2019 / 04 / 18
上野の森バレエホリデイ2019~今年の目玉は、東京バレエ団によるブルメイステル版『白鳥の湖』と、クイーンの名曲がダンスで炸裂する『バレエ・フォー・ライフ』野外特別上映!

東京バレエ団によるブルメイステル版『白鳥の湖』photo:Kiyonori Hasegawa

『バレエ・フォー・ライフ』が上映される東京国立博物館前の特別スクリーン
ゴールデンウィークの前半に、今年も上野の東京文化会館をメイン会場としたバレエに関する多くのイベントが行われる。イベント名は「上野の森バレエホリデイ」、昨年はのべ7万8千人を動員しすっかり定着した感がある。東京バレエ団による『白鳥の湖』公演がメインで、初めてバレエ鑑賞をする子どもを意識した解説付きと、本公演、それぞれ連日で3公演ずつ行われる。これだけでもニュースになるのだが、バラエティに富むさまざまなイベントをご紹介したい。
屋外特設ステージでは、東京バレエ団のダンサーが創作したオリジナル作品を披露したり、巨大スクリーンでパブリック・ビューイングも見ることができる。さらに今年は、「野外シネマ×バレエホリデイ」と称し、東京国立博物館の表慶館前に設置された特別スクリーンにて26日と27日の2回、モーリス・ベジャール・バレエ団の『バレエ・フォー・ライフ』が上映される。カンパニーのスター、ジョルジュ・ドンとクイーンのボーカル、フレディ・マーキュリーの死に触発され、ベジャールがクイーンの楽曲17曲をメインに振り付けた作品で、現在では映像作品は絶版なので大変貴重な上映機会だ(無料。国立博物館の入館料が別途必要)。

大ホールのホワイエで行われるバレエウェアのファッションショー(過去の模様)photo:Mizuho Hasegawa
大ホールのホワイエでは、ワイワイと賑やかにバレエにまつわるお店が集まっていて、そこではバレエウェアのファッションショーやバレエ衣裳を着て写真の撮れるフォトスポットがあり、ミニ・コンサートも行われる。もちろん入場無料。上野という土地柄、動物園や美術館を訪れる人たちが多く、彼らも自然と足を向ける盛況ぶりだ。かわいい雑貨や小物もたくさんあるので、普段バレエに接する機会のない人も楽しめる。小ホールではバレエアイテムの手作り教室といった体験型イベントがあり、無料のものもあるのでついでにのぞいてみるのも楽しい。
実際にバレエを体験したい人に向けては、3〜5歳児対象の「はじめてのバレエ・レッスン」「大人のためのやさしいバレエ・ストレッチ」が用意されている(有料、要事前申込み)。
コアなバレエ・ファンには「ホリデイ・バレエ・アカデミー」がおすすめだ(有料)。元バーミンガム・ロイヤル・バレエ団の山本康介による「山本康介が語る!〜英国バレエのここが楽しい〜」や、「“男のバレエの秘密”〜秋元康臣×池田武志」といった講座があり、1時間というコンパクトな座学ながら濃い内容でしっかり勉強できる。

公開レッスン(過去の模様)photo:NBS
このイベントにもっとも尽力しているのが東京バレエ団のダンサーとスタッフだろう。舞台をこなすだけでなく、公開レッスン、ダンサーの創作を披露する「ダンス&クリエーション」、バックステージ・ツアーもある。プリンシパル柄本弾のトークイベントや、最終日には、「Ballet Dancer☆ Fun Fan Event ! ~バレエダンサー☆ ファンイベント!〜」というファン・ミーティングも予定されている。ダンサー側から歩み寄って、バレエの楽しさをいろいろな形で伝えようとしてくれるその献身には頭が下がる。
『白鳥の湖』は、ブルメイステル版を上演。第3幕の舞踏会のシーンでは、スペイン、ナポリ、ハンガリー、ポーランドの踊りが全員悪魔ロットバルトの手下で、オディールと一緒になって王子を誘惑するというユニークかつドラマティックな展開が見どころだ。上野水香&柄本弾、川島麻実子&秋元康臣、沖香菜子&宮川新大という3キャストを揃え、至高の名作を披露する。
バレエを身近に感じられ、もっと好きになる楽しいイベント、今年もぜひ出かけたい。
結城美穂子(エディター/音楽・舞踊ライター)
イベント詳細はこちら
https://balletholiday.com/2019/venue/
東京バレエ団
ブルメイステル版『白鳥の湖』(全4幕)
改訂振付:ウラジーミル・ブルメイステル
第2幕振付:レフ・イワーノフ、アレクサンドル・ゴールスキー(三羽の白鳥)
音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
演奏:東京ニューシティ管弦楽団
●4月27日(土)15:00
オデット/オディール:上野水香
ジークフリート王子:柄本弾
●4月28日(日)15:00
オデット/オディール:川島麻実子
ジークフリート王子:秋元康臣
●4月29日(月・祝)15:00
オデット/オディール:沖香菜子
ジークフリート王子:宮川新大
上野の森バレエホリデイ2019 野外シネマ×バレエホリデイ
『バレエ・フォー・ライフ』
日時:4月26日(金)・27日(土)19:00 ※雨天中止
※18:50~19:00 小田島久恵氏(音楽ライター)によるプレトークあり
会場:東京国立博物館 表慶館前 (東京都台東区上野公園)
料金:無料 ※東京国立博物館の入館料が別途必要となります。
※高校生以下、および満18歳未満、満70歳以上は無料。
座席:250名 ※座席が満席となった場合にも、芝生や周辺にお座りいただけます。
主催:文化庁/〈上野の森バレエホリデイ〉実行委員会
協力:東京文化会館(公益財団法人 東京都歴史文化財団)
企画・制作:公益財団法人 日本舞台芸術振興会
結城美穂子 Mihoko Yuki
出版社勤務を経てフリーランスのエディター/ライターとして活動中。クラシック音楽、バレエ、ダンスを得意ジャンルとする。バレエ・ダンス情報誌『ダンツァ』元編集長。単行本・ウェブマガジン・公演パンフレットの編集と執筆、またオペラ、バレエの初心者向け鑑賞ガイドのレクチャー講師を務める。