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5月17日より劇場公開される、「英国ロイヤル・オペラ・ハウス シネマシーズン 2018/19」『ドン・キホーテ』出演者のプリンシパル・高田茜さんと、ファーストソリストの金子扶生さんに全2回でインタビュー!今回は、森の女王役と、別キャストでは主役キトリも踊っている金子扶生さんです

 5月17日より公開される、ロイヤル・オペラ・ハウス シネマシーズン『ドン・キホーテ』。森の女王役を踊るのは、別キャストでは主役キトリも踊っているファースト・ソリストの金子扶生。今シーズンは、『ラ・バヤデール』そして『くるみ割り人形』の金平糖の精と薔薇の精役などで活躍し、華やかで優雅な踊りで、日本でシネマシーズンを楽しんでいる観客にも鮮やかな印象を与えた。ロイヤル・バレエの次のプリンシパル最有力候補と目され、来日公演での踊りにも期待が高まる彼女に、『ドン・キホーテ』で2つの役を踊り終えた気持ちと、日本のファンへのメッセージを電話で伺った。 今シーズンを振り返って ──金子さんは今シーズンでは『うたかたの恋』、『くるみ割り人形』そしてこの『ドン・キホーテ』と大活躍されましたが、どんなシーズンでしたか?  今シーズンではすごくたくさんの役を頂いて、シーズン明けの『うたかたの恋』で高級娼婦のミッツィー・カスパー役、その後もとても難しい役をたくさんいただきました。やりがいのあるシーズンになりましたね。 ──『ドン・キホーテ』では、前回上演された時にも主演されましたが、舞台の上で大きな怪我をされてしまいましたね。因縁があるバレエですが、今回はどのような想いで踊られましたか?  前回は初めてキトリ役として、全幕をロイヤル・バレエで踊る機会を頂いたところで怪我をしてしまいましたが、今回もキャスティングしていただきました。役へのカムバックとなったわけです。この役で怪我をしたことがトラウマとなってしまい、精神的にもかなり緊張していたのですが、すごく楽しい舞台になりました。パートナーが直前に怪我で代わって、全然リハーサル時間は取れなかったのです。ゲスト・ダンサーのダニエル・カマルゴ(オランダ国立バレエ団)と踊りました。ダニエルはとても上手なダンサーで良いパートナーで、落ち着いて楽しんで踊ることができました。そのあと、1カ月くらいキトリ役を踊っていなくて、もう出番は終わったと思っていたら、急病のローレン・カスバートソンの代役として急きょもう一度マシュー・ボールと踊ることになりました。キトリは踊りがとてもたくさんある役で、1カ月以上も毎日練習して舞台に持っていくのですが、その時も急に言われて、びっくりしたのです。何とか無事に終えました。キトリ役を踊るにあたってはいろんなことがあったので、踊り終えたことが一番私にとって今シーズン大きかったことだし、一番嬉しいことでした。 『ドン・キホーテ』について ──今回、映画館での上映では、森の女王役を踊られています。  この役は、観た人が考えるよりもずっと難しい役です。4人くらいのダンサーとこの役を交代で踊っているのですが、みんなストレスが溜まっています(笑)。「2分間の舞台なのになんでこんなに難しいの!」と。私もストレスを感じていました。森の女王役を踊っていれば、キトリ役を踊るのも楽になると感じたほどです。この役があまりに難しいので、キトリを踊るときにはストレスなく、もっと楽しめたのですよね。私が踊った3回目がシネマ用に収録されましたが、その後も何回も踊らせていただき、回を重ねるごとに楽しめるようになりました。森の女王は、やはり女王なので品格が大事だと思うのですが、その場面だけ、とてもクラシック・バレエ的で、1幕や3幕とは全然違います。クラシック・バレエの美しさを魅せないといけません。その違いを見せられたらいいなと思います。 ──カルロス・アコスタ版の『ドン・キホーテ』の楽しいところはどこですか?  カルロスは人柄が本当にいい方、楽しい方で、彼がいつも『ドン・キホーテ』といえばこれ、という『ドン・キホーテ』の決定版を創りたいと言っていたのですが、観て頂いたらわかるように、自分もこの作品の中に入って楽しめるような『ドン・キホーテ』だと思います。