特集FEATURE
バックナンバー
ブッフビンダーのベートーヴェン:ピアノ・ソナタ全集
PROGRAM
シュライアー&ブッフビンダー「ドイツ・リートの夕べ」Vol.1
シュライアー&ブッフビンダー「ドイツ・リートの夕べ」Vol.2
シュライアー&ブッフビンダー『プロコフィエフ:3つの子供の歌』
初回放送 6月14日(水) 21:00~22:25
20世紀を代表するドイツのテノール歌手で、オペラのみならず宗教曲やドイツ・リートで一世を風靡したペーター・シュライアー30代半ばの瑞々しいドイツ・リート集とソ連の作曲家プロコフィエフの『3つの子供の歌』。ピアノは、まだ20代半ばの若きルドルフ・ブッフビンダー。「ドイツ・リートの夕べ」Vol.1ではモーツァルト『夕べの想い』、ベートーヴェン『君を愛す』、シューベルトの『野ばら』『セレナード』『ミューズの子』といった有名な歌曲とブラームスのドイツ民謡集から5曲を披露。Vol.2はシューマンとブラームスのポピュラーな歌曲。シューマンの「きみは花のよう」「月夜」、ブラームスの「五月の夜」「秋の気配」「憧憬」など、そのあまりにも美しい世界は、まさにドイツ・ロマン派の音楽を堪能できるもの。また、シュライアーはドイツ・リートだけでなく、20世紀の歌曲やオペラにも積極的に取り組んだ。ソ連の作曲家プロコフィエフの『3つの子供の歌』はソ連体制下の1936年に作曲され、子供でも歌える親しみやすい旋律の中に、ユーモアや皮肉が込められ、シンプルながら繊細で色彩的な音楽が魅力。
シュライアーの端正な歌唱と美しい声、美しい言葉、そしてさまざまな彩りを添えるブッフビンダーのピアノ。時代を越えて見るものの胸を打つ、本物のドイツ・リートと『3つの子供の歌』の神髄を目と耳で体感できる。
[演目] 「ドイツ・リートの夕べ」 Vol.1 モーツァルト:夕べの想いK.523、ベートーヴェン:君を愛すWoO.123、シューベルト:野ばらD.257,Op.3-3/歌曲集『白鳥の歌』D.957,965A~セレナード/ミューズの子D.764,Op.92-1、ブラームス:ドイツ民謡集~美しい乙女よ、私を許して/こんばんは、おずるさん/かわいい恋人よ、素足で来ないで/美しい羊飼いの娘よ、私に話して/太陽はもう輝かない Vol.2 シューマン:歌曲集『ミルテの花』Op.25~第24曲「きみは花のよう」/『5つのリートと歌』Op.127~君の顔/『リーダークライス』Op.39~月夜、ブラームス:五月の夜Op.43-2/秋の気配Op.48-7/憧憬Op.49-3、ブラームス:ドイツ民謡集~マリアの巡礼/お姉さん、私たちはいつ家に帰るの/どうやって門から入ろうか
『プロコフィエフ:3つの子供の歌』プロコフィエフ:3つの子供の歌Op.68~第1曲「おしゃべり」(A・バルト詩)第2曲「快い歌」(N・サンコンスカヤ詩)第3曲「子豚」(L・クヴィトコ詩)
[出演]ペーター・シュライアー(テノール)ルドルフ・ブッフビンダー(ピアノ)
[収録]シェーンブルク館(ウィーン)
[映像監督]フーゴー・ケヒ
[制作]1972年
初回放送 6月21日(水) 21:00~22:40
シュターツカペレ・ドレスデンのパートナーでもあるフォルクスワーゲン「ガラスの工房」(グレーゼルネ・マヌファクテュア)。このガラス張りの近代的な建物内で、ウィーンのピアニスト、ルドルフ・ブッフビンダーがモーツァルトの代表的なピアノ協奏曲3曲を弾き振りした、2015年6月公演の全貌。ウィーンでフリーの音楽家として生きるモーツァルトが、自らピアノソロを担当する予約演奏会のために作曲したピアノ協奏曲。第20番は第2楽章が映画『アマデウス』のエンディングに、第21番は第2楽章が映画『みじかくも美しく燃え』に使われ、誰もが一度は耳にしたことがある名曲。第27番はモーツァルト最後のピアノ協奏曲となった。正統的ウィーンの伝統を受け継ぐピアニストとして、現代最高のベートーヴェン弾きの評価を得ているが、これまでウィーン・フィルやウィーン響と弾き振りを重ねてきたモーツァルトのピアノ協奏曲も、実は彼の中では重要なレパートリーの一つ。今回は、現存する最古のオーケストラの一つ、シュターツカペレ・ドレスデンを弾き振りしたモーツァルト。ブッフビンダーの明快なタッチと透明感あふれるピアノ、そして彼の弾き振りをさまざまな角度から捉えたカメラワークは必見。小編成のシュターツカペレ・ドレスデンは、オペラを演奏するオーケストラならではの優雅な音色が素晴らしい。
