2019 / 11 / 15
『カヴァレリア・ルスティカーナ』2019 in マテーラ
≪おススメオペラ≫
クラシカ・ジャパンが自信をもっておすすめするオペラ公演。
2019年11月放送のラインナップから、今回は「『カヴァレリア・ルスティカーナ』2019 in マテーラ 」をご紹介します。
南イタリアのユネスコ世界遺産「マテーラの洞窟住居」を舞台に繰り広げられる、ヴェリズモ・オペラの傑作
『カヴァレリア・ルスティカーナ(田舎の騎士道)』(1890年初演)は、庶民の日常や荒々しい感情を赤裸々に描く「ヴェリズモ・オペラ」の端緒を開いた作品。
ドラマティックな旋律に満ちたこのオペラは、単独での演奏機会も多い「間奏曲」と相まって、現在まで根強い人気を誇ってきました。
物語の舞台は、とあるシチリア島の村。トゥリッドゥと美女ローラは、かつて恋人同士でした。トゥリッドゥの兵役中、ローラは村の馬車屋アルフィオと結婚してしまいます。
除隊後、トゥリッドゥはサントゥッツァと婚約するも、昔の情熱を再燃させ、ローラと浮気。嫉妬にさいなまれたサントゥッツァは、二人の不倫関係をアルフィオに明かします。
怒り狂ったアルフィオは、復讐を決意。トゥリッドゥがアルフィオとの決闘へ向かった後、彼方から聞こえてくる女たちの叫び声(「トゥリッドゥが殺された!」)と共にオペラが閉じられます。
番組は、南イタリアの「マテーラの洞窟住居」(ユネスコ世界遺産)内にて、去る夏の夜に野外上演された『カヴァレリア・ルスティカーナ』。「演奏会形式」と銘打たれてはいますが、舞台となったサン・ピエトロ・カヴェオーソ広場の四方を活かしつつ、ライブ映像用のスクリーンや大がかりなプロジェクション・マッピング、巨大マリオネットをも用いた演出は、見ごたえたっぷり。

(c)Fondazione Matera Basilicata 2019
迫力満点の祝祭的な舞台を実現
この迫力満点の祝祭的な舞台を実現させたのは、イタリア演劇界を代表する演出家の一人、ジョルジオ・バルベリオ・コルセッティサントゥッツァの歌唱中に、トゥリッドゥとローラの逢引きの様子をスクリーンに映し出すなど、説得力のある工夫も随所に散りばめられています。
立ったままオペラに見入る観客たちの熱気が映像を通して伝わり、ときおり上空のカメラが捉える「マテーラの洞窟住居」の夜景も極上の美しさです。
何よりの音楽的な目玉は、メゾソプラノの逸材ヴェロニカ・シメオーニ(サントゥッツァ)の力強い美声と驚異の歌唱力。スロヴァキア出身のユライ・ヴァルチュハも、野外での演奏かつ大がかりな舞台演出というハンディを感じさせず、見事な指揮で全体をまとめ、由緒あるサン・カルロ劇場の管弦楽団から雄弁な音楽を引き出しています。
なお番組では、同日、オペラの上演に先駆けて「マテーラの洞窟住居」地区で賑やかに繰り広げられた野外パフォーマンス『サッシ(洞窟住居)でのプロローグ~七つの大罪』の様子も紹介されます。
[出演]ヴェロニカ・シメオーニ(サントゥッツァ/メゾソプラノ)ロベルト・アロニカ(トゥリッドゥ/テノール)ゲオルグ・ガグニーゼ(アルフィオ/バリトン)アゴスティーナ・スミメロ(ルチア/アルト)レイラ・マルティヌッチ(ローラ/メゾソプラノ) [演目]ピエトロ・マスカーニ:1幕のメロドランマ『カヴァレリア・ルスティカーナ』[台本]ジョヴァンニ・タルジョーニ=トッツェッティ&グィード・メナッシ[原作]ジョヴァンニ・ヴェルガの同名小説とそれに基づく同人による戯曲『カヴァレリア・ルスティカーナ』[演出]ジョルジオ・バルベリオ・コルセッティ[装置]マッシモ・トロンカネッティ[衣裳]フランチェスコ・エスポジート)[照明]マルコ・ジュスティ[映像デザイン]イゴール・レンツェッティ&ロレンツォ・ブルーノ[指揮]ユライ・ヴァルチュハ[演奏]サン・カルロ劇場管弦楽団&同合唱団[合唱指揮]ジェア・ガラッティ・アンシーニ[収録]2019年8月サン・ピエトロ・カヴェオーソ広場(マテーラ)[映像監督] ロベルト・ジャンナレッリ
■字幕/全1幕(間奏曲付き):約1時間49分
初回放送日:11月16日