2020 / 01 / 12
ウィーン国立バレエ2018『ペール・ギュント』
≪おススメバレエ≫
クラシカ・ジャパンが自信をもっておすすめするバレエ公演。 2020年1月放送のラインナップから今回は、マリインスキー・バレエ2011『くるみ割り人形』をご紹介します。

個性豊かな名門・ウィーン国立バレエのダンサーたちがもたらす高揚と余韻
ノルウェーの有名な劇作品といえば『ペール・ギュント』。 『人形の家』などで有名な同国の戯曲家イプセンと作曲家グリーグが作り上げた?放蕩息子”ペールの冒険物語です。 これをスロヴェニアのマリボール・バレエの芸術監督で、気鋭の振付家であるエドワード・クルーグが全2幕のバレエ舞台として再構築。2015年にマリボール劇場で初演され、それを2018年、芸術監督マニュエル・ルグリによって充実期を迎えたウィーン国立バレエが再演したのが当番組。 クルーグは場面によってクラシック・バレエ、シュールでコミカルなコンテンポラリー・ダンス、演劇的な動作など様々な手法を組み合わせます。 またピアノ協奏曲、抒情小品集など『ペール・ギュント』以外のグリーグの名曲を効果的に使うことによって、ストーリーや場面の移行をスムーズにし、演劇としての流れとバレエならではのイマジネーションの飛翔を両立させたステージに仕上げました。 一貫して暗い舞台に浮かび上がるのは、ペールの長きにわたる数奇な冒険と魂の遍歴。そして、人生の虚無と希望。

(c)Wiener Staatsballett/Ashley Taylor
舞台の魅力を引き出しているのが、自然で豊かなロマンの香りが立ちのぼるグリーグの音楽
バラエティ豊かな数々のシーンの中でも、とりわけ心に残るのは、やはり長身で見栄えのするペールとソルヴェイグの2人です。 出会いの場での息のあった踊りをはじめ、トロルの王や娘たちのグロテスクでシュールな山の魔王の場面のあとに、滝澤志乃(ウィーン国立バレエ専属ピアニスト)の弾く、心にしみるピアノ協奏曲第2楽章が流れる中、再会する2人のパ・ド・ドゥは、純粋な情熱の高揚が心に迫ります。 そして改変されたラストの悲しくも愛に満ちた、しかし希望の光を感じさせるシーンの余韻も素晴らしい。 また、この舞台の魅力を引き出しているのが、自然で豊かなロマンの香りが立ちのぼるグリーグの音楽であることを、天下のウィーン国立歌劇場管弦楽団の演奏が改めて教えてくれます。 「アニトラの踊り」での弦楽器の官能的で妖しい響き、要所で印象深い管楽器のあたたかみ、馥郁とした表現は、まさに他では味わえない聴きものです。 [出演] ヤコブ・フェイフェルリック(ペール・ギュント)アリーチェ・フィレンツェ(ソルヴェイグ)イーノ・ペシー(死神)ジョルト・トロク(鹿)フランツィスカ・ヴァルナー=ホリネク(オーゼ)イオアンナ・アヴラアム(イングリット)ニキーシャ・フォゴ(緑の髪の娘)イザベラ・ルチア・セヴェリ(ヘルガ)ウラジミール・シショフ(アスラック)イゴール・ミロシュ(マッズ)セリーヌ・ジャヌー・ヴェーバー(アニトラ)アンドラーシュ・ルカーチ(医者)ウィーン国立バレエ [振付・台本]エドワード・クルーグ[原作]ヘンリック・イプセンの詩劇『ペール・ギュント』 [音楽]エドヴァルド・グリーグ[装置] マルコ・ヤぺルイ[照明]トマシュ・プレムズル [衣裳] レオ・キュラス[指揮]サイモン・ヒューイット[演奏] ウィーン国立歌劇場管弦楽団、滝澤志乃(ピアノ) [収録]2018年 ウィーン国立歌劇場 [映像監督]バラージュ・デルボ
初回放送日:1月13日
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