会見には、熊川の他に、ヒロインのバタフライを演じる矢内千夏、成田紗弥、バタフライと花魁の2役を演じる中村祥子、そしてピンカートン役ながら本作で振付補佐としてもデビューした宮尾俊太郎が登壇。特に、「来年は宮尾俊太郎の第1回演出作品をお届けしたい」と熊川から発表があった宮尾は驚きと喜びと抱負を語り、彼らの固い信頼関係が出席者の胸を熱くした。
<公演概要>
熊川哲也Kバレエカンパニー Autumn2019
『マダム・バタフライ』 《全幕バレエ》
芸術監督:熊川哲也
https://www.tbs.co.jp/kumakawa/performance/201909.html#tktsp
http://www.k-ballet.co.jp/performances/2019madame-butterfly.html
演出・振付・台本:熊川哲也
原作:ジョン・ルーサー・ロング
音楽:ジャコモ・プッチーニ(オペラ『蝶々夫人』)ほか
舞台美術デザイン:ダニエル・オストリング
衣裳デザイン:前田文子
照明デザイン:足立恒
指揮:井田勝大
管弦楽:シアター オーケストラ トーキョー
日時会場:
2019年
9月27日(金)18:30/28日(土)12:30、16:30/29日(日)13:00 Bunkamuraオーチャードホール
10月10日(木)14:00/11日(金)14:00/12日(土)12:30、16:30/13日(日)12:30、16:30/14日(月・祝)13:00 東京文化会館 大ホール
マダム・バタフライ:矢内千夏/成田紗弥/中村祥子
ピンカートン:堀内將平/山本雅也/宮尾俊太郎
スズキ:荒井祐子/前田真由子/山田蘭
ボンゾウ:遅沢佑介/杉野慧
ゴロー:石橋奨也/伊坂文月
花魁:中村祥子/山田蘭/杉山桃子
ケイト:小林美奈/浅野真由香/戸田梨紗子
ヤマドリ:山本雅也/高橋裕哉
シャープレス:スチュアート・キャシディ
お問合せ・お申込:チケットスペース 03-3234-9999 (月~土10:00~12:00/13:00~18:00※日・祝は休)