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ベルカント~伝説のテノールたち
「ベルカント」をキーワードに、伝説のテノールたちの美しい歌声の譜を追ったドキュメンタリー。 ベルカントとはイタリア語で「美しい(bel)歌(canto)」の意味だが、声楽の歴史では、18世紀から19世紀初頭に全盛を極めた歌唱様式を指す。 特にテノールにおいては、19世紀前半のロッシーニの時代に全盛だった軽く繊細な声質が、ベルカントの典型。しかしやがて、ヴェルディやワーグナー、 そしてヴェリズモ(現実主義)オペラと呼ばれる、深刻で劇的な内容のオペラが主流になると、装飾的な声の技巧よりも、内面の叫びを吐露するような、 ドラマティックで、より力強く、雄渾に響く声が求められるようになった。20世紀はドラマティックなテノールが全盛となり、 「絶滅危惧種」のように言われていたベルカント・テノールだが、近年の古楽演奏の隆盛や「ロッシーニ・ルネサンス」の流れの中で、あらためて注目されており、 復活の傾向にある。SPレコード時代の名歌手たちを中心に、時代に流されずに伝統の発声を守り続けたテノール歌手の系譜を、音楽学者や往時を知る関係者たちの証言を交えながら紹介。
初回放送 前編 2月13日(火) 21:00~22:10
前編に登場するのは、エンリコ・カルーソー(1873~1921)、フェルナンド・デ・ルチア(1860~1925)、ジョン・マコーマック(1884~1945)、 レオ・スレザーク(1873~1946)、リヒャルト・タウバー(1891~1948)、ベニャミーノ・ジーリ(1890~1957)の6人のテノール・レジェンドたち。
[主な演目]
マイアベーア:歌劇『アフリカの女』~おおパラダイスよ!
カルディッロ:カタリ・カタリ(つれない心)
レオンカヴァッロ:歌劇『道化師』~衣装をつけろ
ヴェルディ:歌劇『リゴレット』~あれかこれか
ドナウディ:明るい懐かしの地よ
フランク:天使の糧
シュトルツ:荒野に咲く最後のバラ
レハール:喜歌劇『微笑みの国』~君はわが心のすべて
プッチーニ:歌劇『トスカ』~星も光りぬ 他
[映像監督]ヤン・シュミット=ガレ
初回放送 後編 2月20日(火) 21:00~22:10
後編に登場するのは、ラウリッツ・メルヒオール(1890~1973)、ティート・スキーパ(1889~1965)、イワン・コズロフスキー(1900~1993)、 ヨーゼフ・シュミット(1904~1942)、ユッシ・ビョルリング(1911~1960)の5人のテノール・レジェンドたち。
[主な演目]
マイアベーア:歌劇『アフリカの女』~おおパラダイスよ!
ドニゼッティ:歌劇『ランメルモールのルチア』~神に向かって飛び立ったお前
フロトー:歌劇『マルタ』~ああかくも汚れなく
ドニゼッティ:歌劇『愛の妙薬』~人知れぬ涙
チャイコフスキー:歌劇『エヴゲニー・オネーギン』~どこへお前は遠ざかっていったのか
ムソルグスキー:歌劇『ボリス・ゴドゥノフ』~聖愚者の歌
ビゼー:歌劇『カルメン』~花の歌
シューベルト:シルヴィアに 他
[映像監督]ヤン・シュミット=ガレ
日頃は実現が難しい贅沢なアンサンブルが聴けるのも、ヴェルビエ音楽祭の特色の一つ。この番組は、チェリストのゴーティエ・カプソンとピアニストのダニール・トリフォノフの デュオ2曲と、ヴァイオリニストのレオニダス・カヴァコスが加わったトリオ1曲を一晩で演奏したコンサート。 1967年ギリシャ生まれのカヴァコスは、澄んだ音が魅力の現代最高のヴァイオリニスト。 1981年フランス生まれのゴーティエ・カプソンは、そのパワフルな響きで火花散るような瞬間が次々と現れる。 1991年ロシア生まれのトリフォノフは、2011年チャイコフスキー国際コンクール第1位を獲得し、その後の成長も著しい人気ピアニスト。 音色も風貌も孤高の求道者のようなトリフォノフの一心不乱の演奏姿と全身で濃厚に歌うカプソンのチェロ。 スメタナでは懐の大きなカヴァコス入魂の低音に始まり、彼が若い二人を導くように、悲しみの中に希望を見出す音楽を奏でていく。
[演目]シューマン:幻想小曲集Op.73、ラフマニノフ:チェロ・ソナタOp.19、スメタナ:ピアノ三重奏曲Op.15
[演奏]ゴーティエ・カプソン(チェロ)ダニール・トリフォノフ(ピアノ)レオニダス・カヴァコス(ヴァイオリン)
[収録]2016年7月29日ヴェルビエ教会(ヴェルビエ、スイス)「第23回ヴェルビエ音楽祭」