2019 / 04 / 25
ナクソス・ジャパンがブラジルのクラシック音楽を紹介する新シリーズ「THE MUSIC OF BRAZIL」を始動
18世紀以降に活躍したブラジル作曲家の作品を広めることを目的として、ブラジル外務省が立ち上げたプロジェクト「ブラジル・イン・コンセルト(Brasil em Concerto)」。その一環として、ナクソス・ジャパンがブラジル外務省と共同で、ブラジルのクラシック音楽を紹介する新シリーズ「THE MUSIC OF BRAZIL」をスタートさせることを発表した。そのローンチを記念して、3月26日に駐日ブラジル連邦共和国大使館に於いてレセプションが行われた。
冒頭で登壇した駐日大使のエドゥアルド・サボイア氏は、「日本でのリリースを皮切りに、今後数週間以内にロンドン、ベルリン、ニューヨークで同様のイベントを開催するが、世界に先駆けてここ日本でローンチできたことは駐日大使として感慨深いものがある」とコメント。ナクソス・ジャパン株式会社 代表取締役社長 CEO の西崎博氏は、シリーズの概要について「ブラジル外務省やブラジル国内の各団体の協力を得て、ブラジル音楽にとって歴史的に重要な12名の作曲家の作品を録音していく。2023年までにアルバム約30枚分、最終的には100曲の管弦楽曲を録音する予定だが、そのほとんどが世界初録音となる」と説明した。
ナクソス・レーベルでは、これまでヴィラ=ロボスの「交響曲」や「ブラジル風バッハ」の全曲録音、カマルゴ・グァルニエリのピアノ協奏曲集など、いくつかのブラジル人作曲家の作品を世に送り出してきたが、ブラジル音楽の歴史全体から見ればそれらは氷山の一角でしかない。今回のプロジェクトは、有識者の監修のもと、作曲家が残した楽譜などから編纂・改訂を行い、新たに作り直した楽譜で録音されることもある。なお、シリーズの演奏は、ミナスジェライス・フィルハーモニー管弦楽団、ゴイアス・フィルハーモニー管弦楽団、サンパウロ交響楽団のブラジル国内の3楽団が行う。
レセプションの最後には、日本ヴィラ=ロボス協会の理事でピアニストの清水安紀氏によるピアノ演奏も披露された。楽曲は、アウベルト・ネポムセーノ「古風な組曲 Op.11」やヴィラ=ロボス「ブラジル風バッハ」など、どれもブラジルのクラシック音楽を代表する名曲ばかり。清水氏はコンサート後に「ヨーロッパとブラジルのクラシック音楽ではリズムが異なる。ダンスや祈りのリズムをもとにしているものもあり、非常に独特」と話した。
「THE MUSIC OF BRAZIL」の担当者であるナクソス・ジャパンの岡崎聡氏は「本シリーズの目的は、これまで見えてこなかったブラジル音楽の150年を掘り起こしていくこと」と話し、ブラジルのクラシック音楽の特徴について、清水氏と同様に「ヨーロッパのクラシック音楽に比べて非常に力強いリズムが見られる」と続けた。
会場では、ブラジルの姿を新たな視点から紹介し、同国の多様な文化とライフスタイルを知ってもらうことを目的としたシリーズ展「さまざまな顔をもつ国、ブラジル!」も同時開催。「THE MUSIC OF BRAZIL」のローンチに合わせ、同シリーズで取り上げる12名の作曲家に関する展示が行われた。なお、今後「THE MUSIC OF BRAZIL」で取り上げる12名の作曲家は以下のとおり。
■アントーニョ・カルロス・ゴメス
■エンリキ・オズヴァウド
■アウベルト・ネポムセーノ
■エイトール・ヴィラ=ロボス
■オスカル・ロレンゾ・フェルナンデス
■フランシス・ミニョーネ
■ジョゼ・シケイラ
■モザルト・カマルゴ・グアルニエリ
■セザル・ゲーハ=ペイシェ
■クラウジオ・サントロ
■エジノ・クリーゲル
■ジョゼ・アントーニョ・ジ・アウメイダ・プラド
エドゥアルド・サボイア駐日ブラジル大使のスピーチ、そしてナクソス・ジャパン岡崎聡氏、日本ヴィラ=ロボス協会会長で指揮者の木許裕介氏、イベントで演奏したピアニスト清水安紀氏のコメントは、下記の動画でご覧ください。
下記はブラジルの作曲家のピアノ曲に触れられる貴重な映像です。清水安紀氏によるピアノ演奏も、ぜひご覧ください。
■アウベルト・ネポムセーノ「古風な組曲 作品11」より 前奏曲、メヌエット
■アウベルト・ネポムセーノ「アルバムの一葉」より Ⅱ Con moto、Ⅲ Andante mosso
■エイトール・ヴィラ=ロボス「ブラジル風バッハ第4番」より 前奏曲(序奏)、コラール(奥地の歌)、アリア(カンチーガ)、ダンサ(ミウジーニョ)
クラシカ・ジャパン編成部 井手朋子