2018 / 09 / 10
ハッピーエンドの「人魚姫」~NBAバレエ団『リトルマーメイド』
NBAバレエ団が、また日本初演の作品を上演する。振付はリン・テイラー・コーベット。コーベットは過去4回トニー賞にノミネートされたことのある、ミュージカル、映画で活躍する振付家だ。NBAバレエ団のために『HIBARI』(2015年初演)を振り付けたことで、日本のバレエファンにはおなじみである。また、コーベットがアメリカン・バレエ・シアターに振り付けた『ガチョーク讃歌』もNBAバレエ団はレパートリーにしており、最近では6月の「ショート・ストーリーズ・9 〜バレエ・インクレディブル」公演で上演された。
『リトルマーメイド』では、音楽はオリジナルで、バレエではあるもののナレーションや歌が入り、ミュージカルの要素が加味されている。海の中を表すのにプロジェクションマッピングを使用したり、いろいろな海の生き物にそれぞれの特徴にあった振付が施されていたりと、楽しめる工夫が凝らされている。上演時間がグランド・バレエよりも短く(70分)設定されており、大人から子供までリラックスして楽しむことができそうだ。主役のマーメイドは竹田仁美と竹内碧のダブルキャストで、他のキャストもダブルで組まれている。
アンデルセンの原作「人魚姫」は悲しい結末だが、この「リトルマーメイド」では、マーメイドは声を取り戻し王子と結ばれるハッピーエンドになっており、アメリカでは人気が高く再演を繰り返しているという。新しい物語バレエがまたひとつ、日本で初演される。上演が楽しみだ。
結城美穂子(エディター/音楽・舞踊ライター)
公演情報
The Little Mermaid(リトルマーメイド)
会場:新国立劇場 中劇場
日時:2018年9月28日(金)19:00/29日(土)14:00、17:00/30日(日)12:00、15:00
公開リハーサル日時:9月28日(金)14:00
芸術監督・演出:久保紘一
振付・演出:リン・テイラー・コーベット
作曲:マイケル・モーリッツ
ナレーター:綿引さやか
<9月28日・29日(17:00)・30日(15:00)>
マーメイド:竹田仁美
王子:大森康正(28日)/宝満直也(29日・30日)
海の王:土橋冬夢
魔女:浅井杏里
ソードフィッシュ:高橋真之
ソニア:峰岸千晶
ハンス:安西健塁
<9月29日(14:00)・30日(12:00)>
マーメイド:竹内碧
王子:宮内浩之
海の王:三船元維
魔女:佐藤圭
ソードフィッシュ:大森康正
ソニア:大島淑江
ハンス:新井悠汰
お問い合わせ:
NBAバレエ団 事務局 04-2937-4931(平日10:00~17:00)
結城美穂子 Mihoko Yuki
出版社勤務を経てフリーランスのエディター/ライターとして活動中。クラシック音楽、バレエ、ダンスを得意ジャンルとする。バレエ・ダンス情報誌『ダンツァ』元編集長。単行本・ウェブマガジン・公演パンフレットの編集と執筆、またオペラ、バレエの初心者向け鑑賞ガイドのレクチャー講師を務める。