2020 / 03 / 25
ヤンソンス & バイエルン放送響「バレンボイム75歳を祝して」
≪おススメコンサート≫
クラシカ・ジャパンが自信をもっておすすめするコンサート。
2020年3月放送のラインナップから、今回はヤンソンス & バイエルン放送響「バレンボイム75歳を祝して」をご紹介します。

(c)Peter Meisel
絶好調のヤンソンスとバイエルン放送響は、プロコフィエフで別格の名演を実現!
ミュンヘンのフィルハーモニー・ガスタイクで、2017年秋にすごいコンサートが実現しました。欧州屈指の人気と実力を誇るコンビ、マリス・ヤンソンスとバイエルン放送交響楽団の定期演奏会に、ダニエル・バレンボイムがピアニストとして登場。
「BARENBOIM」の銘が入ったピアノで披露するのは、ベートーヴェンの『皇帝』。巨匠バレンボイムによる堂々たる演奏ぶりは、まさしく“ピアノの皇帝による『皇帝』”の趣き。ソリストとしても指揮者としても本作で数多くの名演を作りあげてきたバレンボイムが、同年代のヤンソンスの緻密かつ雄大な指揮と共に、悠揚迫らぬ風格を持つ、しかも瑞々しく繊細な演奏を展開していきます。アンコールに弾くのは、ドビュッシーの「月の光」。自らのピアノの繊細な音色を存分に生かした夢幻の美を現出させて、会場の空気を一変させるのです。
“奥義”の域に入ってきたヤンソンスの芸術!
感動のコンサートはまだ続きます。後半のメイン曲はプロコフィエフの交響曲第5番。好調という言葉では足りないくらいの充実ぶりを見せているヤンソンスとバイエルン放送響ですが、はたして、このプロコフィエフも大変な名演になりました。あらゆるフレーズもハーモニーも、通常は聴こえにくい小さな音の動きも、すべてが適切かつ雄弁な意味を持って眼前に現れてくるかのよう。「ヤンソンスならではのバランスの良さ」という次元を超えた凄みすら感じさせます。とくに第1楽章コーダのクライマックスの偉大な響きは特筆もの。ヤンソンスの精妙極まりない要求に完璧に応えるバイエルン放送響の音楽的な巧さも尋常ではなく、現在世界トップランクとの呼び声もよくわかります。なお、フィナーレのコーダの弦楽器ソロは、1小節ごとに奏者が増える演出になっています。
いよいよ“奥義”の域に入ってきたヤンソンスの芸術。必見の番組です。
[演目]ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第5番変ホ長調Op.73『皇帝』、クロード・ドビュッシー:ベルガマスク組曲~第3曲「月の光」、セルゲイ・プロコフィエフ:交響曲第5番変ロ長調Op.100[指揮]マリス・ヤンソンス[演奏]バイエルン放送交響楽団、ダニエル・バレンボイム(ピアノ)[収録]2017年11月10日フィルハーモニー(ガスタイク内、ミュンヘン)[映像監督]エリーザベト・マルツァー
初回放送日:3月26日