ただただ音楽に身を乗せて楽しんで頂けたら嬉しいです。 ──金子さんにとって、キトリとはどんな女の子で、彼女のどんなところを見せたいと思いますか?  キトリは登場するだけで周りが明るくなるような笑顔の眩しい太陽みたいな女の子。何もしなくても村一番に輝いている子です。町中の男の子を虜にしてしまうような魅力もたっぷり。カルロスが、私が舞台上でそのように見えるように指導してくださったのです。「自分が最初から一番輝いているのだから、何もしなくていい、無理しなくていい」と。こんなスパニッシュの女の子を演じることができるかは正直不安でしたが、キトリのメークアップをし、赤い衣装を着て赤い花の髪飾りをつけ、オーケストラの音楽を聴いて舞台に飛び出るとキトリになるんです。 ──『ドン・キホーテ』ではキトリ役と森の女王役の2つの役を踊ったり、代役で急に踊ることになったり、体力的にも厳しかったと思いますが、このハードスケジュールを乗り切るコツは?  映画館で中継された公演の3日後にも、キトリ役を踊る予定だったので、どっちの役なのか、頭がごちゃごちゃになりそうでした。体力的にもかなり限界だったのですが、1つずつ丁寧にこつこつ踊っていくことが、精神的にも体力的にも大事なことだと思いました。 今後について ──この後今シーズン楽しみにしている演目は何ですか? これから『シンフォニー・イン・C』を踊る予定ですが、これが楽しみです。来日公演のガラ公演でも踊る予定です。一度ガラ公演で少しだけ踊りましたが、かなりスタミナの必要な踊りですが美しい作品ですね。 ──こんなバレエダンサーでありたいという目標はありますか?そしてダンサーとして大事だと考えていることは?  踊りたい演目が数え切れないくらいたくさんあります。それをできる限り踊り、何よりも健康であること。あと1人でも多くの方に私の踊りを観てもらい、楽しんでいただきたいです。ダンサーとして大切なことは、自己管理だと思います。身体的にも、精神的にも。身体の喜ぶものを食べ、リカバリーも大切に。たくさん練習してから出る舞台もいつも不安との戦い、それを吹っ飛ばすくらい自分を信じてあげる力も必要ですね。 オフの時間の過ごし方は ──忙しい毎日だと思いますが、オフの日のリフレッシュ方法やバランスのとり方があったら教えてください。  確かにロイヤル・バレエのスケジュールはかなり忙しく、身体的にも精神的にもリラックスできる時間はとても重要です。私は公演のない夜はご飯を作って家でゆっくり映画などをみるのが好きです。いつも時間があまりないので早く作れる物になりがちですが、時間がある時は料理するのが好きですね。 最後に ──日本の観客の皆さんへのメッセージをお願いします。  シネマシーズンの『ドン・キホーテ』はとっても楽しいです!私もお客様と一緒になって楽しめるようなバレエなので、ぜひ観に来ていただきたいです。日本公演も近づいていて、その予習にもなるのでぜひ!インタビュー:森 菜穂美(舞踊ライター)   英国ロイヤル・オペラ・ハウス シネマシーズン 2018/19 『ドン・キホーテ』 2019年5月17日(金)~5月23日(木) 北海道 ディノスシネマズ札幌 宮城 フォーラム仙台 東京 TOHOシネマズ日比谷 東京 TOHOシネマズ日本橋 東京 イオンシネマ シアタス調布 千葉 TOHOシネマズ流山おおたかの森 神奈川 TOHOシネマズららぽーと横浜 愛知 TOHOシネマズ名古屋ベイシティ 京都 イオンシネマ京都桂川 大阪 大阪ステーションシティシネマ 兵庫 TOHOシネマズ西宮OS 福岡 中洲大洋映画劇場 【振付】マリウス・プティパ 【追加振付】カルロス・アコスタ 【音楽】レオン・ミンクス 【指揮】マーティン・イエーツ 【出演】ドン・キホーテ:クリストファー・サウンダーズ サンチョ・パンサ:フィリップ・モーズリー キトリ:高田茜 バジル:アレクサンダー・キャンベル エスパーダ:ヴァレンティノ・ズケッティ メルセデス:マヤラ・マグリ キトリの友人:崔由姫、ベアトリス・スティクス=ブルネル キューピッド:アナ・ローズ・オサリヴァン ドルシネア:ララ・ターク ドリアードの女王:金子扶生 ロレンツォ(キトリの父):ギャリー・エイヴィス ガマーシュ:トーマス・ホワイトヘッド   筆者紹介 森 菜穂美 Naomi Mori 舞踊ライター、翻訳。