バレンボイム「シューベルト:ピアノ・ソナタ全集」Vol.2
The Schubert Piano Sonatas - Evening 2
バレンボイムが情熱を注ぐ「バレンボイム=サイード・アカデミー」に併設された新ホール「ピエール・ブーレーズ・ザール」での、シューベルト・ピアノ・ソナタ連続演奏会。
2017年3月、ベルリンに新たにオープンしたコンサートホール「ピエール・ブーレーズ・ザール」のオープニング・シリーズから、ダニエル・バレンボイムによるシューベルト(1797~1828)のピアノ・ソナタ連続演奏会(全4回)の第2回です。
新しいホールができたのは、ベルリン国州立歌劇場の裏手100メートルほどの場所。1950年代から2010年まで、国州立歌劇場の舞台装置倉庫として使われていた建物を改修して作られました。ホールは、併設されている「バレンボイム=サイード・アカデミー」の一部でもあります。建物の西半分を占めるこのアカデミーは、バレンボイムとパレスチナ系米国人文学研究家のエドワード・サイードが中東地域の対話を音楽の世界で実現すべく1999年に創設した「ウェスト=イースタン・ディヴァン・オーケストラ」(ゲーテの『西東詩集』に由来する名称)から発展的に派生した組織です。現在、イスラエルとパレスチナの若者90人が、音楽だけでなく哲学・文学などの人文科学を学ぶ4年間のプログラムを受けています。70歳代半ばを迎えたバレンボイムが現在最も傾注しているこの活動は、いわば中東地域の共存の架け橋です。
ホールのオープニングは2017年3月4日。シュターツカペレ・ベルリンとウェスト=イースタン・ディヴァン・オーケストラのメンバーを主体に新たに立ち上げた「ブーレーズ・アンサンブル」により、モーツァルト、シューベルト、ブーレーズ、ヴィトマンという刺激的なプログラムで幕を開けました。ホール名からも推測されるように、20世紀以降の現代音楽に焦点を当てているのはこのホールの特徴のひとつですが、一方で、オープニング・シリーズの期間中、大きくフォーカスされた作曲家がフランツ・シューベルト(1797~1828)でした。バレンボイムによるピアノ・ソナタと交響曲(管弦楽:シュターツカペレ・ベルリン)の連続演奏会をはじめ、歌曲や室内楽など多くの作品が紹介されています。
ピアノ・ソナタ連続演奏会が開催されたのは3月18日から31日。全21曲のシューベルトのソナタのうち、未完の作品を除いた全11曲を4回に分けて弾かれました(各回2公演ずつ合計8公演)。この番組では、最初期の第9番(1817年)、生前に出版された数少ないソナタでシューマンが絶賛した傑作の第18番《幻想曲》(1826年)、そして死のわずか2ヶ月前に書かれた3曲の遺作のうちの1曲、第19番(1828年)の3曲を演奏しています。
[演目]フランツ・ペーター・シューベルト:ピアノ・ソナタ第9番ロ長調D.575/ピアノ・ソナタ第18番ト長調D.894『幻想曲』/ピアノ・ソナタ第19番ハ短調D.958(遺作)[ピアノ]ダニエル・バレンボイム[収録]2017年3月22日&23日ピエール・ブーレーズ・ザール(ベルリン)[映像監督]フレデリック・ドレスク
■1時間45分(番組枠)
(c)Peter Adamik
放送日時 | 開始時刻 | 放送時間 |
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