2018 / 12 / 25
ジョナサン・ノット&東京交響楽団『Season6』 2019/20年シーズン ラインナップ 記者会見
ジョナサン・ノットが音楽監督に就任して6年目を迎える東京交響楽団が、2019/20年シーズンの概要を発表した。9月の時点ですでにラインナップは公表されていたが、11月6日にミューザ川崎で改めて会見を開き、ジョナサン・ノット同席のもと詳細が語られた。
2019/20年シーズンの目玉は、何と言っても7月定期の渾身のプログラムだろう。ノットが「東響の素晴らしさの1つは合唱団の存在」と称するように、7月定期は東響コーラスなくして成り立たないプログラム。合唱団に対して、「常々限界などないと思わせるほど卓越した手腕を持っている」と感じていたノットは、難曲として知られるリゲティの《レクイエム》を投げかけた。すると、合唱団からはなんなくできますという返答。そこで7月定期に《レクイエム》を入れることを決めた。合唱団はもう1曲、トマス・タリス作曲の40声部からなる無伴奏合唱曲《スペム・イン・アリウム(我、汝の他に望みなし)》にも取り組む。他に、J・シュトラウスII世のワルツ《芸術家の生涯》とR・シュトラウスの《死と変容》も組み込み、ワルツ、レクイエム、合唱曲、交響詩と、東京交響楽団総動員で取り組む一大プログラムとなる。
自分たちで決めたラインナップを見て、改めて「うわっ!こんなのがあったんだ」と興奮しているとノットが表現するほど、バラエティに富んだ2019/20年シーズン。他に、ベートーヴェンの第九、何年もかけて積み上げてきたマーラー「交響曲第7番《夜の歌》」やブラームス『ピアノ協奏曲第1番』、ショスタコーヴィチ『交響曲第5番』を披露するが、ノットは会見で「荘厳たるパワーを見ていただけるはずだ」と自信を見せた。また、桂冠指揮者・秋山和慶によるメシアン、正指揮者・飯森範親の現代プログラムについて「この時期、日本に来て聴きたいと思わずにはいられないコンサート」と絶賛した。
会見の冒頭で挨拶をした楽団長の大野順二は、来シーズンの目玉に年末の第九を挙げ、事務室長の辻敏は「自分自身が聴きたいコンサートが盛りだくさん」と続けた。また、10月に行われる拠点のミューザ川崎シンフォニーホール開館15周年記念公演については「これまでずっと温めてきたシェーンベルク《グレの歌》をオープニングに持ってきた」と話した。
さらにもう1つ、この日は東響にとって新たな試みとなる音楽・動画配信サービス『TSO MUSIC & VIDEO SUBSCRIPTION』(https://tso.futureartist.net/)を開始したことも発表された。1カ月わずか500円で東響の演奏が見放題、聴き放題となる本サービス。CDに加え、楽団の記録音源や演奏会動画の配信、楽団公式グッズの販売を行うことで、ファンの拡大を狙う。
クラシカ・ジャパン編成部 井手朋子
東京交響楽団 2019/20年シーズン ラインナップの詳しい情報はこちらをご覧ください。
http://tokyosymphony.jp/common/tso/images/pdf/2019pamphlet.pdf