2019 / 10 / 25
月刊モーストリー・クラシック12月号 好評発売中!3号連続特集《生誕250年 ベートーヴェン②中期・傑作の森 ―「運命」と「皇帝」、1804‐1815年》
好評のベートーヴェン特集 第2弾
今号はベートーヴェンの中期の特集。交響曲で言えば第4番から第8番まで、ピアノ・ソナタで言えば第23番から第27番まで、「熱情」(第23番)、「テレーゼ」(第24番)、「告別」(第26番)が作曲された時期になる。このほかヴァイオリン協奏曲やピアノ協奏曲第5番「皇帝」、弦楽四重奏曲「ラズモフスキー・セット」、「大公」や「幽霊」などのピアノ三重奏曲、オペラ「フィデリオ」などたくさんの名曲が生まれている。
それゆえフランスの作家ロマン・ロラン(1866‐1944)はこの時期を「傑作の森」と称した。ノーベル文学賞を受賞したロランの長編小説「ジャン・クリストフ」は、音楽家の人生の苦悩と喜び、魂の成長などを描いており、ベートーヴェンがモデルと言われた。日本においても広く読まれ、「読者はベートーヴェンの生涯と創作をいわば人生哲学として理解した」(西原稔・桐朋学園大教授)。ロランは日本人のベートーヴェン受容に大きな影響を与えている。
中期の傑作の一つが「交響曲第5番『運命』」。1807年に作曲され、翌年初演された。始まりの「ジャジャジャジャーン」はクラシック音楽でもっとも印象的な出だしだろう。もちろん「運命」はベートーヴェン自身が付けたタイトルではない。秘書を務めたアントン・シンドラーが出だしの意味を尋ねたところ、「かくして運命は扉を叩く」と答えた、というエピソードに基づいている。しかし、今ではシンドラーの創作ではないか、とこの逸話に信憑性がないとされ、「運命」を付けずにただ交響曲第5番と表記されることが多くなった。
第5番は有名曲だけに数え切れないほどの録音がある。音楽評論家の鈴木淳史氏に9人の指揮者のCDの聴き比べをしてもらった。たとえばブーレーズ。「高揚もなく、ひたすらすべてを均質化して響きを再構築していく。それぞれの響きがどのようにして作られているかをじっくりと見せてくれる」。カルロス・クライバーは「とにかくスマートだ。深刻な表情で語られる運命動機とはサヨウナラ、尊大で上から目線で説教されるベートーヴェンももう必要なし」と記す。
また、音楽評論家の岡本稔氏にはウィーン・フィルとベルリン・フィルのベートーヴェン演奏の違いを論じてもらった。もちろん指揮者によってその演奏は変わるが、ベルリン・フィルについては「一貫しているのは鉄壁ともいえるアンサンブルと広いダイナミックレンジだろう」。ウィーン・フィルは「古き良き時代の響きを今日にとどめているところだろう」という。
項目はほかに
◎ベートーヴェンその劇的生涯
◎ベートーヴェンに消された作曲家たち
◎「ウェリントンの勝利」はなぜ書かれ、喝采を博したのか?
◎声楽曲にも息づくベートーヴェンの個性、などです。
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◎サントリーホール創設者 佐治敬三生誕100年記念展示
サントリーの社長、会長を務め、サントリーホールを開館した佐治敬三氏の生誕100年を記念した「夢大きく―創設者・佐治敬三 生誕100年記念展示―」が、11月1日(金)から30日(土)まで開催される。サントリーホール大ホールの1,2階の壁面に写真や音楽家からのメッセージなど約60点が展示される。
ベルリンにカラヤンを訪ね、ホール建設のアドバイスをもらった際の写真や、建築工事中に作曲家、芥川也寸志と現場を訪れた写真、そして1986年10月12日のオープニングでパイプオルガンのラの鍵盤を押す佐治氏など貴重な、懐かしい写真の数々が飾られる。サントリーホール大ホール公演の来場者は開場時間から閉門時間まで鑑賞できるほか、11月8日、11日、27日は一般公開日としてチケットがなくても鑑賞できる。
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このほか
◎BIGが語る「アンネ=ゾフィー・ムター」②
◎「宮本文昭の気軽に話そう」ゲスト 宮里直樹(T)
◎青島広志の「押しもしないが押されてばかり」
◎外山雄三の「オーケストラと暮らして60年」
◎小山実稚恵の「ピアノと私」
◎「鍵盤の血脈 井口基成」中丸美繪
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