2018 / 07 / 11
小山実稚恵ピアノシリーズ『ベートーヴェン、そして…』制作発表レポート

会見で抱負を語る小山実稚恵さん
作品101以降の5曲のソナタを軸に、プログラムを見た時の高揚感を大切に演奏曲を選んだという小山さん。ベートーヴェンが影響を受けたと言われるバッハやモーツァルトの楽曲を織り交ぜながら、ベートーヴェンの本質に迫ります。これまでCD収録を含めてベートーヴェンに取り組むことがなかったという小山さんは、選曲にあたって予測がつきそうでつかない曲を選んだそう。注目すべきは、ベートーヴェンに尊敬の念を抱いていたシューベルトの楽曲も取り上げること。ベートーヴェンとシューベルトを並べたリサイタルは多くなく、これにより両者の良さが際立つだろうと、会見に同席した音楽学者の平野昭氏は述べています。
各回には彼女自身によるサブタイトルが付けられており、想像力をかき立てられます。例えばシューベルトとベートーヴェンの楽曲で構成される第1回は、シューベルトからベートーヴェンへの深い愛を表した<敬愛の歌>。選曲はベートーヴェンの全体像が感じられるようなものにしたと言います。第2回には「ピアノ・ソナタ第29番<ハンマークラヴィーア>」をセレクトし、サブタイトルは<決意表明>としました。<本能と熟成>と名付けられた第4回では、ベートーヴェン生誕250周年記念公演と銘打って、山田和樹さんと横浜シンフォニエッタを迎えて『ピアノ協奏曲第0番』と『ピアノ協奏曲第5番<皇帝>』を披露します。
本シリーズは、日本を代表するピアニストによるベートーヴェンの新たな魅力に気づくことができる絶好の場。この機会に、小山さんと共にベートーヴェンの奥深さを堪能してみてはいかがでしょうか。
クラシカ・ジャパン編成部 井手朋子
記者会見の模様はこちらの動画でご覧ください。
【Part1】登壇者ご挨拶(前編)
【Part2】登壇者ご挨拶(後編)&質疑応答
小山実稚恵ピアノシリーズ『ベートーヴェン、そして…』公演概要
日程:2019年6月29日~2021年11月(予定)
出演:小山実稚恵(ピアノ)※第4回のみオーケストラ出演あり
会場:Bunkamuraオーチャードホール
【演奏曲】
第1回 2019年6月29日(土)<敬愛の歌>
シューベルト:ピアノ・ソナタ 第13番 イ長調 作品120(D664)
ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ 第28番 イ長調 作品101
シューベルト:即興曲 作品90(D899)、作品142(D935)より
第2回 2019年11月16日(土)<決意表明>
モーツァルト:デュポールの主題による変奏曲 K.573
モーツァルト:ピアノ・ソナタ 第13番 変ロ長調 K.333
ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ 第29番 変ロ長調 作品106「ハンマークラヴィーア」
第3回 2020年6月20日(土)<知情意の奇跡>
ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ 第30番 ホ長調 作品109
バッハ:ゴルトベルク変奏曲 ト長調 BWV988
第4回 2020年11月(予定)<本能と熟成>
ベートーヴェン:ピアノ協奏曲 第0番 変ホ長調 WoO4
ベートーヴェン:ピアノ協奏曲 第5番 変ホ長調 作品73「皇帝」 他
指揮:山田和樹 管弦楽:横浜シンフォニエッタ
第5回 2021年6月(予定)<結晶体>
ベートーヴェン:6つのバガテル 作品126
モーツァルト:幻想曲 二短調 K.397
バッハ:半音階的幻想曲とフーガ 二短調 BWV903
ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ 第31番 変イ長調 作品110
第6回 2021年11月(予定)<異次元へ>
シューベルト:ピアノ・ソナタ 第19番 ハ短調 D958
ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ 第32番 作品111