9歳までロンドンで過ごす。早稲田大学法学部卒業。企業広報、PR会社勤務、映画配給・宣伝、リサーチャーを経て、フリーランスに。おもにダンス・バレエを中心に取材、執筆および翻訳。新聞、雑誌や海外・国内のWEBサイト、バレエ公演や映画のパンフレットに日本語/英語で寄稿。映画字幕や書籍の翻訳監修も。監修した書籍に「バレエ語辞典」(誠文堂新光社)など。大人バレエを習いつつ、国内外で幅広く舞台鑑賞をしている。

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5月17日より劇場公開される、「英国ロイヤル・オペラ・ハウス シネマシーズン 2018/19」『ドン・キホーテ』出演者のプリンシパル・高田茜さんと、ファーストソリストの金子扶生さんに全2回でインタビュー!今回は町娘キトリ役とドルシネア姫の二役で主演する高田茜さんです

 2016/2017シーズンに英国ロイヤル・バレエのプリンシパルに昇進し、今やロイヤル・バレエを代表するバレリーナへと成長した高田茜。ボリショイ・バレエ・アカデミー仕込みの磨き抜かれたクラシック・バレエのテクニックに加え、『ロミオとジュリエット』のジュリエット役や『マノン』のタイトルロールなど、ドラマティックな作品での演技力でも高い評価を得るようになり、現地での人気はますます高まっている。  その高田茜が、5月17日より劇場公開される、「英国ロイヤル・オペラ・ハウス シネマシーズン 2018/19」の『ドン・キホーテ』に町娘キトリ役とドルシネア姫の二役で主演する。ロイヤル・バレエの元プリンシパル、カルロス・アコスタが振付を行い、6月の来日公演でも上演される話題作だ。ちょうど29歳の誕生日だった日に、電話で高田茜に作品の見どころなどを伺った。 『ドン・キホーテ』のキトリ役について ──「英国ロイヤル・オペラ・ハウス シネマシーズン2018/19」の一環として、日本を含め世界26カ国の映画館で上映される『ドン・キホーテ』に主演していかがでしたか?  私たちロイヤル・バレエでは、たくさんの作品を映画館で上映していますが、今回の映画館中継では私は初めての全幕での主演でした。緊張しましたし、世界で上映されると思うと身の引き締まる思いで踊りました。『ドン・キホーテ』は私が初めて3幕ものを踊った思い出の作品でもあり、またこのアコスタ版での主役デビューをした時には転んでしまい、破天荒なエピソードのある作品なのです(笑)。 実は中継の日は高熱を出してしまいました。本番に熱を出して全3幕を踊るなんて初めての経験だったのです。でも踊りきることができたので、いい経験ができたと思います。体調管理は大切だと実感しました。 ──キトリ役は、本来のシャイな高田さんとはかけ離れたキャラクターとのことですが、どのように役作りをされましたか?  しっかりと人物像を創ろうと思って取り組みましたね。キトリ役は、自分の中から自然に出てくるキャラクターではないのですが、スペイン人としての誇りを持っている女性で、短気で、頑固で、情熱的な女性というのが私の中でのキトリのイメージとしてありました。底抜けに明るいだけのキャラクターではないと考えたのです。スペインに行った時に感じたのですが、スペインの女性はとても強くて。だからキトリも自分をしっかり持っている女性なのだと感じました。 ──キトリ役はとてもハードな作品ですが、これを踊りきるコツというのは?  ギリギリのところで踊っているという感じです。1幕、2幕とたくさん踊ったうえで、3幕にグラン・パ・ド・ドゥを踊るのは体力的にも大変ですが、一番盛り上がるところですよね。でも、キトリ役の他にドルシネアと二役を踊るのは、まったく違ったアプローチをすることもできるし、気持ちも切り替えられるので乗り切れますね。