ベルチャ四重奏団『ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第5番』
The Complete Beethoven String Quartets#5
新時代を疾走する弦楽四重奏団として、今世界的に最も注目されるベルチャ四重奏団は、ルーマニア人の女性ヴァイオリニスト、コリーナ・ベルチャとポーランド人男性ヴィオラ奏者、クシシュトフ・ホジェルスキーを中心に、1994年英国王立音楽大学で結成。大阪国際室内コンクールとボルドー国際弦楽四重奏コンクールに優勝し、以来トントン拍子にキャリアを重ね、英国をベースとする弦楽四重奏団では最も名前が売れた若手弦楽四重奏団として高い人気を誇る。
ベートーヴェンの弦楽四重奏曲は、作曲家が30歳前後から死の前年まで書かれた全16曲と単一楽章の独立した作品として出版された『大フーガ』をあわせて、室内楽史上に君臨する比類なき傑作であり、ベートーヴェンの全創作を支える最も重要な柱といえるもの。そして弦楽四重奏曲全曲からはベートーヴェンの芸術と苦悩を知ることができる。
この番組は、ベルチャ四重奏団がウィーン・コンツェルトハウスで12日間という短い期間で全曲を演奏した画期的なコンサートの記録。彼らが師事したアルバン・ベルク四重奏団以来のベートーヴェン弦楽四重奏曲全曲映像であり、やはり彼らが師事したアマデウス四重奏団同様、第13番を、『大フーガ』を最終楽章にした初演版と、ベートーヴェンが死の直前に作曲した新たな最終楽章による出版社版の両方を弾いていることも特徴。つまり、この全集は、本当の意味で、ベートーヴェン弦楽四重奏曲全曲を網羅した映像なのだ。
現代の弦楽四重奏団らしいヴィヴィッドな響きと桁外れなテクニック、興奮せざるを得ない4声の戦いのような、しかし抜群にコントロールされたアンサンブル、そして沸々とたぎる名曲そのものに、血肉を、生々しい命を吹き込む情熱。脳が活発に活動し、心地よい疲労と音楽に酔いしれる喜び。まさに21世紀のベートーヴェン弦楽四重奏曲の姿がここにある。弦楽四重奏は映像でこそ、その面白さが初めてわかるのだ。
[演目] ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第5番イ長調Op.18-5
[演奏] コリーナ・ベルチャ(第1ヴァイオリン)アクセル・シャハー(第2ヴァイオリン)クシシュトフ・ホジェルスキー(ヴィオラ)アントワーヌ・レデルラン(チェロ)
[収録] 2012年5月12日、ウィーン・コンツェルトハウス
[映像監督]フレデリック・デレク
■約31分
(c)Heliox Films
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