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NBAバレエ団が2月6日と7日に『シンデレラ』を上演

 NBAバレエ団が新制作『シンデレラ』(ヨハン・コボー振付)を2月6、7日に上演する。今この時期に新制作を行うというのはどれほど困難を伴うことだろう。キャスティング、バレエ団全員にとって初めての振付、時間を要するリハーサル、舞台、衣装、照明、などなど。昨年、複数回の公演中止を余儀なくされたNBAバレエ団は、日本のバレエ団で初めてクラウドファンディングを実行した。バレエ団の維持のために使わざるを得なくなってしまった『シンデレラ』の衣装製作代の支援を募ったのだ。最終的に、目標額の300万円を上回る418万円が集まった。バレエファンの新制作を心待ちにしている期待のほどがわかる。  振付のヨハン・コボーは古典作品の振付作品を発表し続け、振付家としての評価が高まっている。元英国ロイヤル・バレエ団のプリンシパルといった輝かしいダンサーとしてのキャリアを生かしつつ、彼ならではのオリジナリティを盛り込み、作品に新しい息吹を与える手腕はさすがだ。彼は移動が困難な状況下、リモートでダンサーたちの様子を把握し、キャスティングを進め構想を練っていた。昨年11月に一度来日し、12月からリハーサルがスタート。そして1月に再来日、いよいよ彼の『シンデレラ』が、日本において世界初演される。  主役は英国ロイヤル・バレエ団のプリンシパルである高田茜とNBAバレエ団の野久保奈央。王子は2日間、宮本浩之が務める。高田茜は当初踊る予定だった英国ロイヤル・バレエ団のプリンシパルであるフランチェスカ・ヘイワードが来日できないため急遽、引き受けることに。彼女にとってシンデレラは初役、そして日本での全幕公演も初めてとなる。日本のファンは素晴らしい機会に恵まれたことになる。  そしてNBAバレエ団ソリストの野久保奈央は、彼女がジュニアの頃から注目してきたNBAバレエ団の芸術監督、久保紘一が大抜擢した。芸術監督も攻めの姿勢で、公演にかける熱い意気込みが感じられる。  アレクセイ・ザハロフ振付、セルゲイ・プロコフィエフ作曲の『シンデレラ』が初演されたのは第二次大戦が終結して間もない1945年11月、ボリショイ劇場においてだった。つらい逆境にめげず自分の力で幸せを手にするシンデレラに、戦争により傷ついた人々は自分の境遇を重ね、同時に夢と希望を得た。シンデレラのけなげさ、やさしさは時代を超えて人々を感動させる。コボー版では現代に置き換え、シンデレラはバレリーナを夢見る少女だという。コボーが創り出す「真実の愛」を見つけるシンデレラも、今の私たちに寄り添い希望を抱かせてくれるに違いない。文:結城美穂子(エディター/音楽・舞踊ライター)   NBAバレエ団 新制作『シンデレラ』 https://nbaballet.org/performance/2020/cinderella/ 日時:2021年2月6日(土)18:00、7日(日)14:00 会場:東京文化会館 大ホール ※2月6日の公演は、定員の50%に達したため販売を中止しています。キャンセル待ちは承っていませんが、再販可能となった場合はトップページの「お知らせ」にてお知らせします。 Cinderella:高田茜(6日)、野久保奈央(7日) Prince:宮内浩之(6日、7日) Violinist:大森康正(6日)、新井悠汰(7日) Cavalier:刑部星矢(6日)、三船元維(7日) Mother:関口祐美(6日)、佐藤圭(7日) Teacher:峰岸千晶(6日)、浅井杏里(7日) Black sister:浅井杏里(6日)、阪本絵利奈(7日) White sister:岩田雅女(6日)、鈴木恵里奈(7日) NBAバレエ団 冨田実里(指揮) NBAバレエ団オーケストラ(演奏) 筆者紹介 結城美穂子 Mihoko Yuki 出版社勤務を経てフリーランスのエディター/ライターとして活動中。クラシック音楽、バレエ、ダンスを得意ジャンルとする。バレエ・ダンス情報誌『ダンツァ』元編集長。単行本・ウェブマガジン・公演パンフレットの編集と執筆、またオペラ、バレエの初心者向け鑑賞ガイドのレクチャー講師を務める。