そういったところが楽しい作品です。 共演者について ──今回は、バジル役のアレクサンダー・キャンベルと共演をしていますが、彼はどんなダンサーですか?  アレックスは優れたダンサーであり、アクターであり、そしていい友人です。頭が良い人で、こちらのことをよく察してくれていて、サポートしてくれています。たくさんの作品を一緒に踊ってきていて、どういう風に踊るのかということもわかっているので、一番踊りやすいパートナーです。 ──ロイヤル・バレエのダンサーは演技に優れていることで定評がありますが、ドン・キホーテ役のクリストファー・サウンダースや、キトリの父役のギャリー・エイヴィスといった優れた役者との共演はどんな体験ですか?  ギャリーは、バレエの役を演じながらも、コーチとして指導もしています。彼を間近で演技をするところを見て学ぶことは多いです。ドン・キホーテ役を演じながら、やはり指導もしているクリストファー・サウンダースも、ストーリーの重要な人物としてドシッと構えて、しっかりとストーリーを語ってくれているので心強いです。コール・ド・バレエに至るまで、みんな演技をするのが好き、という気持ちが出ているのがロイヤル・バレエを作り上げているし、ここの魅力です。 アコスタ版の『ドン・キホーテ』について ──アコスタ版の『ドン・キホーテ』はどこが楽しいと感じられていますか?  私はジプシーシーンを見ているのが一番楽しいです(笑)。ダンサーたちが喧嘩をするところですね。それが本当に面白くて、本気で驚いてしまいます。みんな毎回やることが違って、激しかったり、逆に一人だけが激しく暴れているのを私も一緒になってみんなで止めたりもします。楽しませてくれていますね。ここではダンサーたちは声を出すのですが、みんなスペイン語をしゃべっているのですよ。スペイン語圏出身のダンサーが、こう言ったら?とアイディアを出してくれて参考にしています。  ジプシーの野営地の前に、ロマンティックなパ・ド・ドゥのシーンがありますが、ここが私の一番好きなシーンです。『ドン・キホーテ』の前は『ラ・バヤデール』を踊っていて、ここは『ラ・バヤデール』の音楽を使っていますが、全く違った雰囲気ですね。 最後に ──これから出演する作品で楽しみにしているのはどんな作品ですか?  今は、シディ・ラルビ・シェルカウイの新作『メデューサ』に取り組んでいます。とても面白い作品になっていると思います。全く違うスタイルの作品になりますが、楽しくリハーサルができています。シェルカウイさんは日本語も話すのですよ。チャレンジングな役になると思いますが楽しみです。(『メデューサ』も6月に日本でトリプル・ビルの一本として劇場公開される予定) ──『ドン・キホーテ』を楽しみにしている日本のお客さんへのメッセージをお願いします。  『ドン・キホーテ』はロイヤル・バレエならではの演技の詰まった作品であると共に、シンプルに跳躍や回転などのテクニックをピュアに楽しむ作品でもあり、演技もテクニックもどちらも楽しんでいただける作品だと思います。日本の皆さんにもスペインの風を感じてもらえたらと、ぜひ観てくださいね。  『ドン・キホーテ』が収録された公演では熱を出してしまったという高田だが、映像を観てもまったくそのことは気が付かないほど、絶好調に見受けられた。スピードとリズム感が見事なカスタネットのソロ、ドルシネア姫役での高く浮かび上がるような跳躍と優雅さ、そしてダブルを織り交ぜて余裕たっぷりのグラン・フェッテ。どんな時でも正確で完璧な踊りを見せてくれるのは流石ロイヤル・バレエのプリンシパルだ。  バジル役キャンベルとの息もぴったりで、バジルや父ロレンツォ、婚約者ガマーシュとのコミカルなやり取りで見せるいたずらっぽい表情は魅力的。気が強いけど可愛らしく、でもどこか凛としている役作りは高田ならではの個性で、キトリ役に命を吹き込み、主役としての存在感をしっかり見せてくれた。  日本が誇る世界のプリンシパル、高田茜が魅せる『ドン・キホーテ』を見逃さないでほしい。