2020 / 08 / 21
月刊モーストリー・クラシック10月号 好評発売中!
《オーケストラ・ファンのためのオペラ》
オペラの序曲、間奏曲集などのCDを持っているクラシック・ファンは多いだろう。モーツァルトのオペラ「フィガロの結婚」序曲、ワーグナーのオペラ「トリスタンとイゾルデ」の中の「イゾルデの愛の死」など、オペラそのものを見たことがなくても、単独の作品として知っているはずだ。オーケストラのコンサートで、前半の1曲目、協奏曲の前に、こうしたオペラの序曲が置かれることが多い。特集ではそれぞれの魅力を探っている。
おなじみなのはベートーヴェン唯一のオペラ「フィデリオ」の序曲。改定するたびになんと4つもの序曲を書いた。その中の「フィデリオ序曲」と「レオノーレ序曲第3番」はベートーヴェン・プログラムの演奏会でよく取り上げられる。ドイツ・オペラではウェーバーの「魔弾の射手」序曲、シューマン「ゲノヴェーヴァ」序曲など。イタリア・オペラは、ロッシーニの「ウィリアム・テル」や「セビリアの理髪師」の序曲、ヴェルディのオペラの序曲・前奏曲もおなじみ「運命の力」「シチリア島の夕べの祈り」「椿姫」「リゴレット」とたくさんある。序曲ではなくオペラ「ナブッコ」の合唱「行け、わが思いよ、黄金の翼に乗って」や、「アイーダ」第2幕の「凱旋行進曲」はポピュラーだ。
ドイツ・オペラの中でもワーグナーは別格。ほとんどすべてのオペラの序曲・前奏曲などが演奏される。「ニーベルングの指環 管弦楽曲集」「ワルキューレの騎行 管弦楽曲集」といったCDがあまた発売されている。また全4部作を聴くと15時間と長大な「ニーベルングの指環」は、ハイライトをまとめ1時間ほどで聴ける編曲版がある。有名なのは指揮者ロリン・マゼールが手がけた「言葉のないリング」。1987年、ベルリン・フィルの委嘱で作られた。
本家のオペラは忘れ去られ、まためったに上演されないのに序曲や管弦楽曲だけが残っている作品が意外と多い。「ウィリアム・テル」序曲もそうだし、「だったん人の踊り」だけが残ったボロディンの「イーゴリ公」、スッペのオペレッタ「軽騎兵」も序曲だけが演奏される。バロック・オペラは最近復活してきたが、ラモーの「優雅なインドの国々」の『未開人の踊り』、ヘンデル「ユダス・マカベウス」の『見よ、勇者は帰る』などは単独で演奏される。
月刊モーストリー・クラシック10月号の特集はほかに
◎カラヤンの序曲、間奏曲
◎チャイコフスキーのオペラの管弦楽
◎コンサート形式のオペラの意義
◎名指揮者と名歌手の幸せな出会い
◎ワーグナーの「管弦楽」の先見性と魅力、など。
表紙はロッシーニ、モーツァルト、ビゼー、ワーグナー、スカラ座です。
◎連載 ピアニストから見たベートーヴェン・中 久元祐子
連載の最終回。1818年、ベートーヴェンにロンドンのブロードウッド社から新しいピアノが届いた。誕生日のプレゼントだった。イギリス式アクションで音域は6オクターブ。右足で踏むダンパーペダルは縦に2つに分かれ、右側は高音域、左側は低音域の弦を開放できる。このピアノで、ちょうど作曲中だった「ハンマークラヴィーア」ソナタの第3、4楽章が作られ、最後のソナタ3曲が作曲された。「この時期のブロードウッドを弾いていて感じるのは、ダンパーがふわりと降りてくるため、豊かな残響が残ることだ」
◎宮本文昭の気軽に話そう ゲスト:荘村清志(g)
日本のギター界の第一人者、荘村清志と宮本文昭は、45年前のNHK交響楽団の「プロムナードコンサート」で舞台を一緒にした。イエペスに師事してスペインで4年間過ごして帰国したばかりのころだった。40代半ばのころ、音楽に取り組む姿勢などが大きく変化したのだという。「練習しても弾けなくなったという経験をしたから、弾く姿勢も変えて『脱力』ということを覚えたおかげで、音楽づくりがまったく変わっちゃった」と話している。
このほか
◎特別企画「私の夢のコンサート」
◎青島広志「押しもしないが押されてばかり」
◎外山雄三「オーケストラと暮らして60年」
◎小山実稚恵「ピアノと私」
◎「鍵盤の血脈 井口基成」中丸美繪
◎「音楽から見たロシア」マリーナ・チュルチェワ
など、おもしろい連載、記事が満載です。
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