2020 / 03 / 20
月刊モーストリー・クラシック5月号 好評発売中!
《特集 シンフォニスト(交響曲作曲家)の時代 ショスタコーヴィチ》
5月号はショスタコーヴィチを中心としたシンフォニスト特集
ショスタコーヴィチ(1906-75)は生涯に15曲の交響曲を残した。10代の思春期から亡くなるまで、その人生はすっぽりとソ連という国に重なる。今でこそ独裁国家の欺瞞性は明らかになっているが、ショスタコーヴィチが現役だった時代には、社会主義国家体制による圧制はなかなか伝わらなかった。
それでもショスタコーヴィチは亡命することなく、ソ連の中で生きることを甘受した。これについてドイツ文学の許光俊氏は「はっきりしているのは、ショスタコーヴィチの音楽の中には、社会や国家に対する愛憎矛盾した気持ちが表現されている」と記している。
ショスタコーヴィチとほぼ同じ時代をソ連で生きたのはグルジア(現ジョージア)生まれのハチャトリアン(1903-78)。バレエ「ガイーヌ」の中の『剣の舞』、フィギュアスケートでよく使われる劇音楽「仮面舞踏会」の『ワルツ』は聴いたことがあるだろう。決して前衛に傾くことなく分かりやすく、エキゾチックで強烈なリズムなどが特徴の音楽を書いた。交響曲は3曲書いている。しかし、あまりにも体制寄りの作曲姿勢は現代では毀誉褒貶相半ばする。
8曲もの交響曲を書いたフィンランドの大シンフォニスト、シベリウス(1865-1957)を忘れるわけにはいかない。祖国の民族叙事詩「カレワラ」に強く影響を受け、最初の交響曲「クレルヴォ交響曲」を作曲した。「トゥオネラの白鳥」が有名な交響詩集「レンミンカイネン組曲」も「カレワラ」による。音楽評論家の青澤唯夫氏は「シベリウスの音楽には、北欧の大自然の豊かな生命が力強く息づいている」という。
特集は各国のシンフォニストたちを扱っている。ロシア・ソ連のラフマニノフ、ヴァインベルク、ドイツのヒンデミット、フランスのオネゲルとミヨー、イギリスのエルガーとヴォーン・ウィリアムズ、そして日本の作曲家たち、山田耕作、團伊玖磨、芥川也寸志、黛敏郎、一柳慧などだ。
項目はほかに
◎プロコフィエフ、ボロディン、スクリャービン
◎アイヴズやコープランド、バーンスタインらアメリカの交響曲
◎ドビュッシーとラヴェルはなぜ交響曲を書かなかったのか
◎北欧、中欧のシンフォニストたち
◎ヴィラ=ロボスの12の交響曲
◎制度としての交響曲、思想としての交響曲、など。
表紙はショスタコーヴィチとクレムリン大宮殿、ソ連国旗です。
◎大阪国際室内楽コンクール&フェスタ
第10回大阪国際室内楽コンクール&フェスタが5月に行われる。カルテットやピアノ四重奏など室内楽のコンクールとして、回を重ねるごとに世界的に評価が高まっている。3月5日、大阪市内で記者会見が行われた。このコンクールを一層特徴づけているのはフェスタ部門。年令制限や課題曲もなく、民族楽器のアンサンブルでもよい。しかも審査員は聴衆。今回もモンゴルの民族楽器のグループ、テンゲル・アヤルグーなどユニークなグループが出演する。また初めて1次ラウンドの公開審査が富山県高岡市と三重県津市で行われる。
◎宮本文昭の気軽に話そう ゲスト 富田隆(心理学者)
宮本と富田氏は東京都港区立青山小学校の同級生。小学校時代は2人で漫才コンビを組み、クラスの誕生日会に〝レギュラー出演〟する人気者。オーボエ奏者と心理学者、道は違ったが、このほど2人が監修する「ゼロから分かる! 図解クラシック音楽」(世界文化社)を出版した。「人生後半になって対談したり本を書いたり、と共同作業をするのは楽しいものです。不思議な縁を感じます」と宮本は話した。
このほか
◎青島広志の「押しもしないが押されてばかり」
◎外山雄三の「オーケストラと暮らして60年」
◎小山実稚恵の「ピアノと私」
◎「鍵盤の血脈 井口基成」中丸美繪
など、おもしろい連載、記事が満載です。
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