インタビュー:森 菜穂美(舞踊ライター)   英国ロイヤル・オペラ・ハウス シネマシーズン 2018/19 『ドン・キホーテ』 2019年5月17日(金)~5月23日(木) 北海道 ディノスシネマズ札幌 宮城 フォーラム仙台 東京 TOHOシネマズ日比谷 東京 TOHOシネマズ日本橋 東京 イオンシネマ シアタス調布 千葉 TOHOシネマズ流山おおたかの森 神奈川 TOHOシネマズららぽーと横浜 愛知 TOHOシネマズ名古屋ベイシティ 京都 イオンシネマ京都桂川 大阪 大阪ステーションシティシネマ 兵庫 TOHOシネマズ西宮OS 福岡 中洲大洋映画劇場 【振付】マリウス・プティパ 【追加振付】カルロス・アコスタ 【音楽】レオン・ミンクス 【指揮】マーティン・イエーツ 【出演】ドン・キホーテ:クリストファー・サウンダーズ サンチョ・パンサ:フィリップ・モーズリー キトリ:高田茜 バジル:アレクサンダー・キャンベル エスパーダ:ヴァレンティノ・ズケッティ メルセデス:マヤラ・マグリ キトリの友人:崔由姫、ベアトリス・スティクス=ブルネル キューピッド:アナ・ローズ・オサリヴァン ドルシネア:ララ・ターク ドリアードの女王:金子扶生 ロレンツォ(キトリの父):ギャリー・エイヴィス ガマーシュ:トーマス・ホワイトヘッド   筆者紹介 森 菜穂美 Naomi Mori 舞踊ライター、翻訳。9歳までロンドンで過ごす。早稲田大学法学部卒業。企業広報、PR会社勤務、映画配給・宣伝、リサーチャーを経て、フリーランスに。おもにダンス・バレエを中心に取材、執筆および翻訳。新聞、雑誌や海外・国内のWEBサイト、バレエ公演や映画のパンフレットに日本語/英語で寄稿。映画字幕や書籍の翻訳監修も。監修した書籍に「バレエ語辞典」(誠文堂新光社)など。大人バレエを習いつつ、国内外で幅広く舞台鑑賞をしている。

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ローザス2年ぶりの来日公演は、あらゆるジャンルの音楽ファンに観てほしい

 振付家アンヌ・テレサ・ドゥ・ケースマイケルを中心に、ベルギー/ブリュッセルで1983年に設立されたダンスカンパニー、ローザスが2年ぶりの来日公演を行う。  クラシカ・ジャパンはかつて、2002年の作品『エイプリル・ミー』の創造プロセスを追った「ケースマイケルのダンス・ノート」というドキュメンタリー番組を放送した。そこには、自らの振付の根幹にある音楽と身体運動の関係に立ち返り、作曲家とアイデアを交感しながら振付けていくケースマイケルの姿があり、彼女にとって音楽とダンスは切っても切り離せないものであることが描かれていた。  だから彼女の作品は、いつも音楽が素晴らしい。  今回の来日公演では、ジョン・コルトレーン『至上の愛』から着想を得た「A Love Supreme~至上の愛」と、J.S.バッハ『無伴奏チェロ組曲』6曲にインスピレーションを受けた「我ら人生のただ中にあって/バッハ無伴奏チェロ組曲」が上演される。  コルトレーンの『至上の愛』は、筆者が大学1年の時に買った最初のジャズアルバムで、特に思い入れが強い。ジョン・コルトレーン(テナーサックス)、マッコイ・タイナー(ピアノ)、ジミー・ギャリソン(ベース)、エルヴィン・ジョーンズ(ドラムス)のカルテットが織り成す4パートからなる神への賛美は、40年近く経った今でも魂が揺さぶられる。  ダンスは、頭で理解するのではなく、ダンスそのものをそのまま感じることで、見る人それぞれの楽しみ方ができる芸術だ。ケースマイケルとローザスは、“神への捧げもの”という想いが込められたコルトレーンとバッハの音楽を、どのように肉体で表現するのだろうか。  ダンスのみならず、クラシックやジャズ、ロックやヒップホップ、民族音楽など、あらゆるジャンルの音楽ファンに是非ご覧いただきたい公演だ。そして終演後に、大切な人、大切な仲間と、音楽について語り合ってほしい。音楽を愛する人なら、ケースマイケルの作品は、いろいろな意味で感じるものがあると思うから。