2019 / 04 / 16
Bunkamura 30周年記念 熊川版新作「カルミナ・ブラーナ」 オーチャードホール芸術監督 熊川哲也 記者懇談会レポート(3月14日Bunkamuraオーチャードホール ビュッフェ)

©Bunkamura/Ayumi Gombi

指揮を振るアンドレア・バッティストーニ ©上野隆文
今年の9月4日と5日に、Kバレエ カンパニー/ 東京フィルハーモニー交響楽団は熊川版「カルミナ・ブラーナ」を世界初演する。カール・オルフが作曲した「カルミナ・ブラーナ」は、特に冒頭の曲はテレビのCMや番組のBGMなどでも使われているため、誰もが耳にしたことがあるだろう。この楽曲を用い、熊川哲也は新たにオリジナルの物語を作り出す。オーケストラは東京フィルハーモニー交響楽団、指揮は同楽団首席指揮者のアンドレア・バッティストーニが務め、今から大きな話題を呼んでいる。
「東京フィルハーモニー交響楽団は、長らくオーチャードホールとフランチャイズ契約を結んでおり、昨年よりKバレエもフランチャイズカンパニーとなったので、いつか共演する機会があるだろう」と熊川は思っていたそうだ。Kバレエとバッティストーニ&東京フィルの初共演がどのようなケミストリーを生むのか、クラシック音楽ファンも大いに気になるだろう。
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東京フィルハーモニー交響楽団 ©上野隆文
昨年中から既にBunkamura30周年記念の題材候補として「カルミナ・ブラーナ」も挙がっていたとのこと。この曲の歌詞は13世紀初期に遍歴の神学生が書いたとされる詩だが、熊川は「この詩にとらわれず、音楽からのインスピレーションでダークなディストピア・ワールドを描きたい」と今回の構想を語った。
女神フォルトゥーナと悪魔の間に生まれたアドルフが、フォルトゥーナを失脚させ、彼に操られた人間界は悪に満ちていく・・・という大胆なストーリーがスリリング。キャストはオーディションで決めるものの、フォルトゥーナ役について熊川は、明言は避けたものの「復活」を望む女性ダンサーを起用するかもと話し、こちらも注目したい。
今回はダンサーたち以外にオーケストラとソリスト、合唱含め総勢250名余の大変大掛かりな舞台となる。本当に実現できるのか?と思うような創造力を作品として次々と具体化し、しかも成功を収めてきたクリエイター&プロデューサー熊川哲也の新たな挑戦から目が離せない。
結城美穂子(エディター/音楽・舞踊ライター)

K-BALLET COMPANY ©Shunki Ogawa
熊川哲也が『カルミナ・ブラーナ』の構想を語る動画はこちらからお楽しみください。
Bunkamura30周年記念 フランチャイズ特別企画
熊川版 新作 「カルミナ・ブラーナ」 世界初演
2019年9月4日(水)・5日(木)19:00 Bunkamuraオーチャードホール
構成・演出・振付:熊川哲也(Bunkamuraオーチャードホール芸術監督)
音楽:カール・オルフ
衣裳・美術デザイン:ジャン=マルク・ピュイッソン
出演:
バレエ:中村祥子、遅沢佑介、宮尾俊太郎、矢内千夏(プリンシパル)ほか Kバレエ カンパニー
指揮:アンドレア・バッティストーニ
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団
ソリスト歌手:今井実希(ソプラノ)、藤木大地(カウンターテナー)、与那城敬(バリトン)
合唱:新国立劇場合唱団
児童合唱:NHK東京児童合唱団
公演に関するお問合せ:
Bunkamuraチケットセンター 03-3477-9999(10:00~17:30) www.bunkamura.co.jp
結城美穂子 Mihoko Yuki
出版社勤務を経てフリーランスのエディター/ライターとして活動中。クラシック音楽、バレエ、ダンスを得意ジャンルとする。バレエ・ダンス情報誌『ダンツァ』元編集長。単行本・ウェブマガジン・公演パンフレットの編集と執筆、またオペラ、バレエの初心者向け鑑賞ガイドのレクチャー講師を務める。