2019 / 04 / 26
ローザス2年ぶりの来日公演は、あらゆるジャンルの音楽ファンに観てほしい

「A Love Supreme~至上の愛」©Anne Van Aerschot
振付家アンヌ・テレサ・ドゥ・ケースマイケルを中心に、ベルギー/ブリュッセルで1983年に設立されたダンスカンパニー、ローザスが2年ぶりの来日公演を行う。
クラシカ・ジャパンはかつて、2002年の作品『エイプリル・ミー』の創造プロセスを追った「ケースマイケルのダンス・ノート」というドキュメンタリー番組を放送した。そこには、自らの振付の根幹にある音楽と身体運動の関係に立ち返り、作曲家とアイデアを交感しながら振付けていくケースマイケルの姿があり、彼女にとって音楽とダンスは切っても切り離せないものであることが描かれていた。
だから彼女の作品は、いつも音楽が素晴らしい。
今回の来日公演では、ジョン・コルトレーン『至上の愛』から着想を得た「A Love Supreme~至上の愛」と、J.S.バッハ『無伴奏チェロ組曲』6曲にインスピレーションを受けた「我ら人生のただ中にあって/バッハ無伴奏チェロ組曲」が上演される。

「我ら人生のただ中にあって/バッハ無伴奏チェロ組曲」©Anne Van Aerschot
コルトレーンの『至上の愛』は、筆者が大学1年の時に買った最初のジャズアルバムで、特に思い入れが強い。ジョン・コルトレーン(テナーサックス)、マッコイ・タイナー(ピアノ)、ジミー・ギャリソン(ベース)、エルヴィン・ジョーンズ(ドラムス)のカルテットが織り成す4パートからなる神への賛美は、40年近く経った今でも魂が揺さぶられる。
ダンスは、頭で理解するのではなく、ダンスそのものをそのまま感じることで、見る人それぞれの楽しみ方ができる芸術だ。ケースマイケルとローザスは、“神への捧げもの”という想いが込められたコルトレーンとバッハの音楽を、どのように肉体で表現するのだろうか。
ダンスのみならず、クラシックやジャズ、ロックやヒップホップ、民族音楽など、あらゆるジャンルの音楽ファンに是非ご覧いただきたい公演だ。そして終演後に、大切な人、大切な仲間と、音楽について語り合ってほしい。音楽を愛する人なら、ケースマイケルの作品は、いろいろな意味で感じるものがあると思うから。
クラシカ・ジャパン編成部 石川了
芸劇dance Rosas 公演概要
「A Love Supreme ~至上の愛」
日時:5月9日(木)19:30/5月10日(金)19:30/5月11日(土)15:00/5月12日(日)15:00
会場:東京芸術劇場 プレイハウス
振付:サルヴァ・サンチス、アンヌ・テレサ・ドゥ・ケースマイケル
音楽:ジョン・コルトレーン『至上の愛』
出演:ローザス
上演時間:約50分(途中休憩なし)
「我ら人生のただ中にあって/バッハ無伴奏チェロ組曲」 Mitten wir im Leben sind/Bach6Cellosuiten
日時:5月18日(土)15:00/5月19日(日)15:00
会場:東京芸術劇場 プレイハウス
振付:アンヌ・テレサ・ドゥ・ケースマイケル
音楽:J.S.バッハ『無伴奏チェロ組曲』
チェロ:ジャン=ギアン・ケラス
出演:ローザス
上演時間:約2時間(途中休憩なし)
お問い合わせ
東京芸術劇場ボックスオフィス TEL:0570-010-296(休館日を除く10:00~19:00)
※「A Love Supreme~至上の愛」は愛知県名古屋市芸術創造センターでも上演されます。
日時:5月17日(金)19:00/18日(土) 15:00
会場:名古屋芸術創造センター
お問い合わせ:愛知県芸術劇場 TEL:052-971-5609(10:00~18:00)