クラシカ・ジャパン編成部 石川了   芸劇dance Rosas 公演概要 「A Love Supreme ~至上の愛」 日時:5月9日(木)19:30/5月10日(金)19:30/5月11日(土)15:00/5月12日(日)15:00 会場:東京芸術劇場 プレイハウス 振付:サルヴァ・サンチス、アンヌ・テレサ・ドゥ・ケースマイケル 音楽:ジョン・コルトレーン『至上の愛』 出演:ローザス 上演時間:約50分(途中休憩なし) 「我ら人生のただ中にあって/バッハ無伴奏チェロ組曲」 Mitten wir im Leben sind/Bach6Cellosuiten 日時:5月18日(土)15:00/5月19日(日)15:00 会場:東京芸術劇場 プレイハウス 振付:アンヌ・テレサ・ドゥ・ケースマイケル 音楽:J.S.バッハ『無伴奏チェロ組曲』 チェロ:ジャン=ギアン・ケラス 出演:ローザス 上演時間:約2時間(途中休憩なし) お問い合わせ 東京芸術劇場ボックスオフィス TEL:0570-010-296(休館日を除く10:00~19:00) ※「A Love Supreme~至上の愛」は愛知県名古屋市芸術創造センターでも上演されます。 日時:5月17日(金)19:00/18日(土) 15:00 会場:名古屋芸術創造センター お問い合わせ:愛知県芸術劇場 TEL:052-971-5609(10:00~18:00)

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コンドルズ 埼玉公演2019新作『Like a Virgin』がGW明けに上演

 トレードマークの学ラン姿で、ダンスやコント、映像、人形劇、生演奏、影絵などを展開するダンスカンパニーのコンドルズが、5月11日と12日に彩の国さいたま芸術劇場での新作シリーズ公演を行う。コンドルズの埼玉公演と言えば、2006年以来毎年続くお馴染みのシリーズで、本作で13作目を数える。彼らは埼玉の新作をベースに夏のツアーに臨むのが通例だが、今年はマドンナの大ヒットシングルから名付けられた『Like a Virgin』を披露する。  NHK大河ドラマ『いだてん』でダンス指導を行うなど、幅広いジャンルで活躍する主宰の近藤良平をはじめ、メンバー全員が多才なコンドルズ。個性派揃いの初期メンバーに、近年は香取直登、ジントク、黒須育海ら若手の有望株が加わり、結成20年を越えてもなお進化し続けるパフォーマンスを見せてくれる。埼玉では、これまで横たわる壁を象徴的に舞台に配置した『17's MAP』(2017)や、スライド舞台や照明を駆使したラストの演出が話題を呼んだ『18TICKET』(2018)など、数々の伝説の舞台を作り上げてきた。近藤は同劇場での新作作りについて「稽古場が広く、アイデアを形にできる環境が整った埼玉での創作は、その年のコンドルズを左右する大事な時間」とコメント。今年はどのような新作を見せてくれるのか、期待が高まる。クラシカ・ジャパン編成部 井手朋子 コンドルズ 埼玉公演2019新作『Like a Virgin』公演概要 日時:5月11日(土)14:00、19:00/12日(日)15:00 会場:彩の国さいたま芸術劇場 大ホール 構成・映像・振付:近藤良平 出演:コンドルズ 問い合わせ:SAFチケットセンター 0570-064-939(彩の国さいたま芸術劇場休館日を除く10:00~19:00) https://saf.or.jp/arthall/stages/detail/6372 4月1日より、コンドルズ埼玉公演公式インスタグラムも始動! アカウント名:saitama_condors_official https://www.instagram.com/saitama_condors_official/

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世界のダンス・シーンの最先端アーティストが初来日!ディミトリス・パパイオアヌー『THE GREAT TAMER (ザ・グレート・テイマー)』を見逃すな!