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東京シティ・バレエ団が1月23日と24日に日本初演のショルツ作品を上演

 日本で唯一、ウヴェ・ショルツの振付作品をレパートリーに持つ東京シティ・バレエ団が、日本初演のショルツ作品を上演することになった。  東京シティ・バレエ団は、2013年にショルツ振付『ベートーヴェン交響曲第7番』を日本初演してたちまち大評判となり、『NHKバレエの饗宴』で上演するなど再演を重ね、ショルツ作品を自分たちの財産としてきた。今回は『Air!』、『天地創造』よりパ・ド・ドゥ、『Octet』(オクテット)の3作品を上演する。ショルツから指導を一任され、ショルツ作品上演のための指導を世界中のカンパニーで行っているジョヴァンニ・ディ・パルマが今回も来日し、彼から丁寧な指導を受けてのお披露目となる。  ショルツはチューリッヒ・バレエ団、ライプツィヒ・バレエ団の芸術監督を務めた振付家で、バランシンのスクール・オブ・アメリカン・バレエで学んだ経験もあり、シンフォニックな振付家と言われている。彼は音楽の音ひとつひとつ、フレーズ、構造にまで神経を使った振付を施している。その結果、舞台上に音楽の持つ躍動感、高揚感、幸福感を私たちは目にすることができる。ダンサーはダンスのテクニックが求められるだけでなく、音楽が聴こえ、感じることができないと、おそらくショルツ作品を踊ることはできないだろう。それくらい、音を目にしているような、音楽を感じさせる舞台が繰り広げられるのだ。  『Air!』は日本初演、バッハの管弦楽組曲第3番全曲を使用する。この作品の第2曲「エール」はのちにヴァイオリンのG線だけで演奏するよう編曲された「G線上のアリア」として大変有名になった。序曲、エール、ガヴォット、ブーレ、ジーグという5曲構成で、序曲以外は舞曲のリズムだ。全曲使用ということで、舞曲のリズムがどう扱われているのか期待が高まる。  『天地創造』はハイドンの晩年の傑作、オラトリオ『天地創造』を使用する。旧約聖書の『創世記』とミルトンの『失楽園』をもとにした台本のドイツ語訳を使用して作曲した。一般市民にもわかるドイツ語での上演ということで初演時から今日までずっと演奏されている、まさにハイドンの代表作だ。このスケールの大きな作品をパ・ド・ドゥで踊るという。どんな景色を見せてもらえるのか楽しみだ。こちらもバレエ団初演。  『Octet』はメンデルスゾーンの弦楽八重奏曲全曲を使用する。2018年に日本初演されたこの作品、女性は黄色い衣裳で舞台はシンプルな印象だが、男女の関係性が楽章ごとに変化し、見ていて大変幸せな気持ちになる。豊かな音楽性を持つショルツの魅力が詰まったすばらしい作品だ。  百聞は一見にしかず。シンフォニック・バレエの現在形を経験できるまたとない機会なので、ぜひ劇場へ足を運んでほしい。文:結城美穂子(エディター/音楽・舞踊ライター)   東京シティ・バレエ団「ウヴェ・ショルツ・セレクションⅡ」 https://tokyocityballet.com/uwescholz2/ 日時:2021年1月23日(土)17:00、24日(日)14:00 会場:ティアラこうとう 大ホール 『Air!』(日本初演) 佐合萌香、中森理恵 玉浦 誠、濱本泰然、土橋冬夢 『天地創造』よりパ・ド・ドゥ(バレエ団初演) 佐合萌香、キム・セジョン 『Octet』 中森理恵、清水愛恵 キム・セジョン、福田建太 吉留 諒、濱本泰然 筆者紹介 結城美穂子 Mihoko Yuki 出版社勤務を経てフリーランスのエディター/ライターとして活動中。クラシック音楽、バレエ、ダンスを得意ジャンルとする。バレエ・ダンス情報誌『ダンツァ』元編集長。単行本・ウェブマガジン・公演パンフレットの編集と執筆、またオペラ、バレエの初心者向け鑑賞ガイドのレクチャー講師を務める。

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