2019 / 12 / 21
ゲルギエフの「オデオンスプラッツ・コンサート2018」フローレスを迎えて
≪おススメオペラ≫
クラシカ・ジャパンが自信をもっておすすめするオペラ公演。
2019年12月放送のラインナップから今回は、ゲルギエフの「オデオンスプラッツ・コンサート2018」フローレスを迎えてをご紹介します。
ミュンヘンっ子お待ちかねの夏の野外コンサートに王者フローレスが登場。暮れなずむ旧市街の淡い光の中でスーパー・ベルカント・テノールが炸裂!
いまやミュンヘンの夏の風物詩となっている、オデオンスプラッツ(オデオン広場)の野外コンサート。
現代最高のベルカント・テノール、フアン・ディエゴ・フローレスが、音楽監督ヴァレリー・ゲルギエフ率いるミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団と共演した2018年の公演の様子をご覧ください。
オデオン広場はミュンヘン旧市街の中心に位置する、観光名所のひとつ。バイエルン国立歌劇場や、バイエルン放送交響楽団の本拠ヘラクレス・ザールから歩いて数分の場所にあり、旧王宮であるレジデンツとテアティーナー教会にはさまれた広場です。
コンサートのステージとして使われているローマ風の建物はフェルトヘルンハレ。19世紀前半に、ルートヴィヒ1世(ワーグナーの庇護者として知られるルートヴィヒ2世の祖父)の市街開発により建てられました。
毎年7月に、このオデオン広場を閉鎖して行なわれるのがオデオンスプラッツ・コンサートです。バイエルン放送交響楽団とミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団が1日ずつ受け持つ土日のコンサートは、ミュンヘンっ子お待ちかねの夏のイベントです。

(c)Marcus Schlaf
コンサートの前半がフローレスのオペラ・アリア・プログラム
この数年の彼のレパートリーの拡大路線を反映して、十八番のロッシーニは封印。モーツァルトから始めて、徐々にやや重めの、レパートリーへと移っていきます。『ラ・ボエーム』の「冷たき手を」は、近年コンサートでは歌っているようですが、舞台上演では2020年3月にチューリヒでロドルフォ役のロール・デビューが予定されている新しいレパートリー。
透き通るように明るい声のロドルフォはじつに新鮮です。そして、アンコールではなんと「誰も寝てはならぬ」まで披露していますが、はたして『トゥーランドット』を歌う日も来るのでしょうか?
コンサートの開始は午後8時ですが、夏のミュンヘンのその時刻はまだまだ真昼のような明るさ。コンサートの進行とともに徐々に日が暮れていき、休憩をはさんで後半のオーケストラ・プログラムが始まる頃、あたりはようやく夕景に包まれます。
プログラムはリムスキー=コルサコフの『シェエラザード』。コンサートマスター、ロレンツ・ナストゥリカ=ヘルシュコヴィッチのいぶし銀のようなヴァイオリン・ソロが、色とりどりの照明に浮かび上がる幻想的なフェルトヘルンハレの特設ステージとともに、アラビアン・ナイトの世界へ誘ってくれます。
[演目]ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト:歌劇『フィガロの結婚』序曲/歌劇『魔笛』よりタミーノのアリア「なんと美しい絵姿」、ガエターノ・ドニゼッティ:歌劇『ランメルモールのルチア』よりエドガルドのアリア「わが祖先の墓よ」「やがてこの世に別れを告げよう」、エクトル・ベルリオーズ:序曲『ローマの謝肉祭』Op.9、ジュール・マスネ:歌劇『ウェルテル』よりウェルテルのアリア「春風よ、なぜ私を目覚めさせるのか」/歌劇『マノン』よりデ・グリューのアリア「一人になった…消え去れ、やさしい面影よ」、ジュゼッペ・ヴェルディ:歌劇『運命の力』序曲、ジャコモ・プッチーニ:歌劇『ラ・ボエーム』よりロドルフォのアリア「冷たき手を」、ジュゼッペ・ヴェルディ:歌劇『イ・ロンバルディ』よりオロンテのカヴァティーナとカヴァレッタ「私の喜びを」「天はこんなに純粋な天使を」、ジャコモ・プッチーニ:歌劇『トゥーランドット』よりカラフのアリア「誰も寝てはならぬ」、ニコライ・リムスキー=コルサコフ:交響組曲『シェエラザード』Op.35、ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー:バレエ組曲『くるみ割り人形』Op.71aより「トレパーク」
[指揮]ヴァレリー・ゲルギエフ[演奏]フアン・ディエゴ・フローレス(テノール)ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団
[収録]2018年7月14日 オデオンスプラッツ(ミュンヘン)「オデオンスプラッツ・コンサート2018」[映像監督]エリーザベト・マルツァー
初回放送日:12月22日