2020 / 09 / 09
バーンスタイン&ウィーン・フィル『ベートーヴェン:田園』
≪おススメコンサート≫
クラシカ・ジャパンが自信をもっておすすめするコンサート。
2020年9月放送のラインナップから、今回はバーンスタイン&ウィーン・フィル『ベートーヴェン:田園』 をご紹介します。

©Unitel
40年以上たった現在も色あせない、20世紀の音楽遺産
バーンスタインとウィーン・フィルとの不滅のベートーヴェン全集のなかでも特筆すべき、至高の『田園』。
レコード・ファンの記憶に深く刻まれている名盤のひとつは、1980年のレコード・アカデミー賞大賞を受賞したレナード・バーンスタインとウィーン・フィルハーモニー管弦楽団によるベートーヴェン交響曲全集ではないでしょうか。
ライヴ収録で収録されたこの全集には、並行してユニテル社が収録した映像も残されています。名盤を、耳だけでなく目でも楽しめるうれしい映像。
番組は、その全集のなかから、1978年11月、交響曲第6番『田園』を演奏した公演の模様です。
1969年にニューヨーク・フィルの音楽監督を辞任したバーンスタインが、ヨーロッパでの活動を本格化した1970年代は、いよいよ巨匠への階段を昇りつめていく、彼の活動の頂点といえる充実した時期でした。
そしてその時期に、最も密接な関係を築いていたオーケストラがウィーン・フィルです。
反ユダヤの傾向が根強いと言われていたウィーンで、しかし両者の信頼関係は不思議と感じるほど深いものでした。
9曲のベートーヴェン交響曲全集には、その両者の蜜月ぶりが濃厚に詰め込まれているのですが、なかでもこの『田園』は、特筆すべき名演として定評があります。

©Unitel
ベートーヴェンっていいなあと、心から思える至福の演奏
なんとも穏やかな、安らぎに満ちた演奏。
「さあ、気楽に行こうぜ。一緒に、私たちのありのままをやってやろう!」と語りかけるようなバーンスタインの柔和な微笑みが、見る者の胸を熱くします。
オーケストラを、あるいは聴衆を、恣意的にあおるような仕掛けやアプローチは一箇所もありません。すべてが自然。
現代の感覚からすると、いくぶんゆったりした速さも、まさにこのテンポしかありえないと思わせる説得力。
まさに最高の『田園』。ベートーヴェンっていいなあと、心から思える至福の演奏です。そして静かに演奏が終わり、熱心な、しかし落ち着いた心のこもった拍手を贈る聴衆。
映像監督は、バーンスタインの30年来の友人のハンフリー・バートン。
のちに詳細な伝記『バーンスタインの生涯』(青土社刊)も著したTVプロデューサーです。
そして録音ディレクターはバーンスタインと200作以上の録音を残したCBSのジョン・マクルーア。バーンスタインが最も信頼するチームとのコラボレーションによる、20世紀の貴重な音楽遺産を、どうぞお見逃しなく。
[演目]ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン:交響曲第6番 ヘ長調 Op.68 『田園』
[指揮]レナード・バーンスタイン
[管弦楽]ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
[収録]1978年11月11日、ウィーン楽友協会大ホール(ライヴ)
[録音ディレクター]ジョン・マクルーア
[映像監督]ハンフリー・バートン
放送日:9月11日 他