2019 / 10 / 03
オペラ『蝶々夫人』に着想を得て作られた熊川哲也&Kバレエ カンパニー『マダム・バタフライ』~世界初演の日を終えて感動の声続々!

『マダム・バタフライ』第2幕 ピンカートンの庭 ©Hidemi Seto
熊川哲也が演出・振付・台本を手掛けた世界初演となるKバレエ カンパニーの全幕バレエ『マダム・バタフライ』が、東京・渋谷のBunkamuraオーチャードホールでスタートした。9月27日の公演初日には、多くの文化人や女優らが来場。会場では、「これまでにない和と洋を融合させた素晴らしい舞台」「海外の方にぜひ観ていただきたい革新的な作品」という声が多数聞かれた。10月10日からは、東京文化会館に会場を移して全7公演が行われる。残りの公演を前に、初日のステージを観劇した著名人の感想をお届けする。
取材・文:井手朋子(クラシカ・ジャパン編成部)
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『マダム・バタフライ』第1幕第2場 長崎の遊郭街 ©Hidemi Seto
三田佳子さん(女優)
「バレエというよりも、一篇のドラマを観させていただいたような重みを感じています。美術も衣装も演奏も素晴らしく、大変勉強になりました。言葉がない作品にも関わらず、音のない世界でドラマを感じさせてくれたことに一番驚いています。私も過去に花魁を演じましたが、高下駄を履いて八の字を描くように歩く八文字は本当に難しいんです。それを今回トウシューズでやっていらして、実に見事でした。全体を通して日本の所作がよく取り入れられていて、バレエとはまた違った楽しみ方ができました。本舗初公開でしたが、今後この『マダム・バタフライ』がどんどん世界に向かっていくことで、Kバレエの20周年という良きタイミングで熊川さんの名声が世界に轟きますね」
コシノジュンコさん(デザイナー)
「蝶々夫人は大好きな作品で音楽も口ずさめるほどですが、今回は新たな演出が加わったということで、始まってすぐに思ってもみないステージが繰り広げられてビックリしました。第1幕のあの水平さんたちが出てくるシーンは、振付がとてもチャーミングで可愛くて、熊川さんはポップで面白い演出をされましたね。バレエの良さが全面に出ていて、人数も多くてすごく華やか。ですがしっかり作品に馴染んでいて、これを世界に持って行ったら日本はすごいと思われるでしょうね。オペラと違って動きは美しいですし、雰囲気でジーンとしました」

『マダム・バタフライ』第1幕第1場 ピンカートンのアメリカ時代 ©Hidemi Seto
斉藤由貴さん(女優)
「震えました……!バレエという枠を超え、総合芸術という感じがいたしました。熊川さんは起承転結を大事にされる方だとお伺いしていましたが、言葉がなくとも分かりやすかったですし、和と洋の融合は本当に素晴らしかった。お着物をバレエの衣装にするということでたくさん工夫されたと思いますが、繊細なお衣装は振付と相まって得も言われぬ美しさでした。印象に残っているのは、バタフライが悲嘆にくれながら1人で踊る最後のシーンです。とても切ない踊りでしたが、悲しみなどの演劇表現も感じられる素晴らしい振付で……。バレエはセリフがないので踊りと振付の絶妙なニュアンスで感情表現をされているわけですが、その感じ方を観客に委ねているような感じがいたしました。ただ単に素晴らしいものを見せられたのではなく、あなただったらどんな風に感じるか、そんな風に自分の感じ方を提示されているようで、どんどん想像が膨らむ感じといいましょうか。熊川さんは私の斜め前でご覧になっていましたが、背中からも厳しい眼差しを感じました」
デヴィ・スカルノさん(タレント)
「振付、演出、構成、どれを取っても本当に見事で、感動いたしました。まったく新しいコンセプトの『マダム・バタフライ』という作品がこの世に誕生したということは、本当に偉大なことです。オペラと違ってセリフはありませんが、ピンカートンやバタフライの心の描写が分かりやすく、外国人に伝わりやすいと思いました。オリジナルの第1幕をつけたことで起承転結が生まれ、とてもドラマチックになったのではないでしょうか。海外の方にも素直に受け入れられる作品だと思います。熊川さんとKバレエのこの20年を振り返ると、本当にすべての功績が素晴らしい。熊川さんは革命児ですよ」

『マダム・バタフライ』第1幕第2場 長崎の遊郭街 ©Hidemi Seto
トリンドル玲奈さん(モデル・女優)
「何から何まで美しい舞台で、感動いたしました。印象に残っているのは最後の方のシーンです。気持ち的には悲しいシーンですが、美しさや繊細さに包まれていて、なんとも言えない気持ちになりました。踊りと音楽と照明がどれも素晴らしく、心が洗われたような気がします。歌舞伎が好きでよく観ますが、それとはまた違った表現の仕方でした。バレエの繊細で控えめな部分が和のイメージを引き立てていて、まさに新時代にふさわしい和と洋の融合だと思います。熊川さんがこれほどまでに繊細で美しい物を作られる方だということに感動し、同じ日本人であることに誇りを感じました」
瀧川鯉斗さん(落語家)
「これぞ芸術!という一言しかありません。これまで観てきたバレエとは別格の凄さが伝わってきました。自分のやっている落語は話芸ですが、一言も発しないという芸を目の当たりにさせていただいて、体で表現するだけでお客様にすごいと思わせる今日の舞台は非常に勉強になりました。高座では座布団に座っていますが、膝の先まで表現者としてお客さんに伝えたい。そう思わせてくれる舞台でした」
<公演概要>
http://www.k-ballet.co.jp/performances/2019madame-butterfly.html
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『マダム・バタフライ』©Hidemi Seto
『マダム・バタフライ』 《全幕バレエ》
芸術監督:熊川哲也
演出・振付・台本:熊川哲也
原作:ジョン・ルーサー・ロング
音楽:ジャコモ・プッチーニ(オペラ『蝶々夫人』)ほか
舞台美術デザイン:ダニエル・オストリング
衣裳デザイン:前田文子
照明デザイン:足立恒
指揮:井田勝大
管弦楽:シアター オーケストラ トーキョー
日時会場:9月27日(金)18:30/28日(土)12:30、16:30/29日(日)13:00 Bunkamuraオーチャードホール ※公演終了
10月10日(木)14:00/11日(金)14:00/12日(土)12:30、16:30/13日(日)12:30、16:30/14日(月・祝)13:00 東京文化会館 大ホール
マダム・バタフライ:矢内千夏/成田紗弥/中村祥子
ピンカートン:堀内將平/山本雅也/宮尾俊太郎
スズキ:荒井祐子/前田真由子/山田蘭
ボンゾウ:遅沢佑介/杉野慧
ゴロー:石橋奨也/伊坂文月
花魁:中村祥子/山田蘭/杉山桃子
ケイト:小林美奈/浅野真由香/戸田梨紗子
ヤマドリ:山本雅也/高橋裕哉
シャープレス:スチュアート・キャシディ
お問合せ・お申込:チケットスペース 03-3234-9999 (月~土10:00~12:00/13:00~18:00※日・祝は休)