 ダンス・ファンに朗報。今最も旬なアーティスト、ディミトリス・パパイオアヌーが自らのカンパニーを率い、初来日公演を行う。  パパイオアヌーは1964年生まれ。画家を目指して美術学校で学んでいた時にダンスと出会い、22歳で創作を始めて1986年にカンパニーを結成、自身の出身であるギリシャの神話や彫刻をモチーフに、身体表現を組み込んだ作品を発表してきた。彼が世界的な注目を集めるきっかけとなったのは、2004年のアテネオリンピックで開閉会式の演出を担当してから。2018年5月には、ヴッパダール舞踊団にゲスト振付家として招かれ、『Since She』という新作を振り付けた。これはピナ・バウシュ亡き後、同舞踊団にとって初めての大掛かりな新作発表となった。  今回上演する『THE GREAT TAMER』は2017年5月にギリシャで初演、その年の7月のアヴィニョン演劇祭でも上演され大変な評判を呼んだ作品。その後世界30都市以上で上演され、2019年3月にはローレンス・オリヴィエ賞に「ダンスにおける傑出した功績」でノミネートされるという快挙を成し遂げた。公演の世界ツアーは現在も続いており、世界各地での公演ではチケット完売が続出。今回の来日公演は、ダンス・シーン最先端の舞台を目撃できるまたとないチャンスなのだ。  『THE GREAT TAMER』は、ヨハン・シュトラウス2世の『美しく青きドナウ』が流れる中、絵画に描かれたような人々が舞台に上がり、スタイリッシュなインスタレーションとパフォーマンスが繰り広げられる。どの瞬間を切り取っても美しく、抜群のセンスを感じさせる。世界中が夢中になっているエッジの効いたパパイオアヌーの世界をぜひライブで体験したい。結城美穂子(エディター/音楽・舞踊ライター)   ディミトリス・パパイオアヌー『THE GREAT TAMER』 公演概要 2019年6月28日(金)19:00/29日(土)15:00/30日(日)15:00 ※28日(金)終演後、ディミトリス・パパイオアヌーによるポストパフォーマンストークあり 会場:彩の国さいたま芸術劇場 大ホール コンセプト・ビジュアル・演出:ディミトリス・パパイオアヌー 上演時間:約95分(途中休憩なし) 主催・企画・制作:公益財団法人埼玉県芸術文化振興財団 共同招聘:ロームシアター京都(公益財団法人京都市音楽芸術文化振興財団) 後援:駐日ギリシャ大使館 【京都公演】2019年7月5日(金)・6日(土)ロームシアター京都 サウスホール https://saf.or.jp/arthall/stages/detail/6420(埼玉) https://rohmtheatrekyoto.jp/event/54252/(京都)   筆者紹介 結城美穂子 Mihoko Yuki 出版社勤務を経てフリーランスのエディター/ライターとして活動中。クラシック音楽、バレエ、ダンスを得意ジャンルとする。バレエ・ダンス情報誌『ダンツァ』元編集長。単行本・ウェブマガジン・公演パンフレットの編集と執筆、またオペラ、バレエの初心者向け鑑賞ガイドのレクチャー講師を務める。

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