[演目]モーツァルト:ピアノ協奏曲第20番ニ短調K.466/第21番ハ長調K.467/第27番変ロ長調K.595
[ピアノ&指揮]ルドルフ・ブッフビンダー
[演奏]シュターツカペレ・ドレスデン
[収録]2015年6月フォルクスワーゲン「ガラスの工房」(ドレスデン)
初回放送 6月28日(水) 21:00~22:45
2015年3月ウィーンのムジークフェラインザールで行われたズービン・メータ指揮ウィーン・フィルによるブラームスの2つのピアノ協奏曲。ソリストには、ウィーンのピアノ演奏の伝統を現代に引き継ぐ名手ルドルフ・ブッフビンダー。2016年10月ウィーン・フィル来日公演では同じ指揮者とソリストでブラームスのピアノ協奏曲第1番が演奏された。番組では、第2番が前半、第1番が後半というブッフビンダーお馴染みの順番で、繊細さと詩的な雰囲気をもつ第2番と、重厚さと若き作曲家の情熱あふれる第1番の対比が見どころ。ブラームスがイタリア旅行中に構想を得たという第2番は、堂々として味わい深いブッフビンダーのピアノと、ウィーン・フィルのホルンやチェロのソロの素晴らしさに注目。ブラームス青年期の第1番は、恩師シューマンへの敬意とクララへの憧れが入り混じる作曲家の若き日の瑞々しい感性を、自筆譜から研究しているブッフビンダーは強靭な打鍵と重厚な音で表現する。暗譜で指揮するメータは、ウィーン・フィルから美しい音色と重厚感、ブラームスの渋みと深みを引き出す、78歳とは思えない渾身の姿が印象的。ブッフビンダーの両手のクローズアップ、ライナー・ホーネックの名コンサートマスターぶり、さまざまな角度で映し出されるムジークフェラインなど、流麗なカメラワークも楽しい。
[演目]ブラームス:ピアノ協奏曲第2番変ロ長調Op.83/ピアノ協奏曲第1番ニ短調Op.15
[指揮]ズービン・メータ
[演奏]ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団、ルドルフ・ブッフビンダー(ピアノ)
[収録]2015年3月8日ムジークフェイランザール(ウィーン)
ザルツブルク音楽祭の長い歴史の中で、2014年に初めて実現したベートーヴェン「ピアノ・ソナタ全曲演奏会」。7日間にわたって演奏したのは、「ウィーンの伝統を受け継ぐピアニスト」として知られるルドルフ・ブッフビンダー。彼は作曲年代順ではなく、書かれた時代や楽曲のキャラクター及び調性を1つのコンサートの中に俯瞰する形で選曲し、7つのコンサート全てがブッフビンダー独自の世界観にあふれているところがポイント。その新感覚の演奏は、「ベートーヴェンの新しい解釈を示した、ブッフビンダー以外には成し得ない偉業」と称賛された。3日目のプログラムは、ハイドンに献呈された「作品2」の中で華やかな技巧と力強さにあふれた第3番と、ほぼ同時期作品と推定され、ピアノ学習者は初期段階で必ず弾く第19番。ナポレオン軍の侵攻でウィーンを離れることになったルドルフ大公に献呈された第26番『告別』。ベートーヴェンの熱心な支持者であったブラウン伯爵夫人アンナ・マルガレーテに献呈された「作品10」の中で最も規模が大きくドラマティックな第7番。そしてまさに孤高の境地に達するベートーヴェン後期の最初のピアノ・ソナタ第28番。5歳でウィーン音楽大学に入学したブッフビンダーは早くから神童として才能を発揮し、ミュンヘン国際音楽コンクールやベートーヴェン・コンクールに優勝するなど華々しい受賞歴を誇る。ベートーヴェンのピアノ・ソナタ全曲を2度録音し、さらに50回の全曲演奏会を行うなど、彼はまさに「現代における最も重要なベートーヴェン奏者」と評されている。現代のベートーヴェン「ピアノ・ソナタ」映像の最高峰。
[演目]ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第3番ハ長調Op.2-3/第19番ト短調Op.49-1/第26番変ホ長調Op.81a『告別』/第7番ニ長調Op.10-3/第28番イ長調Op.101
[ピアノ]ルドルフ・ブッフビンダー
[収録]2014年8月5日モーツァルテウム大ホール(ザルツブルク)「ザルツブルク音楽祭2014」